2022/07/26更新0like5677view

著者:岩間光佐子

開き戸、引き戸、折れ戸etc. 室内扉の種類と特徴

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

室内に用いる扉(ドア)には、開閉方法や素材、機能などによっていくつかの種類があります。最近では、デザインも多様化してきていきており、リフォームに適するタイプも充実しています。ここでは、一般的な住宅に用いられる室内扉の種類や特徴、選び方のポイントをまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

設置する部屋や空間に合わせて選ぶ

一般的な住宅で、室内の開口部(出入口)に用いるのが室内扉(ドア・戸)。プランニングにもよりますが、リビングや寝室、子供部屋などの居室、洗面やトイレなどに用いられる建具です。

室内扉は、空間やインテリアに合わせて造作するケースもありますが、通常、豊富な商品バリエーションを持つ建材メーカーの商品から選ぶことになるでしょう。開閉方法、デザイン、素材など、部屋の目的・用途に適した機能を持つタイプなど多様に揃っています。

選ぶ際には、空間に合わせて、使い勝手や機能、デザインなどトータルに検討することが大切です。床材や壁、収納建具など、他の室内建具や建材とのコーディネートもポイントのひとつでしょう。

使い勝手に合わせた開閉方法の扉を

室内扉の開閉方法には、「開き戸」「引き戸」「折れ戸」などがあります。それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。

開き戸

一般的な洋室で多く用いられているのが開き戸(ドア)でしょう。1枚の扉を開閉する「片開き」、2枚の扉を開閉する「両開き」、大小の2枚の扉を持つ「親子ドア」などに分けることができます。

プランニングの際には、扉の開閉部分のスペースの確保、出入りするための動線なども含めて設置位置の検討を。内開き外開き、左右どちらを吊元とするかなどによっても使い勝手が異なるので注意が必要です。

部屋の扉が廊下に接している場合は、廊下を歩く人にぶつかるのを防ぐため内開きとしたり、扉の開き方で部屋の照明スイッチが隠れないよう配慮することも忘れずに。また、家具の配置によって扉の開閉が邪魔にならないように事前にレイアウトを考えておくことも大切です。

引き戸

最近多くプランニングされるようになったタイプが引き戸です。以前は、和室に隣接していたり、狭い空間で開き戸を設置できない場合に用いる、というイメージがありましたが、建材メーカーの商品バリエーションも増え、積極的に取り入れるケースも増えてきています。

引き戸は、1枚の戸を左右どちらかを壁に沿って滑らせる「片引き戸」、壁の中に引き込む「引き込み戸」、2枚の扉を左右どちらでも、移動させ開閉することができる「引き違い戸」、左右にひき分けて開閉する「引き分け戸(両引き戸)」などに分類されます。また、敷居のついたタイプと、上吊りで床面のレールが不要な吊戸(つりど)に分けることもできます。

引き戸は扉を設置するための壁面は必要ですが、横にスライドさせる方法なので、開き戸のように前後に開閉スペースが不要。空間が広く使えること、開け放して通風を確保しやすいことなどがメリットでしょう。扉を開けておくことで、部屋を連続させて使用することも可能です。

折れ戸

蝶番などで連結させた扉を折りたたんで開閉するのが折れ戸。開き戸に比べて開閉スペースが少ないため、トイレや洗面室などの水まわり、廊下などの狭い空間に面した場所に、用いられることが多いでしょう。可動間仕切り扉などに用いられるケースもみられます。

選ぶ際には、開閉のしやすさなどの使い勝手はもちろん、幼いお子さんがいる場合などは、指挟みなどを防ぐ工夫が施されているかどうか、なども確認しておくことが大切です。

素材や色によって空間のイメージも変わる

室内扉の素材としては多く用いられるのが木質系。無垢材や突板仕上げ、樹脂シート仕上げなどがみられます。建材メーカーからもさまざまな風合いの扉が提案されています。また、枠にアルミなど金属系を用いたタイプも揃っています。

樹脂シート

基材(合板、集成材、単板積層材)の表面に、木目などの模様を印刷した樹脂やオレフィン、紙などのシートを張り仕上げたもの。柄やデザインが豊富、お手入れもしやすいのが特徴です。

突板

天然木を薄くそいだ板(単板)である突き板(つきいた)を、基材(合板、集成材、単板積層材)に接着し、塗装を施し仕上げたもの。木目の美しさや肌触りのよさなどが魅力です。

無垢

魅力は何といってもその深みのある素材感。長く使用しているうちに味わいが出てくるのが特徴でしょう。

アルミなど

枠の部分にアルミなどを用いた扉もみられます。シンプルでシャープなデザインが特徴で、採光パネルや木質パネルと組み合わせた商品がみられます。

用途に合わせた機能を持つタイプを

一般的な居室に用いられる扉のほかに、使い勝手を高める機能や特徴を持たせた扉もみられます。

換気や通風

快適性を高めるため、風の通り道を確保することができる扉もあります。ルーバーを組み込むことで通風機能を持たせたり、欄間(らんま)を組み合わせることができるタイプも。扉を閉めたままでも風を取り込むことができるので、湿気がたまりやすいトイレや洗面室なども水まわり、ウォークインクロゼットなどに向いているでしょう。

防音や遮音

一般住宅向けの防音ドア商品も充実してきています。ピアノ室やリスニング室などに適するタイプだけでなく、生活騒音が気にならない程度の遮音・防音効果のあるタイプもみられます。書斎など在宅ワークを行うスペース、寝室や子供室、トイレなどにも向いているでしょう。
早田雄次郎「ベーシックギターレッスン マンション防音改修」

トイレ向け

多く取り入れられているのがトイレ向けの扉。使用中かどうか、ひと目でわかるように、小さなあかり窓や表示錠が取りつけられているタイプです。最近では、開き戸だけでなく開口部を広く確保できる引き戸タイプも多く用いられています。

ペットドア

犬や猫などのペットが室内を自由に動き回れるように、専用の小さなくぐり戸がついている扉です。ペットが出入りするたびにドアを開閉する必要がないのがメリットでしょう。

ユニバーサル

誰もが使いやすく安全に配慮した扉も増えています。たとえば、2枚(3枚)連動タイプの引き戸は車椅子でも開閉しやすいものですし、床面がフラットになる上吊りタイプであれば、車椅子も通りやすくつまづく心配もないでしょう。また、わずかに開けば自動で全開し自動で閉まる機能、自動でゆっくりと閉まる機能(ソフトクローズ機構)を持つ扉であれば、閉め忘れを防ぎ、閉まる時の衝撃音を押さえることも可能です。

ナチュラルなデザイン傾向。内装建具とのコーディネートも

プランニングにもよりますが、室内扉のデザインによって空間の雰囲気は変わります。扉そのものの傾向は、シンプルでナチュラルな雰囲気を感じさせるデザインにして、インテリアに馴染むようなデザインとするか、扉を空間のアクセントにするかによってイメージは大きく異なるでしょう。

また、最近の特徴としては、ガラス(熱処理されたステンド調のガラスやチェッカーガラス、乳白ガラスなど)や樹脂素材などを扉に組み込んだデザインが注目されていること。ブルーやグリーンなど個性的な色合いの扉も人気です。その他、扉と組み合わせるドアノブやレバーによってもイメージは変わるので、使い勝手を踏まえて、空間に適したタイプを選ぶようにしましょう。

その他、既存の開口部に後付けでき空間に馴染むようなタイプ、施工が簡単で工期も短くて済むものなど、リフォームに適するタイプも増えてきていますし、開き戸から引き戸へ、または折れ戸への変更が可能なタイプもあるので、自由なプランニングが可能です。

室内扉は、間取りやインテリアと大きく関係する建具です。こだわりがある場合は、設計段階から早めに伝えるようにしましょう。また、他の室内建具(間仕切りや収納扉など)と同時に検討することも必要です。具体的な商品を選ぶ際には、カタログだけでなく、ショールームで素材感や使い勝手を確かめること。実際に開閉操作をして、扉の重さや開閉音なども確認しておきたいものです。
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ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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