2016/11/21更新2like5285view

著者:水沼 均

引き戸を工夫すれば、部屋がより広く見える【住宅デザインの細部】

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

マイホームを建てるならぜひ広々とした住まいにしたいものですが、広がりを感じさせるような工夫には具体的にどんなものがあるでしょうか。建築家はさまざまな工夫をしていますが、その1つに建具(たてぐ)の工夫があります。「建具」というとなんとなくドアのような開き戸をイメージしがちですが、今回ご紹介するのは引き戸という建具です。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ふだん開いていて姿が見えない、引き戸はそんな建具

引き戸は、建具の中でも特に広がり感に関わりの深い存在です。開き戸は基本的にはふだん閉まっていることを前提に考えられていますが、引き戸は逆に、ふだんは開け放されていることを前提に考えられているからです。

ふだんは隣室への建具を開け放っておいてできるだけ一体の広い場所にして、風を通して家族の気配をつなげられたらとても快適ですてきですよね。こんなとき引き戸を用いるととても効果的に広がり感が得られます。

特に、開け放ったときに壁の脇や壁の中に引き込まれる「引き込み戸」は、ふだんは壁に隠れてその姿も見えず、隣室との完全な一体感を作り出してくれます。
リビングダイニングキッチンと寝室、子供室の間の引き込み戸を開けたところ。(水沼均&村上建築設計室「ray-house」、以下同じ)
同、引き込み戸を閉めたところ。

引き戸を上から吊って、より一体感を

引き戸は下にレールがあって戸車でその上を動きますが、レールをなくしてしまって引き戸を上から吊り下げて作ると、部屋の一体感はさらに高まります。レールは決して太いものではありませんが、隣室との床の境目に一本の部品があるかないかで、広がりのイメージはグッと変わるのです。
2室のあいだに境目がない床面。
同、戸を閉めたところ。
上部のレールで引き込み戸を吊っている様子。
同、戸を閉めたところ。
1軒の住宅の中にはまるで精密機械のように、さまざまな用途、役割、楽しさ、快適さなどが詰め込まれています。その密度感は、まさにこんな1本の小さな部品にまで影響されているんですね。

小さな部品の存在1つが家全体の雰囲気を左右する。こんな不思議さと面白さを住宅は持っています。そして建築家は建て主さんにより広々とした住まいを提供するために、ミリ単位の小さな部品にまでいつも考えをめぐらしているのです。
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