「目新しさ、想像を越える驚きを住宅建築に」建築家：水本純央さん

家づくりのプロに聞きたい「10のこと」シリーズ。

今回は、家づくりにおいて目新しい世界観を追い求める、ALTS DESIGN OFFICE（アルツデザインオフィス）建築家・水本純央さんの「10のこと」。
「新しい試みに挑戦するからこそ、お客さまとの信頼関係を大切に、安心して任せてもらえる存在になりたい」と語る水本さん。

目新しく・斬新な家づくりを発想する原動力は、住宅建築以外の分野で培ったルーツにありました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

Q1. 日常でふと感じる職業病（こだわりや癖）は？

Q2. 家づくりに関する知識で負けないこと、得意分野は？

Q3. 休日の過ごし方もしくは、仕事で活かせる趣味は？

Q4. 好きな設備・家具は？

Q5. 好きなアーティストは？

Q6. 長年の愛用品は？

Q7. オススメの家づくり関連の書籍やイベントは？

Q8. お気に入りの住宅事例は？

Q9. 素敵な出会い・忘れられないお客さまとの思い出は？

Q10. 最後に、「うちの家づくりのココがすごい！」と思うところは？

土地にゆとりがあり、建築の自由度も高く、思う存分家づくりが楽しめるという考えから、生まれ育った滋賀県に事務所を構える水本さん。

「小さな頃から工作などが好きで、家具職人になりたいと思っていた時期もありました。でも、良い家具を作ってもその空間全体が良くないとダメだなと感じ、自然と建築家を目指したいと思うようになったんです。
専門学校を卒業後、滋賀県草津市にある、官公庁の仕事をメインで請け負う建築設計事務所で10年ほど経験を積み、建築士の資格を取得しました。そのタイミングで、もともとずっと携わりたいと思っていた住宅の分野を目指し、設計事務所へ転職。2012年にALTS DESIGN OFFICEを設立しました」

ALTS DESIGN OFFICE（アルツデザインオフィス）　建築家：水本純央さん

Q1. 日常でふと感じる職業病（こだわりや癖）は？

ショッピングや食事の際には、細かな納まりを見てしまいます。ドアの取っ手や金物など、ヒントになりそうなポイントを見つけて自分の引き出しに蓄積しています。
また、路地など抜けのある空間が好きで、日常から気にかけて探しています。

Q2. 家づくりに関する知識で負けないこと、得意分野は？

「お客さまの思い描く暮らしを形にすること」が得意です。

デザイン面では、常に新しさを追求し、世の中の一歩先の提案ができるよう心がけています。ゼロから新しいものを考えたり、お客さまの理想の暮らしをALTS DESIGN OFFICEのコンセプトに照らし合わせご提案していきたいと思っています。

最近は、お客さまの期待も大きく、「すごくハードル上がってる？」なんて思うこともありますが（笑）。

家が完成してお客さまに感動していただいた時は、心からこの仕事をやっていて良かったと思える瞬間です。

Q3. 休日の過ごし方もしくは、仕事で活かせる趣味は？

休日はほとんどないですが、仕事先での食事など、参考になりそうなお店を探すようにしています。

例えば、
『ブルーボトルコーヒー京都カフェ』（建築家：長坂常／スキーマ建築計画）
『JINS 京都寺町通店』（建築家：中村竜治）
『koe donuts（コエドーナツ）』（建築家：隈研吾）

ファッションも好きで、店舗の内装はその時の流行のものが多いため、住宅のヒントにしています。新しいプランを考える際は、こういった時間を少し取り入れて、頭をリフレッシュするように心がけています。

Q4. 好きな設備・家具は？

最高の品質と熟練の技術力で理想のオーダーキッチンを提供する『kitchenhouse（キッチンハウス）』
細かな納まりも綺麗で、無駄な凹凸もなく美しいです。毎年、家具の祭典『ミラノ・サローネ』での最新のトレンドを取り入れているメーカーなので、私自身も勉強になります。

ALTS　DESIGN　OFFICE（アルツデザインオフィス）

> この住宅のすべての情報を見る

シンプルで美しい暮らしを提案するインテリアショップ『ACTUS（アクタス）』
シンプルで飽きのこないアイテムで、どんな空間にも合わせやすいところが良いです。

大阪のオリジナル家具屋『TRUCK FURNITURE（トラックファニチャー）』
建築家がつくった家具ブランドで、建築家らしいデザインが良いです。

ALTS　DESIGN　OFFICE（アルツデザインオフィス）

> この住宅のすべての情報を見る

Q5. 好きなアーティストは？

グスタフ・クリムト（オーストリア・画家）

「ウィーン分離派」という新しい派閥をつくり、今までになかった新しい絵画をつくり上げた画家です。今、見てもそのデザインは新しさを感じます。自分もいろいろな建築を提案していますが、彼のように自分の建築スタイルを築いていきたいと思います。

Q6. 長年の愛用品は？

0.9ミリのシャープペンシルはずっと使っています。ラフプランなどを描くときに書きやすく便利です。

Q7. オススメの家づくり関連の書籍やイベントは？

『住宅特集』（株式会社新建築社）
現在活躍する建築家の作品と考え方などが書かれていて、新しいアイデアのヒントになります。

『Under 35 Architects exhibition』35歳以下の若手建築家による建築の展覧会
毎年、大阪の梅田で行われていますが、これから活躍するであろう35歳以下の建築家の作品や討論会が行われます。どちらもよい刺激を与えられ、モチベーションアップになります。

Q8. お気に入りの住宅事例は？

「倉庫をリノベーションしたかのような新築の家（石部の家）」です。

「倉庫をリノベーションした家に住みたい」そんなご要望から計画がスタートしました。しかし、それに見合う倉庫（物件）がなく、新築でも倉庫をリノベーションしたような家づくりはできないかと考え、打ち合わせを重ねました。
お客さまとのお話の中から、暮らし方や好きなものの写真をいただき、大きな倉庫空間の随所に取り入れています。

「住宅」という枠にとらわれることなく、自由な発想で良い意味でゆるく楽しく計画を進めながら、完成することができました。

ALTS　DESIGN　OFFICE（アルツデザインオフィス）

> この住宅のすべての情報を見る

Q9. 素敵な出会い・忘れられないお客さまとの思い出は？

建物ヒアリングの際は、好きなことや暮らし方をお聞きする程度のため、初めは少し不安に思われる方もいらっしゃいます。しかし、実際にプランと模型でご提案した時に、「この空間に住みたい」「こうきたか！」などすごく感動していただいています。

コスト面やこだわりなど、すべてを満足することは難しいですが、一緒に悩み、より良い方法を提案し、一番と思えるものを作りあげていきます。お客さまの人生にとって、ひとつだけの家づくりに関われることは、私自身も感動を与えていただき、良い思い出となっています。

1年後など、アフターサービスにお伺いした際には、当時のプラン打ち合わせのことで話が弾みます。

ヒアリング内容から、実際にイメージのしやすい模型に落とし込む。この時の、お客さまの反応がとても楽しみです（撮影：ALTS DESIGN OFFICE）

Q10. 最後に、「うちの家づくりのココがすごい！」と思うところは？

お客さまご家族の思いに寄り添い・対話し、そこに住まわれる方々に合った、他にはないコンセプトで家づくりを提案しています。

それぞれのご家庭に合ったプランニングを提案をすることで、ご家族が思う心地よさ・豊かさを形にすることができ、日々の暮らしをより良いものに変化させることができると思っています。

前職では、公共の施設などの建築がメインだったため、そのノウハウを活かし、コンクリートなど納まりの美しさを追求しています。住宅では取り入れないような素材を使ったり、それが他にはない目新しさにつながっていると思います。

私たちの“アイデア”によってつくり出されるデザインは、人と人・人とモノとのストーリー（物語）を生み出し、その人が本当に心地よく感じることができる本質に迫るものである考えています。“デザイン”を通して、世の中を少しでも豊かにし、一つひとつに真剣に向き合い活動していることが私たちの強みです。

設計の流れは、まず、家づくりで必要な費用すべてを書き出した資金計画をさせていただきます。あとから、思いもよらいない費用が発生しないよう心がけています。

予算や土地の方向性が見えてから、建物に関するヒアリングを行います。ヒアリングからプラン提案まで1～2か月のお時間を頂き、じっくりとプランを練っていきます。たくさんのお時間を頂いた分、プラン提案は図面と模型を用いて、お客さまに感動を与えられるよう、思いを込めてご提案させていただいています。