2019/09/26更新0like3932view

著者:Writernista

手付金とは?これだけは知っておきたい基礎知識

不動産購入契約を締結する際に発生する「手付金」という費用をご存知でしょうか。

手付金とは「住宅購入の売買契約時に一部先払いで支払う代金」のことで、その役割は「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3つに分類されます。

今回は3つの手付金それぞれの性質と役目について、詳しく解説していきたいと思います。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

手付金の種類は3種類!

不動産購入は、大まかにいうと
【売買契約→住宅ローン審査→決済(物件引渡し)】という流れで進みます。
住宅ローン審査を通過したのち売主に代金を支払う「決済」が行われるため、実際に売主に代金が支払われるのは売買契約から1〜2ヶ月後。そのため、売買契約時に「手付金」として代金を一部預けるのが一般的です。

「手付金」は「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3つに分類できます。

「証約手付」は証約手付契約の締結を証することを目的として授受されるもの。
「解約手付」は売買契約解除におけるルール決めをするための手付。
「違約手付」は当事者に契約違反があった場合、相手方を保護する目的で設定されます。

特に定め無く「手付」とされている場合は、「解約手付」となることが多いようです。

手付金は原則として現金一括。分割はできません。
どうしても振り込みで預けたい場合は、契約日までに着金するよう手配する必要があります。

手付金をカードローンなどで準備すると、借金があると見なされ契約締結後の住宅ローン審査が通らなくなる可能性が高まりますので注意してください。

「解約手付」ってどんな手付?

特約がない場合の手付は、「解約手付」と見なされます。

不動産売買契約を解除する場合、
売主側からの契約解除であれば授受された手付を買主に変換したのち同額を買主に対して支払う必要があり、買主側からの契約解除であれば預けた手付を放棄することになります。

……と書くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと

売主側から契約を解除する時は「預かっていた手付金にプラス同額を追加して支払い」
=手付金の2倍額を売主から買主に支払うことになり、

買主側から契約を解除する時は「手付を放棄」
=預けていた手付金が返ってこなくなる、ということです。

ちなみに例外として、買主側からの解除であっても「特約が適用になる場合」であれば、手付を放棄しなくても構いません。

契約時に「金融機関の審査に通らず、住宅ローン借り入れができなければ売買契約をペナルティ無しで解除できる」という内容の特約を結んでさえいれば、手付金を放棄せず契約解除を行えるということです。

ただし、「いつまでも住宅ローンの手続きをしない」「故意に住宅ローン審査に落ちる」「手付解除期日を超えての売買契約解約」などの行為を行った場合は、買主側にペナルティがかかる可能性が出てきます。

「故意に住宅ローン審査に落ちる」とみなされる例として、
・売買契約後に転職する
・新規で借金をする
・クレジットカードで多額の買物をする
などが挙げられます。

また、契約時に設定した「手付解除期日」を過ぎて契約解除を申し出ると契約違反扱いになりますが、契約解除日を設定できるのは「売主買主が共に業者」「売主が業者以外」の場合です。

売主が業者で買主が個人の場合、手付解除期日の設定はできませんので、仮に期日を設定していたとしてもそれは無効です。

手付金の相場と役割

手付額の相場は、一般的に物件価格の5%〜10%とされています。

中古住宅の売買の相場は5%です。
(売主が宅地建物取引業者の場合、手付金は物件価格の〜20%が上限)

業者でない場合の手付は上限が設けられていません。
また、契約後の手付金額の変更や利子をつけることも認められていません。

大手不動産会社が仲介に入る場合、手付額が物件価格の5%未満だと買付けすら入れられないこともあります。手付額が低いと契約をキャンセルされる可能性が高いとみなされ、不動産業者にとっては、契約書作成や物件調査などの労力が無駄になってしまうリスクがあるためです。

一方で、手付金には「人気物件の購入順を確保するための金銭」という側面もあります。人気物件には購入申込者が殺到するため、売主は複数いる購入希望者の本気度を手付額で測るというわけです。どうしても購入したい物件であれば、手付額を多く預けることは有効かもしれません。

持ち回り契約における手付金

原則として、売買契約は買主・売主が同席して行われますが、買主と売主の住まいが遠方であったり、日程の都合が合わなかったりした場合に、代理人が本人不在で契約を行う「持ち回り契約」という方法を取ることがあります。

持ち回り契約の場合、手付金を一旦不動産会社に預けることになりますので、不動産会社に「預かり証」を必ず発行してもらいましょう。後日売主が手付金を受け取ったときに発行される領収書と、預かり証を引き換えることになります。
手付金はルールがたくさんあるため、理解するのに時間がかかる費用のひとつです。3種類それぞれの性質やルールを理解して、物件購入に備えましょう。

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