2019/11/23更新1like4623view

著者:SUVACO編集部

専門家フィーチャー

リノベーションは、お客様との共同プロジェクト | インテリックス空間設計インタビュー

「施工」とは設計図をかたちにする工事のこと。リノベーション会社を選ぶときには、ぜひ注目してほしいポイントの1つです。こだわりのデザインがきれいに仕上がるかどうかは、施工力にかかっています。また、施工力の高い会社なら、リノベーション中のトラブルを避けられ、長く安心して暮らせる家づくりにまでつながります。

そこでSUVACO編集部は、施工力に定評のあるリノベーション会社や工務店にインタビューを行い、各社の取り組みや工夫を伺ってきました。

シリーズ第3回目の今回は、インテリックス空間設計をご紹介します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

今回お話を伺ったインテリックス空間設計

インテリックス空間設計 は平成10年から毎年1,000件以上の中古マンション再生を手がけてきた、マンションリノベーション専門会社。「きもちまで測るリノベーション」を標榜し、徹底的に空間を測り検証を繰り返すことで、魅力的で使いやすい住まいに生まれ変わらせてきました。

今回は、お客様からのリノベーション依頼を担当する、青山店リノベーション課の阿部 貴(あべ たかし)さんにお話を伺いました。

阿部さんは、営業や現場の施工監理をご自身でも担当され、チームの営業や施工担当の方々の管理もしていらっしゃいます。
青山店リノベーション課 副部長の阿部さん

青山店リノベーション課 副部長の阿部さん

お客様のリノベーションに対応する部署は、社内の精鋭集団

―― どのようなチーム体制で、お客様に対応されているのでしょうか。

阿部さん:

営業担当と施工担当のチームで対応させていただいています。インテリックス空間設計 には、私たちのように直接お客様のリノベーションにご対応する部署の他に、再販(中古物件をリノベーションを施し、付加価値をつけて販売すること)を担当している部署などさまざまな部署があります。そうしたところで経験を積み、一定のレベルに達したメンバーが集まっています。

そのため弊社の場合、営業担当は設計・施工の一通りのスキルを持っているんです。

―― なるほど、こちらにいらっしゃる方は社内でも精鋭の方々なんですね。そうすると、デザインや間取りをプランする設計の工程も、社内で行われているのでしょうか。

阿部さん:
もちろん社内のメンバーでも可能なのですが、そこは外部のパートナーである設計事務所さんに、あえて依頼しています。うちの仕事は、言うならば「デザインには遊び心を、施工はまじめに」。その“遊び”を持たせるために、外部の血を入れているんです。

現場を知っている人がデザインすると、つい「現場がやりやすいように」という気持ちが出てしまうのですが、外部の方ならそこは考えず「こんなことできませんか」と斬新なチャレンジを提案してくれる。

そして我々のチームは、営業も施工担当も外部の現場監督さんも、みんなで一緒に考え抜いて「よし、こうしたらできるんじゃないか」と答えを導き出す経験を積み重ねることで、さらにスキルアップを目指せるんです。

常にそのような新しい刺激があるので、一緒に頑張ってくれる職人さんとの絆も深まりますし、それを楽しいと感じてくれる技術力のある職人さんが付いてきてくれます。社内も社外も、成長志向が強いメンバーが集まっているチームですね。

数多くの経験から培われたインテリックス独自のメソッド

―― 御社の施工担当の方のお仕事を教えてください。

阿部さん:
ご契約までは、営業担当やパートナーの設計事務所さんとご相談を重ねていくのですが、ご契約の際に「これ以降、現場の作業に入りますので、この者が引き継ぎます」という形で施工担当がごあいさつをし、その後はお客様の窓口も施工担当です。ですから、コミュニケーション能力も必要になる仕事ですね。

現場では工事の進行を監理し、パートナーの工務店さんや職人さんの作業状況のチェックや、都度入る職人さんからの相談ごとの判断を行います。

―― デザインに関わる変更があった場合は、外部の設計事務所さんとも共有するのですか?

阿部さん:
そうですね。施工の監理は設計事務所さんも一緒に対応する感じですね。

弊社では施工現場に特化したアプリケーションを使用していて、その中のチャットで何人もと同時に連絡を取ったり、図面の共有を行うことができるんです。

このアプリを使って、設計事務所、弊社の施工担当、現場の工務店3者の情報共有をしています。これは営業担当も見られるようになっているので、お客様の窓口が施工担当に移った後でも、営業担当から工事状況に関して、施工担当者に声をかけることなどもあるんですよ。

―― 施工知識の共有会などは行っていますか?

阿部さん:
設計事務所の方に向けた勉強会を、年に2~3回ほど行っています。インテリックス空間設計 には分厚いマニュアルや独自のルールがあり、そちらを共有する会です。

弊社は、再販も含めると年間1,000件以上のマンションリノベーションを行っており、またアフターサービスで伺ったお客様のご意見や事例も数多くあります。その中で見つかった改善すべきポイントは、常に現場にフィードバックされるようにしており、また、法令が変わった場合はそれも反映するので、マニュアルも毎年更新されていくんですね。このような(下写真)書籍も出しています。

社内のメンバーやお付き合いの長い工務店の方々は、これらの基本となるルールが身に染みついているのですが、社外のパートナーである設計事務所の方にも知っていただくべきことがあるので、そのような勉強会でお伝えしています。
―― 例えばどのようなルールがあるんですか?

阿部さん:
例としては、寸法の考え方があります。我々は「最小寸法」と呼んでいるんですけど、例えばトイレの寸法などでも、75cm × 120 cmがトイレのサイズの最小で、「それより小さくしてはいけないよ」と。それ以上広くなる分には問題ないのですが、狭くなると使いづらかったり膝がぶつかったり…生活がしづらくなるので、最小サイズを決めているんですね。

―― 工務店の方には「ルールが多くてうるさいな」と思われたりはしないんですか?

阿部さん:
逆に喜んでもらっています。インテリックス空間設計 では棚の高さやクローゼットの奥行きなども、一番使いやすいサイズや高さを検証して基準を決めています。基準さえおぼえてしまえれば、大工さんは図面を確認しなくてもつくれてしまう部分が多いので、スピードアップにもつながっていると思います。また、マニュアルやルールを通して、最新の法令についても発信しているので、適切な対応ができるようになる。職人さんたちもスキルが上がっていくんですね。

先ほどお話しした工事状況を管理するアプリケーションを使いこなすことも、スキルアップの1つです。現場の写真を業者さんからアプリを通して週に1回くらい送ってもらい、弊社の施工監理がチェックします。悪いところがあったらチャットで指示を入れ、現場からの質問も写真を交えてその都度入れてもらいます。

年配の職人さんでは、最初デジタルに抵抗感がある方もいらっしゃいましたが、徹底的にお教えしました。
現場管理のアプリケーションの操作を見せてくださる阿部さん。速やかな情報共有に便利そうです。

現場管理のアプリケーションの操作を見せてくださる阿部さん。速やかな情報共有に便利そうです。

工事中は近隣住民の気持ちにも配慮する

―― 工事の現場について、御社ならではの取り組みはありますか?

阿部さん:
私たちのリノベーションは古いマンションをスケルトン(お部屋を柱や骨組みのみの状態に解体すること)にするケースも多いので、コンクリートに穴が空いていたり鉄筋が丸見えになっているなど、壊してみないとわからない問題が時々出てくるんです。

そのような場合、新しくつくる壁で塞いでしまえば見えなくなるのですが、私たちは決して隠さずお客様に正直にお伝えし、対処方法をご提案させていただきます。お客様と一緒に、管理組合さんにお話もさせてもらいます。

また工事中の音にもなるべく配慮し、共有部分が傷つかないように保護する養生(ようじょう)も丁寧に広い範囲に施して、見た目にもきれいで破損が出ないようにしています。

―― 工事の過程で、お客様と一緒に行うチェックは何回くらいされるのですか?

阿部さん:
1回目はスケルトンにした後の解体後検査を行います。2回目は大工さんの構造や下地をつくる作業の終了時。塗装やタイルなどの仕上げ材を使用される場合は、仕上げ時にも立ち会っていただきます。

最後は竣工検査と引渡し検査を行うので、お客様に現場でお会いするのは4~5回ですね。その時はお客様も含め、弊社の施工担当、設計事務所、工務店の現場監督さんの全員が集まります。それに加えて、お客様が立ち会われないプラスアルファのチェックも行っています。

―― チェックリストのようなものはあるのですか?

阿部さん:
はい、竣工検査の時には、300項目の検査を徹底しています。その点に魅力を感じてご相談いただくお客様もいらっしゃるんですよ。

リノベーションはお客様も含めた共同プロジェクト

―― お客様との向き合い方でこだわりはありますか?

阿部さん:
弊社はご契約までの打合せの回数を多くとらせていただいています。

なぜ打ち合わせを重ねるかというと、お客様との意思疎通を大切にしたいということと、打ち合わせの内容を反映した精度の高い図面や仕様書をつくりたいからです。それによって、現場に入った時に変更の数も減らせますし、工期の遅延を防げるんですね。

また、見積もりの精度も上げられます。弊社は細かいパーツなども、必要なものはすべて見積もりに含めるのですが、会社さんによっては大きなもの以外は省略されるところも多いんですよ。なので、最初の金額で比較されてしまうと不利なのですが(笑)、その分、後になって金額が膨らむことを防げるんです。

―― 5回の打ち合わせというのは、それぞれ何をするかは決まっているんですか?

阿部さん:
はい、決まっています。
1回目の打ち合わせでは、平面のプランで間取りを決めます。2回目で電気の照明のスイッチの位置などを決め、3回目で仕上げ、クロスとかフローリングなどを決めていって、4回目に最終的な全体図と金額を決めます。そして5回目は契約前のご確認ですね。「こっちにしようかな、どうしようかな」…と気持ちが二転三転して迷っていらっしゃる場合などもあるので、今一度ご確認をして契約としています。

各回のお打ち合わせの後には、「次は電気のことを決めますから、おうちの中でどういうところにコンセントがあればよくて、スイッチの高さはどれくらいがいいか、考えてきてくださいね」「照明はダウンライトがいいかダクトレールがいいか、インターネット検索などでイメージしてきてください」というように、次回いらしていただく時までにイメージしていただきたいことをお伝えしています。

いつも、リノベーションはお客様と一緒につくっていくからこそ良いものができる「共同プロジェクト」だということを実感します。

マンションリノベーションは同じものが2つとないところが魅力

新築のマンションは、同じような間取りで作られることが多いですが、中古マンションはつくられた当時の建築手法で建てられているため、それぞれ造りが大きく異なるそうです。1つ1つ異なる物件を、それぞれのお客様と一緒に素敵な家にしていくことが、リノベーションの楽しさだと阿部さんは語ります。

設計事務所や工務店と共に現場を訪れた阿部さんは、お客様から「ゴールデントリオ」と呼ばれたこともあるそう。「お客様から感謝のメールをいただくと、うれしくて見えるところに貼っているんです」という阿部さん。阿部さんに依頼したお客様からの「リノベーション会社は“人”で選びました」とのお声が印象的でした。
対応業務 リノベーション (マンション)
所在地 東京都渋谷区
主な対応エリア 埼玉県 / 東京都 / 神奈川県
目安の金額

60平米 フルリノベ1,140〜1,500万円

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