2022/03/30更新0like8113view

著者:佐藤ゆうか

玄関上がり框の部材の特徴、高さや計画するときのポイント

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

玄関からホールに上がる段差に設置される「上がり框(あがりかまち)」。
使う部材や形状、高さなど、計画する際に検討するべきポイントがたくさんある場所です。

今回は、上がり框に使われる部材の種類と特徴、高さや計画のポイントなどについて解説します。玄関は家の顔とも言うべき、印象を左右する大切な場所。役割や材質の特徴をふまえて計画してください。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

上がり框とは?

上がり框は、「玄関框」「框」などとも呼ばれる、玄関から玄関ホールに上がる段差に対して水平に取り付けられる部材です。

玄関で靴を脱ぐ動作をサポートするほか、外と内を分ける役割もあります。
一定の段差を設けることで外からの汚れや水の侵入を防ぐものでもありますが、最近ではバリアフリーのためにあえて段差を設けないこともあるようです。

上がり框の素材と特徴

上がり框に使われる部材に決まりはありませんが、玄関の中でも目立つ箇所のうえ、毎日触れる部分でもありますので、以下の条件を満たす素材が好ましいでしょう。

・滑りにくい
・衣服に引っかかりにくい
・耐久性がある
・見栄えが良い
・掃除しやすく、清潔を保ちやすい

これらの条件を満たす代表的な素材と特徴について解説します。

框に使われる素材として、伝統的かつ最も普及しているのが木材です。
種類としては、無垢材、集成材、化粧シート材など。
価格帯や色合い、形状のバリエーションが幅広いことも、人気の理由です。
玄関に高級感を演出し、耐久性も申し分ないのが天然石。大理石や御影石が一般的です。
土間の仕上げも石材で統一すれば、高級な雰囲気に磨きがかかるでしょう。
薬剤に弱いため、手入れには少し気を遣う必要があります。
耐久性に優れているうえ清掃もしやすく、色柄が豊富で空間のコーディネートがしやすいのがタイル。高級感もあり、框として大変優れた素材です。

玄関土間の仕上げと框に使用するタイルを同じ種類のものにすると統一感が出ますが、あえて違うタイルを選ぶことで框部分をアクセントにするのも楽しいですね。
最近では、玄関スペースを土間仕上げにするなど、ライフスタイルに合わせた広さや配置でとても多様化しています。土間のモルタル仕上げをそのまま框にするなど、雰囲気あるインテリアスタイル作りができること間違いなし!

プラスチック

プラスチックを框形状に加工したものは低価格で施工性が良く、冷たくなりにくい特徴があります。金属同様、框として存在感を示すというよりも、見切り材のように使われることが多い素材です。

上がり框の高さ

上がり框の高さに決まりはありませんが、最近の住宅では、おおよそ階段1段分程度の高さ(約20cm)が一般的です。
ある程度の高さを設けることで、靴の脱ぎ履きの動作がしやすくなる、屋外の汚れや水が室内に入ることを食い止められるなどのメリットを得られます。

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階段1段分程度(約20cm)は、健康な大人が一度で跨げるくらいの高さですので、多くの人にとってちょうど良い高さと言えるのではないでしょうか。

ただし、お年寄りや子供、身体が不自由な人には大きな段差に感じるかもしれません。車いすの家族がいる場合や段差を作りたくない場合は、2cm以下の段差で調整することも。追加で手すりなどを設けたり、式台で高さを調整したりすることもお勧めです。
あえて框の高さを40cm以上設けて、ベンチや作業台として活用することも可能。
ただし、この場合は手すり、式台、踏み台などを設けて、安全に段差を上り下りできる配慮が必要です。

上がり框の計画4つのポイント

住む人にあった上がり框を計画するために、必ず確認したい4つのポイントをお伝えします。

(1)目立たせる?すっきり見せる?

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上がり框は玄関土間やホールの仕上げ材と同じ素材・色合いでまとめることが多いですが、同じ素材を使っても、その太さによって存在感は変わります。

目立たせた框は、段差を目立たせるだけでなく、室内と屋外の区切りや空間のアクセントなど、さまざまな役割を果たすでしょう。伝統的な日本の玄関の雰囲気づくりにも役立ちます。また、上記のような必要性を感じない場合は、上がり框の存在感を消すことも可能です。

近代的ですっきりとした雰囲気にしたいのか、それとも伝統的で目立つ雰囲気にしたいのか、使う人と求める雰囲気にあわせてさまざまな面から検討しましょう。

(2)足触りに配慮する

上がり框は、靴の脱ぎ履きをする際などに、足に触れる場所。

木材とプラスチック以外の素材はひんやりとした冷たさを感じやすいため、靴を脱いだ一歩目の不快感を軽減するなら、予算に応じて床暖房を設置するのもおすすめです。

高さを設けて腰かけられる形を選ぶなら、ひんやりしにくい木材を使うか座布団などを常備すると良いですね。

(3)家族に寄り添った計画にする

毎日使う場所でもある上がり框は、空間演出以上に安全性の確保が重要です。

足腰が不自由な家族がいる場合は、高さへの配慮が必須です。框の高さによっては外出が不便になり、活動範囲が狭まってしまう恐れもあります。
また、視力が弱い家族がいる場合は、段差を安全に昇降できるよう、框を目立たせるデザインがおすすめです。

(4)形状を考える

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直線で作られることの多い上がり框ですが、その形状は実は自由。曲線の框は、遊び心と同時に、訪れた人を柔らかく迎え入れる印象を与えますし、玄関の広さによっては、曲線の方が空間を有効活用できることも。直線以外の選択肢もあると知っていれば、計画の幅も広がりそうですね。
玄関に設置される上がり框は、家の印象を左右する大切な部分です。
訪れた人に良い印象を与えることはもちろん、住む人みんなが愛着を持てる場所にできるといいですね。
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佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
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