中古物件を買ってリノベーションするときに、どういう物件を選べばよいのか。リノベーションで変えられるところと変えられないところについて、どうやって知ればよいのか。図面から物件を読むコツについて、解体現場の実例とともに解説していきます。今回は主に水まわりの配管についてご説明します。
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中古マンションを解体してみると、物件によって違いが!
PSはリノベーションでも動かせない!
初めまして。東京・恵比寿にあるリノベーション会社のEcoDeco(エコデコ)です。この連載では、リノベーションを検討する方々へ向けて、「物件を読むコツ」について解説していきます。
対応業務 リノベーション (戸建、マンション、部分)
所在地 東京都渋谷区 (ほか全2拠点)
主な対応エリア 埼玉県 / 千葉県 / 東京都 / 神奈川県
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「読む」とは「予測する」ということでもあります。私たちのようにリノベーションに携わる者は、文字を読むかのように図面を読み、その物件に何があるのかを推測します。図面の何を見て、どう読み取り、それをどうリノベーションに生かしていくのか、その一端をお見せできればと思います。
中古マンションを解体してみると、物件によって違いが!
さて、まずは解体の現場を3件ご紹介します。見比べてみると三者三様でなかなか面白いと思います。
まずは、H様邸の物件。こちらは1981年9月築で、解体後はスッキリしていてとてもきれいな躯体です。
次は、N様邸の物件。こちらは1983年10月築で、最上階の物件です。
最後は、S様邸の物件。こちらは1970年7月築で、ラーメン構造なのですが、壁式構造のような躯体壁が出てきた物件です。
見た感じ全然違いますね〜。当時の施工方法や物件の位置(最上階なのか、角部屋なのか)、そして竣工当時の間取りによって、解体した後に出てくる躯体の表情は全く異なってきます。
それでは今回は、「設備配管」について解説していきましょう。3つの写真を見ていただいて、【N様邸の写真】にはタテに通った配管が3本あったと思います。これについてです。
これは、トイレやキッチン、浴室などの排水を下水道まで流すための管で、「共用配管」といわれるものです。専有部の室内にありますが、共用部にあたるので、勝手に切ったり曲げたりできないものです。(ちなみに窓サッシも共用部です)
この管を壁で囲ったのが「パイプスペース(PS)」といわれるものですね。
区分は下記画像のように、接続部分で専有部と共用部に分かれます。
この管が通っている場所が中古マンションの「販売図面」ではどうなっているかといいますと、こんな感じです。
柱と同じように黒く塗りつぶされている状態です。これでは、一般の人は分からないですよね。。。(ちゃんとPSと表記してある販売図面もありますよ!)
でも、この「黒い四角」が「PS」だ!と読むコツがあります。
それは、「キッチンやトイレなど水を流す場所に近いこと!」そして、「柱のように同じ形で同じような位置にないということ!」
言われてみると皆さん納得できると思います。だって、排水用の配管ですから。
マンションの竣工図で確認すると、ちゃんと配管が入っていることが分かりますが、これを知っていればPSと書かれていなくてもそこがPSだと予測できると思います。
PSはリノベーションでも動かせない!
「PS」はトイレやキッチン、お風呂の排水管がつながる「共用配管」があるスペースですが、これの重要なポイントはリノベーション計画の際にレイアウトに大きな影響を与えるということです。
これは専有部の中にあっても撤去することができないのでそのまま残ります。
つまり……
「広い1室を設けたいけど、部屋の中にPSがでてきてしまうー!」ということになってしまうので要注意だということです。
「どんな間取りにしたいか?」と、「どこにPSがあるか?」は同時に考えないと大変なことになってしまうので、販売図面で室内にPSを発見したらムムッ!とイメージを膨らませてみてください。ただ、このような制約があったとしてもレイアウト変更はもちろん可能です。
例えば、以前手がけたM様邸では「ついつい長風呂がしたくなるレイアウト」が特徴の1つなのですが、何をしたかといいますと……
お風呂とキッチンの位置を入れ替えたのです!! この入れ替えによって「窓に面したお風呂」ができあがり、外を眺めながら長風呂を楽しむことができるようになりましたー。
キッチンの排水とお風呂の排水は「雑排水」なので入れ替えてもOK!
(トイレは汚水になるので他の排水管と入れ替えはできませんのでご注意を!)
窓のないマンションのお風呂も、リノベーションで開放的なバスタイムを満喫してもらえます!
次回は、トイレの配管と間取りの関係について解説いたします。