2021/06/22更新2like7512view

著者:佐藤ゆうか

住宅に優秀素材のコルクを使おう!特徴と選び方のポイント

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

コルクといえば、ワインの栓やコルクボードが思い浮かぶかもしれません。
軟らかく、水に強い特徴を持つコルクは、その他にもたくさんの優れたところがあるとても優秀な素材です。
住宅では、床や壁の仕上げ材、断熱材として使われることがあり、自然派素材として人気を集めています。
今回は、そもそもコルクとは何なのか?ということから、住宅に使われるコルクの種類と特徴、選び方のポイントについてお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

コルクとは?

そもそもコルクとはどのようなものなのでしょう?
コルクを観察すると、木材のように見えますし、軽く、軟らかさもあり、不思議な質感ですよね。
コルクの基本的な知識をお伝えします。

コルクの作り方

コルクとは、「コルク樫」という木の表皮を加工して作ります。
建材としてのコルクは、ワイン栓の端材を加工して作られることが多いです。

コルクを作るのは、とても大変な作業ですが、簡単に言うと次のような手順です。
1. コルク樫の皮を剥ぐ
2. 皮を天日干しして乾燥させる
3. 剥がされた皮を蒸し、平らにする
4. ワインコルクの栓型に型抜きされた、余りの部分を細かく砕く
5. 接着剤と混ぜ合わせ、短冊形状に成型する
6. 商品の仕上げに応じて表面の強化等を行う
7. 商品の大きさに裁断する

コルクの特徴

コルクの特徴をお伝えします。

コルクの原料がコルク樫。皮を剥がれたコルク樫は、10年すれば元の状態に戻るため、樹木を伐採しなくても原材料をくり返し得ることができます。
ワインの栓としてお馴染みのコルクは、耐水栓に優れた特徴があります。
その特性から、水まわりにも安心して使えます。

軟らかい

コルクの持つ弾性は、床材として使うことで足腰の負担を軽減し、衝撃を和らげます。
立ち仕事をするキッチンや、ユーティリティはもちろん、内装の床に使うことで身体に優しい住まいになります。

肌ざわりがいい

コルクの持つ調湿性によって、湿気の多い時期はサラっと涼しく、冬は保温性・断熱性によって、温かみのある心地よい肌ざわりを楽しめます。
衝撃や音を吸収する特徴があり、マンションや二世帯住宅の2階、子供部屋など、下階に音を響かせたくない部屋の床材にぴったりです。
音楽ホールの仕上げ材としても使われることがあります。

唯一無二の素材

古代ギリシャ時代より、入れ物の栓として使われてきたコルクは、現代にいたるまで代替品が誕生せず、唯一無二の素材として親しまれています。

住宅に使われるコルクの種類

優秀素材のコルクは、住宅のいろいろな場所で活用することができます。
コルクの種類を確認しましょう。

コルク材をタイル状に加工したもので、床材として使われます。
表面の加工(仕上げ)によって異なる質感と性能があり、防滑仕上げや表面強化、土足対応、床暖房対応など、さまざまなものがあります。
比較的目地の継ぎ目が目立たない仕上がりになります。
コルク材をフローリング形状の長方形に加工したもので、床材として使われます。
コルクタイルと同様に表面の加工によって、異なる質感と性能が楽しめます。
フローリング形状のため、施工性がよく、床材の継ぎ目が目立つ仕上がりになります。

ウォールコルク

コルク材をパネルやタイル形状に加工したもので、壁や天井の仕上げ材として使われます。
壁面のアクセントとして、壁紙では表現しきれないコルクの優しく温かな風合いを演出できる上、遮音性や調湿性も備えています。

浴室用コルク

タイル形状に加工されたコルク材で、浴室の床に使われます。
優れた防水性、保温性がある上に、滑りにくく、弾力があります。
冷えにくく、浴室の床としての機能性、安全性を兼ね備えた床材です。

防音・断熱床下地材

シート状のコルクで防振材を挟んだ床下地材で、遮音性、防音性、断熱性、防振性に優れています。
仕上げにコルクタイルを施工することで、さらに優れた防音性や断熱性などを期待することができます。

造作材

巾木や見切り材、枠材などの形状に加工されたコルク材で、コルク製の床材や内装材と併せて使うことで、調和のとれた内装を演出できます。

コルク断熱材

炭化発泡させたコルク材で、床、壁、天井、屋根の断熱材として使うことができます。
住宅の断熱材として主流なグラスウールと同等の熱伝導率を持つ上に、結露やダニ、悪臭を抑制する効果も期待できます。

コルクシート

薄くシート状にしたコルク材で、内装の仕上げ材や下地材などに使われます。
掲示板を兼ねた壁仕上げとしてはもちろん、遮音性、断熱性をアップするためのクッション材としても使えます。

住まいに使うコルク材選び方5つのポイント

種類豊富なコルク材を的確に選ぶためのポイントを解説します。

1. 厚みで選ぶ

コルク材の厚みがあるほど、防音性や断熱性や軟らかさなど、コルクの優れた特性が活かされますので、3mm以上のものを選びましょう。
コルクの質感や見た目を重視する場合は、3mm以下のリーズナブルなものもありますが、防音性や断熱性はじめ、耐久性や耐摩耗性に劣ります。

2.滑りにくさで選ぶ

コルクはもともと滑りにくい床材ですが、表面の加工方法によって質感が異なり、滑りやすさも変わってきます。
はだし、靴下、スリッパ、土足、ペットなど、主に配慮したい家族の足元の様子に応じて、適した防滑加工がされた商品を選べるといいですね。
コルクは表明加工の種類によって、使用するワックスや適したお手入れ方法が異なります。
住まいにコルクを使う場合、長い付き合いになりますので、手入れが苦にならないものを選ぶようにしましょう。
コルクといえば、薄茶色のイメージがあるかもしれませんが、着色加工することでさまざまな色合いを楽しむことができます。
色合いは、必ず実物サンプルを取り寄せて、できるだけ大きい面積で確認するのが大切です。お部屋のイメージやインテリアに合ったものを選びましょう。

5.価格で選ぶ

優れた素材であるコルクは、他の建築材料に比べて高価です。
床材のフローリングタイルの場合、スンタンダードなフローリングと比較して約1.3倍の値段になっています。
予算が厳しい場合、子ども部屋や洗面室、トイレなどの限られた空間や、リビングの一部など、使用する部屋や範囲を選ぶといいでしょう。
予算に合わせて住まいに取り入れられるといいですね。
コルクとは何なのか?ということから、住宅に使われるコルクの種類と特徴、選び方のポイントについてお伝えしました。
コルクは、住宅はもちろん、老人福祉施設や保育施設はじめ、商業施設などでも幅広く使われています。
高価な材料ですが、住まいを快適にしてくれる優れた素材なので、家づくりの際にはできる範囲で取り入れてみてください。
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