2016/09/27更新3like4931view

著者:SUVACO編集部

専門家フィーチャー

物件のプロはここを見ている!「リノベーション向き」中古マンション、本当の見極め方

中古マンションを買ってリノベーションしたい!と思っても、そもそもどうやって探せばいいかわからない方も多いでしょう。今回は、リノベーション向き中古マンションを専門とする不動産会社である株式会社ミライズの鈴木社長と竹越さんに、物件のプロならではの選び方・見極め方のコツを聞いてみました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

自分好みにリノベーションしたいなら未着工物件を狙え

SUVACO編集部(以下、編集部):「リノベーションをしたい」という方の中にも、はじめから家を持っていてそれをリフォーム・リノベーションしたいという方と、物件探しから始める方とがいらっしゃいます。今回は、リノベーションすることを前提に中古マンションの物件探しをする人をメインターゲットとして、話を進めたいと思います。

中古マンション物件の中でも、リノベーションに向いているとされる物件は、「リノベーション向き物件」と称して、不動産会社のサイトやポータルサイトで取り上げられることも多いです。しかし、こうした「リノベーション向き中古マンション」については、共通の定義があるわけでなく、各会社・ポータルサイトによって微妙に異なることもあるため、ユーザーとしては正直わかりにくい部分もあります。

そこで今回は、リノベーション向き物件を専門的に扱われているミライズさんに、貴社が考える条件についてお聞きしたいと思います。
ミライズ鈴木社長(以下、鈴木):まずは中古マンション物件の流通経路を知っておくとよいと思います。たとえばAさんという方が、自分が持っている物件を売りたいとします。たいていの場合は、まずは仲介会社となる不動産会社Bがその物件を請け負い、買主を探すわけです。ここで買主が見つかれば、物件の売却に成功するわけですが、これとは異なるもう1つの販路があります。

Aさんの物件を請け負ったB社が、さらに別のC社に物件を売るというケースがあります。C社は、その物件をリノベーションして新築同様あるいはそれ以上の内装にグレードアップさせることで、より高い価格で売るという方法です。こういった物件を「再販物件」と呼びます。

この再販物件は、新築並みあるいはそれ以上の内装・間取りになった物件を、新築よりも割安な価格で購入することができるため、人気があります。

ですが、今回ターゲットとしている方は、物件を買って「自分で」リノベーションしたい人ですから、むしろこうした再販物件にはなるべく手を出さないほうが良いでしょう。

なぜなら、内装や間取りに手を入れていることで、何もしていない中古物件よりも当然、販売価格が上がってしまいますし、むしろ自分好みにリノベーションしたい人にとっては、多くの人に受け入れられそうな最大公約数的な住まいになってしまう恐れが高いためです。


編集部:ということは、自らリノベーションしたい人は、なるべく何も手を入れられてない物件を探したほうがよいということですね。では、そういった物件はどうやって見つければよいのでしょう?

プロじゃなくてもすぐに実践できる、リノベ向き物件の見つけ方

ミライズ竹越さん(以下、竹越):我々は物件探しのプロですから、様々なノウハウを駆使しますが、一般の方がすぐにご活用できる方法をお教えしましょう。ポータルサイトやちらしなどで、物件広告を見るときにぜひ注目してもらいたいポイントがあります。それは、「和室」「キッチン」「築年数」です。

物件広告には間取り図がありますよね。ここに和室があるかどうかを見てください。昔の間取りには和室が必ずのようにありましたが、最近では和室がないことがほとんどです。もちろん、琉球畳のおしゃれな和室をつくることもありますので必ず使えるワザではないのですが、間取り図に和室が書いてある場合、リフォーム・リノベーションをしていない未着工物件である可能性が高いといえます。もしリノベーションしていれば、たいていは和室がなくなっているからです。
もう1つはキッチンのレイアウトです。今時のキッチンの主流は対面式カウンターです。ということは、壁の方を向いた壁付キッチンの間取りであれば、まだリフォーム・リノベーションされていない物件である可能性が高いといえるわけです。
あとは築年数を見ます。わたしは大体、「築15年以上」を1つの基準にしています。ご存じの通り日本では、物件の資産価値は新築時が最も高く、年数に応じて下がっていきます。

ですので、リノベーション前提で物件を購入する場合は、ある程度年数が経ったもののほうが、よりお得に購入できるということです。もちろん、管理や建物の構造がしっかりしていることが前提ですが。

今、申し上げた「和室」「キッチン」「築年数」は、どなたでもすぐにチェックできるポイントですので、覚えておくと便利だと思います。


編集部:管理と構造の話が出ましたが、このあたりはどうやってチェックすればよいのでしょうか。

鈴木:ここは我々のような不動産のプロの出番になるかと思います。たとえば管理に関しては、そのマンションがこれまでにどのような修繕を行なってきたか、管理組合がきちんと運営されているか、特に資金運営が適切になされているかなどを、資料を取り寄せて詳細に見ます。
管理に関する重要事項調査報告書の見本。こういった資料を元に、そのマンションの管理が適切かを診断するのもプロの仕事だ

管理に関する重要事項調査報告書の見本。こういった資料を元に、そのマンションの管理が適切かを診断するのもプロの仕事だ

マンション管理は会社の経営のようなものです。資金がきちんとストックされているか、正しい使われ方をしているか、今後の修繕計画は適切かなどを資料から読み取り、あたかも健康診断のように判断しています。これは一般の方ではなかなか難しいと思いますので、プロの力を借りるのが一番です。

部屋に入る前にココを見る!エントランスまわりで注目すべき点

編集部:購入したい物件の目星がついたら実際に現地を内覧しますが、プロはどんなところを見ているのでしょうか。


竹越:現地で分かることは実はたくさんあります。実際にその場で確認してもらうのが一番ですので、我々も内覧に同行しますし、現地でのセミナーも実施しています。現場でご説明すると、皆さん驚かれることが多いですね。

編集部:さわりだけでもいくつか教えていただけますか。


竹越:マンションの現地に行くと、つい購入を検討している住戸ばかりが気になってしまうと思いますが、その前にマンション全体をチェックする必要があります。

たとえばエントランスまわりを見れば、管理の状況が分かります。私が必ずチェックするのがポスト。ここに法人名や事務所・店舗の名前が書いてあれば、入居者以外が入ってくることの多いマンションだということが読み取れます。

また、掲示板もヒントになります。総会の議事録などでどんなことが議題になっているのか分かりますし、掲示物の貼り方1つで、少々マニアックなノウハウですが、管理人さんの性格が推測できたりもします。ゴミ置場の状況なんかも必ずチェックしますね。

さらに駐輪場にある自転車、バイクを見れば、どういう世代が多いのか、小さなお子様がいるのか、あるいは単身者が多いのかといったこともけっこう分かります。

このように部屋に入る前にも、マンションのクオリティを読み取るサインはたくさんあるんです。

住戸に入ったら壁を叩く?プロは部屋ではこう動く

編集部:お部屋の中に入ったら、プロはどこに注目するのでしょうか。


竹越:住戸内で見るべきポイントはもちろんたくさんありますが、その中でいくつかお話しすると、私はまず玄関に入ったらドアの両脇の壁を叩きます。リノベーションによって動かせる壁なのか、動かせない壁なのかは、叩いたときの音でおおよそ分かります。

昔のマンションは玄関が狭い間取りが多いのですが、最近では愛用の自転車を置きたい、ベビーカーをしまいたい、靴がたくさんあるのでシューズインクローゼットをしつらえたいなど、玄関に求められる要素が増えています。ですので、玄関の間取りが変更できるかどうか、壁を叩いて確認するのです。
さらに、変更できるかどうかという点でチェックするのはトイレです。排水管の問題があってトイレを動かすことはそもそも容易ではないのですが、排水管が壁に付いている壁排水よりは、床に付いている床排水のほうが多少動かせるケースが多いので、そこは初めに必ず見ておきますね。トイレの位置で全体の間取り構成がある程度決まってきますから。

ほかにも、キッチン、浴室、電気、天井裏など、見るべきポイントは様々です。このあたりはぜひ我々のようなプロの力を活用していただきたいですね。
【取材協力】株式会社ミライズ
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