2020/05/23更新0like3312view

著者:原 ふりあ

家づくりにおける失敗しない「色」の話

この記事を書いた人

原 ふりあさん

アトリエ系設計事務所に所属して住宅や大規模建築の設計を行うかたわら、自ら設計や執筆活動も行っています。一級建築士。

インテリアにこだわりたいけれど、色や素材を上手に組み合わせる自信がない。長く住むから、無難にまとめたほうがいいのではないか……。家づくりをしているとそんな葛藤がありませんか?色の選択というのは、プロにとっても難しいもの。知っておくと良いことを、少しだけお話しします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

壁に色をつけてみよう

今回取り上げるのは、延床面積約78㎡のマンションをリノベーションしたこちらの事例。
特にリノベーションの場合、間取りを変えるだけでなく思い切って色を入れてみると、空間の雰囲気をガラっと変えることができます。上の写真はリビングですが、広く塗られた水色の壁が印象的ですね。さらに、向かって右側の壁はまた別の緑色を塗っています。

ここまで広い面積に複数の色を使用しても、雰囲気が損なわれないのには理由があります。

(1)テクスチャ―のある色を使う

こちらは玄関の写真。向かって左側の紫色の壁は、よく見てみると表面にムラがあります。使用しているのは「ポーターズペイント」という塗料。

ポーターズペイントの塗料には、目の細かいもの/粗いものなどいくつか種類がありますが、この事例では目の細かい塗料を使用しているようです。ゴツゴツとしたテクスチャではなく、マットでありながらさりげない塗り跡が残り、「手仕事感」が感じられます。

ポーターズペイントはプロにも愛好者が多い商品です。塗りムラが濃淡を生むため、均一な表情のクロス(壁紙)にはない味わいが得られます。塗ったばかりでも以前からそこにあったような自然な質感で、色が浮きません。
この写真のようなアンティーク調の照明器具とも相性がいいのです。

(2)色のトーンを統一する

「ポーターズペイント」の場合は、もともとのラインナップにグレイッシュな(グレイがかっている、くすんでいる)色が多く、複数の色を使ってもまとめやすいよう配慮されています。
有彩色(白黒ではない色)には「トーン」という概念があります。わかりやすいのは一般的に原色と呼ばれる「ビビッドトーン」、淡いパステルカラーの「ペールトーン」。他にも明るい=「ライトトーン」、暗い=「ダークトーン」、鈍い=「ダルトーン」などがあります。

色のトーンは塗料やクロス、さらには家具などを選ぶ際にも使えるテクニック。トーンを統一してあげると、複数の色を組み合わせた際にも全体が違和感なくまとまります。
トイレの壁に入れたこの黄色。もしビビッドトーンだったら、とても浮いて見えるでしょう。

家の壁など簡単に変えられない場所に使用する色は特に、彩度が低いトーン(グレイッシュ、ダル、ダークなど)のほうが飽きがこず、他の素材とも合わせやすくなるのでおすすめです。

(3)色と面積の関係に注意!

サンプル帳やチップで色を選ぶ際に注意したいことがあります。それは、「面積が大きくなるほど、明るい色はより明るく彩やかに見え、暗い色はより暗く見える」という色の性質です。

有彩色の場合、特に前者に注意。小さなサンプルでちょうどいいと思った色よりも、あえて1、2段階落ち着いた色を選ぶようにしましょう。

こうした色の性質は「面積効果」と呼ばれ、プロの建築家でも惑わされることがあります。塗料だけでなく外壁材なども含め、大きな面積に使う色を選ぶ際には要注意!知識として覚えておくことが大切です。
この珍しい「囲碁スペース」。非常に限定的な用途のためのスペースで、とても楽しそうです。

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以上の3点に注意すれば、きっと失敗なく色を選べるはずです。たくさんの色を使いたいと思ったときにも、常に家全体でのまとまりを考えて、少しだけ慎重に選んでみてくださいね。
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アトリエ系設計事務所に所属して住宅や大規模建築の設計を行うかたわら、自ら設計や執筆活動も行っています。一級建築士。

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