2020/10/09更新1like5119view

著者:岩間光佐子

災害時の安全・安心に配慮した住宅設備機器&建材とは?

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

予測がつかない地震や台風などの自然災害。日々の準備や心がけはもちろんですが、住宅設備機器や建材などには性能や使い勝手だけでなく、万が一の災害に対して配慮した機器もみられます。ここでは、どのようなアイテムがあるのか、新築やリフォームの際に知っておきたい種類や特徴などをみていきます。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

いつ起こるかわからない災害に配慮した設備や建材を選びたい

地震や台風、大雨や強風など、毎年のように日本各地では自然災害が起こり、甚大な被害が出ています。いつどのような災害に見舞われるのかわからない中、日常の暮らしの中で、防災意識をいかに高めておくかはとても重要です。

新築やリフォームを検討しているのであれば、構造や間取りなど、災害に対して安心で安全なプランニングを進めると同時に、設備機器や建材に関しても、性能や使い勝手だけでなく、災害時を意識した商品選びを心掛けたいものです。また、災害そのものに対してはもちろん、避難時の安心や安全を確保することができるアイテムもみられるので、さまざまな災害時の状況をイメージして、わが家に必要な商品を検討するようにしましょう。

災害から家を守る建材機器

■ガラスの飛散を防ぐ窓シャッター
ここ数年、大型台風の被害などが多く伝えられる中、窓まわりのプランニングに変化がみられるようです。暴風雨や飛来物による窓ガラスの破損への不安から、特に注目されているのが窓シャッター。耐風性能を高めたタイプや後付けでリフォームしやすいタイプなどメーカー商品も充実してきています。手動での開閉だけでなく、スイッチやリモコンで操作可能な電動タイプもあり、最近では、スマートフォンでも操作可能な商品もみられます。

新築の場合、デザインや予算などの関係から窓サッシのみというプランも多くみられますが、強風を受けやすい地域、周辺環境などによっては設置を検討してもいいでしょう。また、窓シャッターは飛来物から窓を守るだけでなく、防犯性が期待できること、羽根の調整ができたり通気孔を持つタイプであれば光や風を採り入れ、プライバシーを守ることができるのもメリット。窓と二重となり断熱性能が高まるので、冬は結露を低減、夏は太陽熱の流入を抑えることもでき、快適さと省エネルギーにもつながります。
■風や雪に強いカーポート、テラス屋根、フェンス
エクステリア建材でも、強風や積雪に対して配慮されたカーポートやテラス屋根、フェンスなどの商品が充実してきています。これらの建材を検討する際には、設置する地域の気象条件、台風や強風の発生や積雪量などを考慮して、エリアに適した性能を持つタイプを選ぶことが基本です。

カーポートやテラス屋根には、地域の特性に合わせたタイプも多くラインアップされており、特に最近では、耐風圧強度とデザイン性を高めた商品がみられるようになりました。積雪地域や豪雪地域向けのタイプなども揃っているので、地域に合わせて十分に検討を。また、地震時の被害などもあり、ブロック塀からフェンスへのリフォームも増えてきています。台風などのリスク対策として、耐風圧強度を高めた強靭なフェンス商品もみられます。エクステリア商品は、敷地の外とも大きく関わるもの。設置する地域の特性に合わせた機能を持つ建材商品を選び、適した施工を施すことが大切でしょう。
■落雷の被害を避ける避雷器
異常気象の中、落雷の事故も聞かれます。万が一、住まいの近くに雷が落ちた場合、周辺の電線や電話線、アンテナなどに非常に大きな電流が瞬間的に流れ、家電製品などを故障させるケースもあるようです。被害を無くすためには、避雷器付きの分電盤を設置する方法があります。電柱や地面から入ってくる大きな電圧を察知し、電流を地面に流すことができるもので、家電製品はもちろん、パソコンのデータ消失なども避けることができるでしょう。

避難時に安心な設備・建材

災害による停電の中で避難をすることは、危険が伴うもの。暗い夜間では、けがや転倒などの恐れもあり、安全に避難するためには、懐中電灯などによる灯を確保しておくことが必要です。照明プランを検討する際に、災害時への配慮のあるタイプを選ぶこともひとつの方法。たとえば、平常時には足元(ナイトライト)として利用でき、停電と同時に点灯し保安灯となる照明器具もみられます。避難時に携帯電灯として使用できる取り外し可能なタイプもあるので、設置する部屋や場所によって選ぶようにしましょう。
■地震などによる通電火災を防ぐ感震ブレーカー
災害時に自宅から避難する際に、忘れがちなのが分電盤のブレーカーを切ること。動転してしまい、そこまで気が回らないケースも多いでしょう。しかし、ブレーカーを切らないと、停電が復旧した際に、暖房機器などに可燃物が接触したり、傷んだコードに再び電機が流れ通電火災が起こる場合もあります。揺れを感じると警報音を鳴らし、主観ブレーカーを強制遮断する感震ブレーカーを設置しておくことで、ブレーカーを気にすることなく避難することができるでしょう。
■停電でも電力を確保可能な太陽光発電システム+蓄電池
停電時に役立つ機器としては、太陽光発電システムや蓄電池が挙げられます。太陽電池モジュールや周辺機器、分電盤に被害がなければ発電することが可能。手動で自立運転に切り替えることで、非常用コンセントから電力を利用することができます。家電製品や携帯電話の充電、災害情報や避難情報などを確認できるのは安心でしょう。また、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、夜間は蓄電池に蓄えた電気を使うことも。長期的な停電にも対応することができるでしょう。
■断水中に生活用水として利用できるエコキュート
災害時には、ライフラインが途絶えてしまうこともあるものです。断水による生活用水の不足は重要な問題です。日々の暮らしの中でお湯を生み出す給湯機器にはいくつかのタイプがありますが、電気を用いた貯湯式のエコキュート(自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機)は、タンクの水を非常時に使用することが可能。深夜電力などを利用してお湯を焚き上げてタンクに貯蔵しているので、飲料水としては利用できませんが、災害時の停電・断水時でも非常用コックから生活用水としての水を取り出すことができます。選ぶ際には、タンクの容量に注意を。家族構成やライフスタイルに合わせて選ぶことがポイントです。
■断水中でも生活用水になる雨水タンク
家での時間も多くなり、花や野菜を育て、ガーデニングを楽しむ方も増えているようです。庭での作業では、環境に配慮することの大切さを感じる中、水撒き用に雨水タンクの設置する方もみられます。雨水タンクとは、文字通り雨水を貯める容器のことで、屋根に降った雨水を雨どいを通じて集めて貯めるというもの。タンク下部に設けられた蛇口から貯めた水を利用することが可能です。飲料水にはできませんが、水撒きはもちろん、掃除や車の洗浄に利用することも。災害時にはトイレ用水などとして使うこともできますし、手を洗ったり、洗濯の下洗いなど重宝するでしょう。
新築やリフォームの際には、多様な設備機器や建材を選ぶ必要があります。間取りプラン、ライフスタイルや家族構成、予算などに合わせて検討することが基本ですが、地域の自然環境や特性などを考慮して、防災を意識することも重要でしょう。普段の暮らしの快適さだけでなく、災害時には安全か、利用することができるか、という視点も必要になってきているように思います。

また、新居に取り入れた機器に関しては、災害時の使用方法を確認するとともに、実際に操作してみることも重要です。家族みんなで試してみることで、緊急時にも慌てずにすむでしょう。
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