2020/11/01更新0like6606view

著者:岩間光佐子

ガレージ?カーポート?わが家ならではの駐車スペースの考え方

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

駐車スペースのプランニングは、日々の使い勝手や安全面だけでなく、建物本体の間取りにも影響するもの。ガレージとするのか、カーポートを設けるのか、新築であれば、敷地全体で検討することが重要です。ここでは、駐車スペースの考え方やプランニングのポイントをまとめました。

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建物プランと同時に、出入りのしやすさや安全性などを考慮する

家づくりを進める中では、どうしても建物本体の間取りやデザインに気をとられ、エクステリアは後回しになりがちです。しかし、門まわりや駐車スペースなどをどう配置するかは建物のプランにも大きく影響するもの。特に駐車スペースは使い勝手や安全性にも関わるので、敷地全体のゾーニングや建物の配置計画と同時に検討することが大切です。

駐車スペースプランのポイントは、まず、前面道路との位置関係や道路の幅、出入りのしやすさや安全性などを考慮すること。その上で、敷地のどこにスペースを確保するのかを検討するようにしましょう。合わせて、車の台数、車高や幅、長さ、ドアの開閉スペースなど、適する広さを確保すること。また、駐車スペースを直角とするのか、縦列とするのかなど、出入口の間口サイズや車の回転半径を考慮してプランニングすることが大切です。

また、現在所有の車や台数だけでなく、将来の買い替え、追加購入なども含めて考えておきたいものです。新築を機に買い替えや購入の予定があれば、希望する車のサイズなどもチェックしておくこと。その他、お客様が多いのであれば、来客用スペースも必要かもしれません。前面道路の状況や近隣の駐車場の有無なども確認した上で検討するようにしましょう。

玄関アプローチとの関係を十分に検討したい

毎日の暮らしの中で、使いやすい駐車スペースとするためには、動線計画を十分に検討することが大切です。

たとえば、通勤や送り迎えに使用するのであれば、玄関との行き来がしやすいようなプランに。買い物で多く使うのであれば、勝手口やサービスヤードの近くに設ければ、雨の日にも使い勝手がいいものです。

駐車スペースだけでなく、玄関アプローチも兼ねる場合などは、ある程度のゆとりの空間を確保したいもの。家族に幼いお子さんがいる場合であればベビーカーなどで行き来しやすいスペースを、高齢の方がいらっしゃる場合には、車椅子に乗り降りしやすい配慮も必要でしょう。また、車だけでなく自転車やバイクを置く場合も、それぞれが出し入れしやすいスペースを確保するようにしましょう。

駐車スペースプランの種類

一般的な戸建ての場合の駐車スペースのプランには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解して、敷地条件や建物のプラン、予算などを合わせて検討するようにしましょう。

■駐車するスペースのみ確保する
上屋(屋根)などを設けずに、駐車可能なスペースだけを確保するプラン。オープンなため敷地が広々と感じるメリットがあります。比較的工事費も安く済むでしょう。床面はコンクリートやレンガ、石などを用い。防犯面に考慮して境界にカーゲートを設置するケースもみられます。
■ガレージ(車庫)を設ける
ガレージとは車庫とも呼ばれる、自動車を格納するため建築物のこと。雨や風、ほこりなどから車を守ることができるので、良好な状態で維持することが可能です。また、防犯を重視したい場合などに適しています。

ゆとりのある敷地であれば、独立したガレージを設置することも可能ですが、都市部では、建物に組み込んだり一部を利用したりするケースが多いでしょう。たとえば、3階建て住宅などにみられるのが、地上(1階部分)が駐車スペース、その上に建物(居室)を設けたプラン。駐車スペースに壁などを設けないオープンなピロティタイプもありますし、シャッターやドアを設置したクローズドタイプは、ビルトイン(インナー)ガレージと呼ばれています。

建物の1階部分に駐車スペースを配する場合、出入りのために大きな開口部を設けるので、構造面などは設計担当者に十分に検討してもらうこと。クローズドタイプの場合は、シャッターの性能や換気・吸音、床の防水・耐油性能などに関しても配慮することも重要です。趣味が車という方の場合、駐車するためだけでなく、工具などが収納できたり、リビングなど住まいの中からも車を楽しめるようなビルトインガレージとする例も。このような住まいのことをガレージハウスと呼ぶこともあるようです。
松村泰徳建築設計事務所「広山の家~ビルトインガレージのあるコートハウス~」
■カーポートを設置する
比較的多くみられるのが、車のスペースに上屋を設ける(カーポートを設置する)タイプ。建物本体に合わせオリジナルで造作することもありますし、メーカー商品を取り入れるケースも。メーカー商品はバリエーションも豊富なので、新築でもリフォームでも取り入れやすいでしょう。

メーカー商品には、屋根の支持の仕方の違いによって、片側支持(片流れ)タイプと両側支持タイプなどがあります。屋根材は、ポリカーボネートやFRP、スチール折板などが揃い、多くみられるのはポリカーボネート。選ぶ際には、デザイン性や価格だけでなく、地域特性に合わせた商品とすることが基本です。雪の多い地域では耐積雪強度のある商品を、台風や強風などが多い地域には、耐風圧性能の高い商品を設置すること。近年の異常気象を踏まえ、性能面をしっかりと確認することも重要です。

環境によっては防犯面も考慮したい

周辺環境やプランニングにもよりますが、防犯性にも配慮しておきたいものです。出入口にカーゲートを設置する、防犯カメラなどを設けておくことも考えられるでしょう。

■カーゲート
駐車スペースの出入口に設けるカーゲートには、シャッタータイプ、跳ね上げタイプ、引き戸タイプ、伸縮・折れ戸(折りたたみ戸)タイプ、伸縮・アコーディオンタイプ、車止め(ポールゲート・チェーンポール)などがあります。それぞれに特徴がありますが、防犯面を考えれば、境界線を示す程度の車止めタイプより、跳ね上げタイプや伸縮タイプ、引き戸タイプなどの方が適しています。進入防止が目的であれば、シャッターや高さのある折れ戸や引き戸タイプなどがいいでしょう。

最近では操作性が高まり、リモコンで開閉できるタイプなどは出し入れの際に使い勝手もいいものです。スマートフォンを利用できる商品などもみられるようになりました。

■防犯カメラ
侵入者を知らせてくれる防犯カメラなどを設置する方法も考えられます。たとえば、侵入者を感知すると光や音声で警告するもの、室内の受信機に通報するシステムなどもあるので、テレビドアホンなどや住まい全体の防犯プランと一緒に検討するといいでしょう。

駐車スペースにあると便利なアイテム

駐車スペースのプランニングにもよりますが、スペースの確保だけでなく、設置しておくと便利なアイテムもあるので、使い方に合わせて取り入れるといいでしょう。

■照明
夜間に車を出し入れすることが多い場合、防犯の面の配慮などから、照明を設置しておくと使い勝手もいいでしょう。車の出し入れや乗り降り、トランクの荷物の搬入出がしやすいような位置に設けることが基本。また、人が近づくと点灯するタイプや暗くなると自動で点灯するタイプなども便利です。

■クッション材
駐車スペースが狭い、運転歴が浅い家族がいる場合などは、塀や柱にクッション材を設置しておくと安心でしょう。カーポート商品のオプションには、樹脂製のタイプなどの設定がみられます。

■タイヤ止め(カーストッパー) 
駐車スペースのプランにもよりますが、不意の事故に備えて車止めを設置しておくと安心でしょう。複数台駐車する場合などは駐車位置の目印にもなるのもメリットです。

■コンセントや充電設備  
車内用の掃除機や洗浄機などを用いる場合など、近くにコンセントがあると便利です。外回りのプランにもよりますが、庭仕事やDIYなどの作業と兼用できる場所に設置しておいてもいいでしょう。

電気自動車の場合であれば、充電設備が必要です。充電用屋外コンセントもありますし、充電専用のポールなども増えてきました。表札やポストなど門まわりの機能を備えた門柱に組み込んだタイプなどもみられます。将来的に購入を予定しているのであれば、事前に設置しておく方がいいでしょう。
  
■立水栓  
洗車のためには、屋外用の立水栓も必要になります。コンセント同様、庭仕事などと兼用できる場所に設置しておく方がいいでしょう。

■収納
駐車スペース近くには、車関係の工具類などの収納スペースがあると便利です。ビルトインガレージであれば、造り付けの棚を設けておくといいでしょう。

エクステリア全体で検討を。アイテムや素材はショールームで確認

駐車スペースは、それなりの広さを確保する必要があるので、新築の際は早い段階からしっかりと検討することが大切です。実際の家づくりの中では、設計担当者(エクステリア工事施工担当者)などからの提案を確認し、進めていくことになるでしょう。毎日暮らしの中で、誰が、いつ、どのように車を使用するのか、新しい家での生活をイメージしながら検討することがポイントです。また、駐車スペースは、住まいの正面にプランニングされるケースも多いため、デザイン性にも配慮したいものです。

エクステリアメーカーのカーポートやカーゲートなどは、門扉・フェンスなどのエクステリア商品とシリーズ化されているものも多く、外まわり全体をトータルコーディネートすることも可能です。主なメーカーには、三協アルミ、LIXIL、YKK APなどが挙げられるでしょう。選ぶ際には、必ずショールームで実物をチェックすること。素材や機能など、実際に動かすなどして操作性を確認することも重要です。エクステリアのショールームは多くはありませんが、近くにある場合は、積極的に利用することをお勧めします。最近では、ホームセンターなどで取り扱っているケースもあるので、日頃からチェックしておくといいでしょう。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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