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2021/09/28更新|1like|11336view
秋の夜長、あかりのもとで過ごす時間が増えてきました。
家づくりのはじめから注目する人は少ないですが、実際、あかりは間取りや動線と同じくらい、もしくはそれ以上に、私たちの暮らしや心身に影響を与えています。あかりがちょっと恋しくなるこの季節、あかりの作用にも意識を向けて家づくりに備えませんか。
最初に知っておきたい、あかりの作用
あかり上級者・北欧諸国にみるあかりづかい
家づくりであかりを上手に活かすために
インテリアはもとより、あかりづかいが上手なことでも知られる北欧諸国。実際、夕暮れ時に北欧の街を歩いてみると、窓辺に小さなあかりが置かれ、時間を追うごとにペンダントライトやフロアライトなど、いろいろなあかりが少しずつ足されていくのを目にします。
それは「暗いから明るくしよう」と電気をつけるのとはちょっと違って、必要なところにあかりを置く感じ。フロアライトの脇にはソファがあったりイスがあったり、ペンダントライトの下にはテーブルやお花があったり。いくつものあかりを多用しながら部屋の中に光と影をつくりだし、視線が誘われる場所・寄り付きやすい居場所がつくり出されているのがわかります。
実際、あかりですべてを明るく照らすのではなくそこに光と影を同居させると、不思議と光の存在が際立って、シーンが色濃く映し出されるものです。光の色味が夕暮れ時に近い色なら、光と影でつくり出された居場所はこの上なく安らぎのある場所になり、なんとも居心地のいい空間に変わります。北欧の人たちは、あかりのそうした特徴を巧みに暮らしに取り入れているのです。
ただ、こうしたあかりづかいはなにも北欧固有のものではなくて、ろうそくや燭台を使っていた昔の日本・裸電球のあかりを使っていたちょっと前の日本でも、同じように陰影のある空間はつくられていたはずです。戦後長く昼を再現するほど部屋全体を白く明るくするのが主流になっていましたが、近頃そうした感覚が見直されつつあるのも事実。最近よく耳にする“フィーカ”や“ヒュッゲ”同様、居心地の良さをあかりの面から考えてみるのも良いかもしれません。
実際の家づくりでは、プランが決まった後に配線計画がおこなわれます。
心得のあるプロがいれば生活シーンを捉えた丁寧な提案を受けることができますが、そうでなければ(一般には)、部屋ごとにシンプルな配線計画がなされ、後から器具選びをすることになります。
特に施主が自由に選ぶとなると、器具の形やデザインばかりに目がいき、あかりの効果に対する意識が欠落する場合がほとんどです。実際、「ネットで見つけたお気に入り」という照明器具のついた空間を見せてもらうと、器具の個性がやけに強くて、あかりのための照明というより、展示して見るための照明に見えることもあるのです。
せっかくなら、あかりは上手に活かしたい。とすれば、事前に心がけておきたいことがふたつ。
ひとつはあかりの効果や雰囲気の違いを体感として知っておくこと。もし今ひとつの照明器具で部屋全体を明るく照らす家にお住まいなら、試しに小さなフロアライトやテーブルランプを取り入れてみてはいかがでしょう。IKEAなら、ひとつ千円台から手に入ります。
全体が明るく見渡せるいつもの部屋と、複数のあかりで光と影が同居する部屋。同じ部屋でも印象は全く違うでしょうし、気分やリズムの変化も感じるはずです。色々試しながらちょうどいい頃合いを探して慣らしていくと、実感を持って、居心地のいいあかりのある住まいを計画できるはずです。
もうひとつは、計画が始まりプランができたら、夕方から夜にかけての「具体的なシーン」を空間ごとに想像すること。例えば、ダイニングにはどこにどんなテーブルをおくのか、食事のほかそこで仕事や書きものをすることがあるのかどうか。それ次第で、必要なあかりは変わってきます。見通しが甘いとテーブル位置とペンダントライトの吊り下げ位置が合わなかったり、仕事をするあかり環境ではなかったり。日常生活に明らかな支障が出ることもあるのです。
あとから自分であかりを足したり引いたりするのもひとつですが、計画段階から配慮しないとどうにもならないこともあるものです。できるだけ具体的にイメージし、設計者にその空間でどんなシーンがありうるかを伝えておくことをお勧めします。
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