2017/08/16更新2like1488viewRoomClip mag

リノベでディテールを追求。ミニマルモダンな洗練空間【連載:リノベじゃなきゃ、ダメでした。】

中古住宅を購入し、住まい手のライフスタイルにあった形にガラリと変える「リノベーション」。この連載では「施主目線」に立ち、リノベーションでなければならなかった理由やパートナーを選んだ基準、そしてこだわりポイントを掘り下げます。

今回は、自分たちのライフスタイルにぴたりと合う家を目指し、新築マンションから都内の中古マンションリノベーションへと住まいを変更されたayyさんに、その経緯とリノベーションの魅力について伺いました。ご夫婦のこだわりが行き届いた、美しく洗練されたシンプルモダンな空間を見ていきましょう。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

今回教えてくれたユーザーさん♪

ayyさん(RoomClip)
建築家の主人と、建築オタクの私、そして小さな男の子2人と暮らしています。 日々揉みくちゃです。 だからこそ、頑張らなくても、機能的でいて、美しく暮らせる住まいを目指しました。

そもそも家探しをしようと思ったきっかけは何ですか?

「以前は新築マンションだったので、設備もきれいで大きな問題はありませんでした。しかし、1つ1つの部屋条件に合わせて丁寧に設計されているわけではなく、設計側の合理性のもと作られた空間でした。正直、住む人を思って設計されたとは言い難かったのです。 当然、収まりも悪ければ、無駄も多く、キッチンカウンターの高さ、収納が適切な場所にない、間取りが使いづらいなど、小さな不満はたくさんありました。 まるで、自分に似合いもしない、大量生産の既製品の服を、『まあ便利だしいいかな?』と思いながら着ているような、そんなモヤモヤが常にある感じです。 毎日1番長く時間を過ごす場所、その小さなモヤモヤは、日々の暮らしに影を落としていたような気がして、新しい住まいについて考えるようになりました。」

どうして、リノベーションじゃなければダメだったんですか?

「どうしても、自分たちらしい住まいを実現したくなったからです。不特定多数に向けて、誰でも使いやすいように設計された分譲マンション。 それ自体に疑問はないけど、誰でも使いやすいということは、自分たちにぴったり合っているわけではない、ということです。 家は、人生で1番高い買い物であり、1番長く時間を過ごす、暮らしそのものだと考えます。 だからこそ家は、不特定多数のために作られた既成品ではなく、自分たちのライフスタイルに合わせてゼロから作りたいと思いました。『家とは本来そうあって欲しい』という思いも、日に日に募っていきました。」

リノベーションの情報や依頼先は、どうやって探しましたか?

撮影: 吉村昌也・Copist

撮影: 吉村昌也・Copist

「設計事務所に勤務する主人が設計しました。近々、独立する予定です。 普段の仕事ぶりから、非常にストイックで、綿密な設計をする職人のような建築家なので、完成度の高い空間を作ってくれると期待していました。 そしてもう1点、元々建築に対する価値観や好みが同じで、設計は主人がインテリアは私が、という夫婦共同で家づくりをしてみたかったのです。この家をきっかけに、私も本格的に勉強して、夫の独立後は少しでも、仕事面でのアシストができたら……と考えています。」

実際にできあがった家を見たときは、どう思いましたか?

「CGや、設計図は毎日のように見せてもらってましたが、私は素人なので、全体像をぼんやりとしてしか想像できませんでした。 内装も間取りも毎日のように一緒に、『あーでもないこーでもない』と格闘していたのに、実際に完成したら、全ての収まりの良さと綺麗なディテールにびっくりしました。あんなに大量の設計図を描く理由がわかりました。 綿密な計算のもとに作られた空間は、ピリッと心地良い緊張感すらありました。 空間性だけではなく、収納など、色々なストレスを排除するべく設計したので、とても快適です。

また、子供が手伝いやすいキッチンやリビングの1角の学習スペース、リビングに設けたキッズクローゼットなど、子供たちが私の目が届くところで自主的に過ごせるようにしたので、以前より手を貸すことが減り、子供たちもマイペースに伸び伸び過ごしています。」
撮影: 吉村昌也・Copist

撮影: 吉村昌也・Copist

特に気に入っている場所はどこですか? 5つ教えてください

①モダンな印象のヘリンボーン張りの床
「ヨーロッパの美術館で目にした、クラシカルなヘリンボーン張りに憧れていましたが、ミニマルでモダンな雰囲気の家にも憧れていました。 フィンランド製のこの幅広長尺のフローリングを見つけた時は、『これならモダンな印象のヘリンボーンにできる!』と思いました。ただ、このフローリング材も自然素材なので、色が濃かったり、柄が強すぎたりと、ムラがあるものです。極力主張しすぎない床にするため、フローリング材を1枚ずつ選定して、番号をふり、張る場所を指定する設計図まで書いています。」
②ミニマルで妥協のないディテール
「元々、『洗練されたディテールが洗練された空間を作る』と考えているので、自宅でも実現したいと考えていました。 普通では考えられない量の設計図と、主人持ち前のしつこさ、職人さんの多大なるご苦労の末、ミニマルで妥協のない理想のディテールが叶いました。」
③設備や家電の存在感を消し、実現した端正な空間
「エアコン、冷蔵庫、換気扇、給湯器のリモコンパネルに至るまで、機能的だけど、あまりデザイン性が考慮されていない家電や設備品は、極力目立たせたくありませんでした。機能性がなくならない範囲で、全て収納しています。例えばエアコンは、このルーバーの中に収納し、上に棚をつけてマントルピースのように使っています。」
④ゼロから設計してもらった機能的なキッチン
「キッチンは、デザインも機能性も1番こだわった場所です。普段使うもの全てが適切な場所にきちんと収まるように、全てのもののサイズや量を計測し、スケッチにして主人に渡しました。最後まで収納場所に悩んだのは、半乾きの台拭きやまな板です。最終的には、乾かしながら収納するルーバーの引き出しを思いつき、今ではお気に入りの箇所の1つになりました。」
⑤好きなアートや本、骨董を愛でるための展示スペース
「好きなものと目が合うたび、喜びを感じられるようにしたかったので、大きな本棚やアートが飾れるスポットライト付きの壁をたくさん作ってもらいました。」

リノベーションを振り返ってみて、いかがでしたか?

「フルリノベーションで、スケルトンから設計しています。制約もたくさんありました。 例えば、天井は当初、打ちっ放しのコンクリートの上から透明な塗装をする程度の予定でしたが、工事が始まり、いざ剥がしてみたら、思った以上に汚れたコンクリート!急遽、職人さんに薄いモルタルを塗っていただきました。 また、マンションの規定でサッシやドアは替えられない、間取りや採光も限界があります。さらにキッチンを設けたい箇所のど真ん中に、動かせない配管があると知った時は、夫婦2人でどうしたものかと知恵を出し合いました。 その末、白いアルミパイプで囲み、棚の柱としてみせることにしました。このことで、キッチンに個性を出せたので結果的にも良かったです。 『制約があるからこそ、臨機応変に工夫することで、より面白いものができる』というのがリノベの大変さであり、醍醐味なのかなと思います。」

お話をお伺いして

なるほど、自分たちのライフスタイルにぴたりと合い、理想・希望、そしてご夫婦のセンスと才能を活かせる住まいづくりの答えが、リノベーションだったのですね。また、リノベーションならではの制約をご夫婦で乗り越えることで、より絆と思い入れを深められたのではないでしょうか?ご夫婦のこだわりが、凛として洗練された雰囲気の中にも家庭の温もりを漂わせ、心地よく美しい空間を作り出しているように感じます。

リノベーションならば、既製品の家にはないフィット感を得ることができます。縛りやルールがあるからこそ、リノベーションには注文住宅にはない「面白み」や工夫のし甲斐があります。今の家に不満や疑問がある、もっとエフォートレスに暮らしたい!そんな方はぜひ、ayyさんの妥協しない住環境の追い求め方を参考にしてみてください。

ayyさんのお住まいについて

・所在地: 東京都
・物件種別: マンション
・建築面積: 87平米
・間取り: 2LDK
・この家に住む人: 主人 私 6歳長男 2歳次男
・施工期間: 3.5ヶ月
写真と間取り:ayyさん
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