2023/02/10更新0like1302view

著者:岩間光佐子

収納プランの基礎。事例から学ぶ、収納の考え方と空間別バリエーション

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

間取りを考える際に誰もが悩むのが収納でしょう。限られたスペースの中で、どんな収納が適しているのか、どこから考えればいいのかわからない、という声も多く聞かれます。ここでは、まず知っておきたい、収納プランの基礎知識をまとめました。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

収納をプランニングする際の基本

収納プランの考え方の基本は、「使うところにしまう」ということ。新しい住まいの間取りはもちろん日々の暮らしをイメージしながら、どこに、何を収納すれば使い勝手がいいかを考えることがポイントです。

同時に、収納する(したい)物の種類と量をリストアップすることも重要。衣類や寝具だけでなく、節句人形や扇風機といった季節の物、アルバムや子供の作品のような想い出の物なども確認しておくことが大切です。また将来的に、子供が増えたり独立するなどの変化によっても、必要な収納量は異なります。収納物の増減をある程度予測しながら、どのくらいのスペース(ボリューム)の収納が、住まいのどこに必要か検討していくようにしましょう。

一か所に集中させるか、各部屋に分散させるか

収納方法の種類としては、「集中収納」と「分散収納」に分けることができます。実際の家づくりの中では、「集中収納」と「分散収納」のどちらかひとつ、というよりは、両方をバランスよく取り入れるケースが多いでしょう。

「集中収納」の特徴とメリットデメリット

比較的大きなスペースを住まいのどこかに設けて、まとめて収納する方法。多様な物を収納する納戸、主に衣類を収納するウォークインクローゼットなどが挙げられます。

メリットは、各居室などに多くの収納スペースを確保しなくて済むので、居室空間がすっきりとすること、一度に収納物を確認できることです。また、デメリットとしては、ある程度のスペースが必要なこと、空間内部のつくり方によっては乱雑になり出し入れしにくくなってしまう場合もあります。

「分散収納」の特徴とメリットデメリット

各居室やそれぞれの空間に分散させて収納スペースを設ける方法。メリットは、「使うところにしまう」という収納の基本を実現しやすいこと、収納する物に合わせた収納方法(棚や引き出しなど)を作りやすいことです。また、デメリットとしては、それぞれの空間に設けるためスペースに限りがある場合が多いこと、大きな物が収納しにくいことなどが挙げられるでしょう。

収納方法の工夫。見せる収納と隠す収納

収納の仕方、手法としては、「見せる収納」と「隠す収納」の2つがあります。

「見せる収納」の特徴とメリットデメリット

棚やキャビネットなどに、収納する物を美しく飾るようにしまう方法。インテリアのアクセントになるような収納プランもみられます。メリットは、収納物が見えるため取り出しやすくしまいやすいことです。また、デメリットとしては、整った収納を保つことができれば美しいインテリアとなりますが、雑然としてしまうケースも。
また、オープンな棚の場合、地震対策などにも十分な配慮が必要になります。

「隠す収納」の特徴とメリットデメリット

扉を設置したり、引き出しタイプとするなどしまう物が見えないようにする方法。収納物が見えないので、すっきりとしたインテリア空間となることがメリットです。デメリットとしては、出し入れの際に、引き出しや扉の開閉など手間がかかること、どこに何を収納したのかすぐにわからないことなどが挙げられます。

[空間別]収納プランの基本

どのような収納を取り入れるかは、持ち物や暮らし方によっても異なります。一般的に多くみられる空間別の収納プランの基本をみていきましょう。

玄関

玄関に設ける収納は、玄関の使い方や収納したい物によっても多様なプランが考えられます。最近では、いわゆる靴箱・下駄箱(シューズボックス)だけでなく、シューズクロークやシューズインクローゼットなども人気のプランです。

土足可能にすることで、ベビーカーや自転車など大型なものも、外からそのまま取り込み保管できるので重宝する収納空間となります。収納スペースを三和土(たたき)空間に設けるのか、玄関ホールや廊下につながるスペースに設けるのかなど、家族構成や年齢、暮らし方を考慮して検討することが大切です。

リビング

リビングは、家族が集まるくつろぎの場としてだけでなく、お客様を迎えたり、勉強や仕事などさまざまな用途に用いるケースも多いでしょう。そのため、多種多様なアイテムが必要になり、収納しておきたい物も増えてくるもの。すっきりとしたリビングとするために、多くみられるのが壁面を利用した収納プランです。テレビなどのスペースも含め、造作でオリジナルの収納プランとしたり、建材メーカーのシステム収納を利用するケースも。
また、ウォークインクローゼットなどを隣接させ多様なアイテムの収納スペースを確保する間取りも考えられます。

パントリー

パントリーとは食品庫のことで、キッチンのスペース内もしくは隣接させた収納専用の小さな部屋やスペースのことを指します。食品はもちろん、食器や調理道具などを収納、設置するなど意外に幅広いアイテムの収納力が求めらます。パントリーを計画的に設けることで、キッチンスペースがスッキリするだけでなく、家事効率が良くなることも大きなメリットです。
重要なのは、何を保管、収納したいのか明確にして内部のつくりを検討すること。家電製品を設置するのであれば、コンセントなども設けておきたいものです。

ウォークインクローゼット/ファミリークローゼット

ウォークインクローゼットとは、主に衣類を収納する空間のこと。空間内で整理作業などができる部屋のようなスペースです。通り抜けることができるように出入口を二方向に設けたウォークスルークローゼットも注目されています。
いずれも、衣類だけでなく、バックやスーツケースなどもまとめて収納するケースが多いでしょう。使い勝手を高めるためには、内部に棚やハンガーパイプを設置して、物の出し入れのしやすさを高めることがポイントです。

また、家族全員の衣類をまとめてひとつの空間に収納するファミリークローゼットも人気です。ウォークインタイプのプランが多くみられ、家族全員の衣類全体を把握できることがメリット。幼い子供がいる場合、その場で着替えをさせやすいことなども魅力のひとつです。

和室

和室の主な収納は押入れですが、従来の押し入れや天袋(押入れの上や天井から吊り下げる形の収納)、地袋(窓下や床脇の下部などに設置される収納)だけでなく、壁面にクローゼットのような収納を設けるプランもみられます。
また、畳の下部空間を利用して床下収納とする場合も多く取り入れているプランニングです。畳を敷いた小上がり空間であれば、段差部分に引き出しなどを設けることで有効的に収納スペースを確保できます。

洗面/トイレ

洗面、脱衣、洗濯などさまざまな役割を持つ洗面室の収納は、造作で物入れや棚などを設けたり、収納キャビネットが組み込まれた洗面化粧台を取り入れるプランが考えられます。限られた空間となるため、デットスペースを作らないように効率的に活用できるプラン検討が大切です。石鹸やシャンプー、浴室洗剤などのストック分、タオルや下着類などの収納スペースも確保しておきたいものです。

トイレも同様に造作で収納を確保するか、手洗い器やペーパーホルダーを組み込んだキャビネット商品を空間に合わせて取り入れてみましょう。

デットスペース

デッドスペースを収納として活用することはプランニングの大きなポイントになります。工法・構造、間取りにもよりますが、一般的な住宅では、床下や階段下、壁の厚み部分、小屋裏などが利用できる空間です。構造にかかわる部分も多いので、希望する際には早めに設計担当者に相談を。
床下や小屋裏など、収納物が取り出しにくくなる場合も多いので、具体的に収納したい物をリストアップしておくことも大切です。有効活用できるような配置や空間づくりが実現します。
木村哲矢建築計画事務所「三国の長屋」

家族構成やライフスタイル、将来の変化を考慮して

収納プランは誰もが悩むものですが、どのような収納プランが使いやすいかは、家族構成やライフスタイルはもちろん、持ち物によって異なります。事前に作成した持ち物のリストを確認しながら、新しい家での日々の動きをイメージし、どこに、何を収納すれば使い勝手がよいのか、じっくりと検討することが大切です。

また、ライフスタイルによって収納物も大きく変化していくため、余裕を持ったプランニングを心がけを。モデルハウスやショールームの収納プランなども参考にしながら、スペースの確保や個々の収納方法を考えるようにしましょう。

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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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