2023/06/09更新0like747view

著者:岩間光佐子

ガスコンロ・IHクッキングヒーターの特徴や最新傾向を解説。住まい全体の計画と合わせてより良いキッチンづくりを

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

キッチンをプランニングする中で、調理のしやすさを左右する加熱機器は重要なアイテムのひとつ。家づくりの際には、「ガスコンロ」もしくは「IHクッキングヒーター」のどちらかを取り入れることになるでしょう。ここでは、選ぶ前に知っておきたいそれぞれの特徴や最新傾向をまとめました。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

早めに決定したい加熱機器。「ガスコンロ」と「IHクッキングヒーター」

キッチンをプランニングする際、早めに決定しておきたいのが加熱機器。一般的な住宅の場合の加熱機器は、ガスコンロもしくはIHクッキングヒーターを選ぶことになりますが、熱源が異なるので、住まい全体の計画に合わせて十分な検討を。ガス(都市ガスやプロパンガス)にするのか、電気にするのか、給湯や暖房など他の設備機器を含めてトータルに考えるようにしましょう。

さらに、それぞれの特徴を解説していきます。

ガスコンロの特徴

ガスコンロとは

加熱機器として馴染みのあるガスコンロは、必要な火力を速やかに得られることができるため、あおり調理ができ、炒めものなどに適しています。炎と上昇気流で鍋全体を温めることが可能な点も魅力でしょう。

「ビルトイン」と「据え置き」

ガスコンロには、ワークトップに組み込む「ビルトイン」とコンロ台に据え置く「ガステーブル」と呼ばれる2つのタイプがあります。
新築やリフォームの際に取り入れるケースが多いシステムキッチンには、ビルトインタイプのガスコンロが設定されています。
新築やリフォームの際は、ビルトインタイプのシステムキッチンを設定されるケースがほとんどでしょう。いずれも、都市ガス用とプロパンガス用(LPガス)がそろっています。

サイズ・口数・火力

ビルトインタイプのガスコンロの間口サイズは、約75cmと60cm。火力の異なるバーナーを組み合わせた3口タイプが一般的でしょう。4kW前後の強火力バーナー、それ以下の標準的なバーナーと小バーナーなどが設定されています。メーカーによっては、3つのコンロを横一列に並べた製品やバーナーの間隔を広くすることで、3口同時でも使いやすい配置のものもみられます。

機能・性能・清掃性

調理作業の便利機能としては、商品にもよりますが、
・揚げ物時の火加減を自動調節する機能
・好みの設定時間で自動消火するタイマー機能
・ごはんやおかゆなどのモードを選択できる自動炊飯機能
・沸騰後に自動で保温・消火が可能な湯わかし機能
など、効率を高める機能が充実しています。

そのほか、
・設定されたモードを選ぶことで火力を自動調節
・定番メニューが簡単に調理できる機能
また、専用アプリをスマートフォンにダウンロードすることで、選んだレシピの最適な設定を送信することができる機能などもみられます。

安全面では「Siセンサー」のマークが表示されているコンロがあり、
・油が自然発火する天ぷら火災を防ぐための「調理油過熱防止装置」
・万一火が消えても自動でガスを止める「立ち消え安全装置」「消し忘れ消火機能」
などが全バーナーに標準装備されています。
そのほか、
・焦げ付きを感知すると自動消火する機能
・鍋を置いていない状態では点火せず消し忘れを防止する機能
・機器本体が揺れを感知すると自動消火する機能
などを搭載した製品もあります。

掃除のしやすさという点では、鍋などを安定して置くための器具である五徳(ゴトク)はシンプルな形状で、取り外しはもちろんのこと簡単に洗うことができるタイプも。汚れ落ちのよい天板(トップ)素材のものや、バーナー本体との隙間をガードするカバーを設けたもの、パッキンで煮こぼれが入りにくい形状のものなど、使い勝手のよさも高まってきています。
ゆらり建築事務所 安藤亨英・節子「料理を楽しむ暮らし」

グリルの機能

グリル(魚焼き器)は、一体となっているケースが多く機能も充実してきています。上下同時加熱でスピーディーに焼き上げる両面焼きのものやダッチオーブンに対応したもの、トーストや揚げ物の温め直しに便利な機能などもみられます。お手入れがしやすい工夫もあり、フラットな形状の焼網や表面加工を施したグリル皿、シンクで簡単に洗うことができるものなどがそろっています。

デザイン性

デザイン性がアップしているのも最近の特徴のひとつでしょう。無駄のないすっきりとした形状の製品が多くみられます。天板(トップ)は、カウンターに馴染むフラットなデザインがそろい、ホワイトやブラックなどシンクとコーディネートできるカラーバリエーションを展開する製品も。素材は、ガラストップ、ガラスコート、フッ素コート、ホーローなどがありますが、デザイン性はもちろん掃除もしやすく、耐久性や耐熱性に優れたものが多くみられます。操作部分もスタイリッシュなものや、ユニバーサルデザインを取り入れたものなどがそろっています。

IHクッキングヒーターの特徴

IHクッキングヒーターとは

IHとは、電磁誘導加熱(Induction Heating)のこと。IHクッキングヒーターは、磁力線の働きによって鍋そのものを発熱させるしくみの加熱機器です。通電するとすぐに鍋を発熱させるので、熱効率は高く、プレートと密着している部分だけを発熱させるため、エネルギーロスを抑えることが可能です。

調理をする際に直火を使用しないため安全であることと、燃焼ガスが発生しないため部屋の空気が汚れにくいことがメリット。トッププレート(結晶化ガラス)は凸凹がないため、お手入れも簡単な点も魅力でしょう。
ただ、材質や底部分の形状などによって使用できない鍋があるので注意が必要です。一般的に、土鍋や陶磁器、耐熱ガラスなどは使うことはできません。オールメタル対応タイプであれば、それら以外は使用することが可能ですが、鉄・ステンレス対応では、銅やアルミなどの非磁性金属鍋やなべ底に磁石がつかないものなどは使用できません。

「ビルトイン」と「据え置き」

IHクッキングヒーター商品にも、ワークトップに組み込むビルトインとコンロ台に据え置く2つのタイプがあります。新築やリフォームの際に多く用いられるシステムキッチンでは、ビルトインタイプが設定されているのがほとんどでしょう。ガスコンロと同じサイズなので、ビルトインでも取り替えは可能。ガステーブルをIHクッキングヒーターに交換するケースなどでは、据え置きタイプが向いています。

サイズ・口数・火力

ビルトインタイプのIHクッキングヒーターの間口サイズは、約75cmと60cm。ガスコンロと同様の大きさです。

IHクッキングヒーターの1口の最大火力は、メーカーや商品によって多少異なりますが、1.25kW・1.5kW・2.0kW・2.5kW・3.0kW・3.2kW程度。据え置きのタイプは、これらを組み合わせた2口が多く、ビルトインタイプは、手前にふたつと奥にひとつの3つ口のタイプや2口タイプが多くみられます。商品的には、2口は両方IHのタイプ、3つ口であれば、すべてがIH のタイプ、手前ふたつがIHで奥にラジエントヒーター(ニクロム線が配置されているもの)を組み合わせたタイプも。手前のふたつ、もしくはひとつがオールメタルとなっているタイプもそろっています。

機能・性能・デザイン性

IHクッキングヒーターは、操作方法がより分かりやすく工夫した製品が多く、手元が見やすい上面に操作スイッチがあるもの、火力調整をガスコンロのようにダイヤルで操作できるものなどがみられます。高齢の方でも操作がしやすいように工夫された製品も充実しています。

使い勝手のよさも高まり、
・内蔵センサーの働きで微妙な火加減も細かく調節できる機能
・対流を起こすことで自動でかき混ぜてくれる機能
・煮くずれや焦げつきを抑えてくれる機能
・定番の焼き物料理の温度や時間を自動設定、裏返すタイミングなどを表示と音声で知らせる機能なども。
また、ガスコンロ同様、スマートフォンと連動させた操作機能も充実。手元のスマートフォンをIHクッキングヒーターにタッチすることで、選んだメニューの温度や時間などの調理設定が可能になるなどの機能もみられます。

安全面では、
・ふきこぼれや焦げつきを感知すると加熱が止まり、音声や操作表示などで知らせてくれる機能
・電源を切り忘れても設定時間に自動的に切れる機能
・鍋を置かないと自動で切れる機能
・チャイルドロック機能や地震感知機能
などを備えた製品があります。

すっきりとしたデザインが魅力のIHクッキングヒーターですが、よりカウンタートップに馴染むような商品も多くそろっています。国内外を問わずスタイリッシュなデザイン性の高い製品がみられます。

グリルの機能

IHクッキングヒーターと一体になっているグリルも、機能性は高まってきており、ヒーター(遠赤・平面)だけでなく熱源にIHを取り入れた製品や容量の大きいタイプ、火力の強いタイプなどもみられます。上下同時加熱でスピーディー に焼き上げる両面焼きグリル、煙の少ないタイプ、ノンフライ調理やスイーツまでオーブンのように利用できるタイプもそろっています。

選び方のポイント。ショールームで確認を

ガスコンロやIHクッキングヒーターを選ぶ際には、できる限りショールームで実物をチェックすること。最新機器と従来の機器との使い勝手の違いやお手入れ方法など、確認しておきたいポイントです。

また、最新の機器などを使用し、実際に調理を体験できるイベントやセミナーなどを行うショールームもあるので、積極的に参加をおすすめします。特に、ガスからIHクッキングヒーターに変更を希望する場合は、操作方法など確認してみるといいでしょう。

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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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