イメージ通り、普段からたくさんの紅茶を飲むイギリス人。イギリスの紅茶事情といえば、真っ先に思い浮かぶのがアフタヌーン・ティーですが、本場ではどのように楽しまれているのでしょうか。今回は5つ星ホテルのアフターヌーン・ティーに潜入してきました。
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毎日3杯は当たり前
アフタヌーン・ティーも日常的?
5つ星ホテルに潜入! 本場イギリスのアフタヌーン・ティー
毎日3杯は当たり前
イギリスの代表的な飲みものといえば紅茶。いったいどれほど飲まれているのか気になって調べてみたところ、しかるべき団体(UK Tea & Infusions Association)の報告では、国民の84%が毎日お茶(紅茶など、煎じた飲み物)を飲んでいるといいます。カップ数でいうと、一日に1億6500万杯。イギリスの総人口が約6100万人なので、一人当たりにして3杯程度が消費されている計算です。
やっぱり、多いですね(笑)。もちろん、この数字には紅茶以外のお茶も含まれる可能性がありますが、こちらで生活している実感から多くの人たちが主に紅茶をたしなんでいるといって差し支えないと思います(イギリスでteaといえば、有無を言わさず紅茶のことです)。実際、イギリス人の友人も紅茶が大好き。多いときで軽く5杯は行きますし、睡眠前に飲む「カフェイン抜き」の紅茶まで揃えているほどです。
これはイギリス人の「あるある」ネタなのですが、紅茶が好きな人に限って、自分の飲むタイミングで他人にも紅茶を勧めてきます。おかげで、ぼく自身も半ば強制されながら、一日に3杯は飲む。これでイギリス人の平均の杯数はらくらくクリアですね。さらに、親戚の家に立ち寄ったときはもうほとんど「修行」。全員が大の紅茶好きのため、ほとんど30分に一回の割合で誰かに「紅茶飲む?」と聞かれる始末です。まだ前のやつ飲んでるっちゅうねん。
前置きが長くなりましたが、何が言いたいかというと「紅茶」はこの国で暮らすうえでなくてはならない飲み物だということ。まさにイギリスが誇る文化のひとつです。そのなかでも、とりわけ「アフタヌーン・ティー」は日本でも耳なじみのある言葉ですが、そうした習慣はいまでも残っているのでしょうか。
アフタヌーン・ティーも日常的?
アフタヌーン・ティーを文字通り訳せば「午後の紅茶」となりますが、実際には「紅茶を飲むだけ」ではありません。午後3時頃から5時頃の間に、紅茶と一緒にサンドウィッチなどの軽食やケーキなどのお菓子を楽しむ習慣で、一説には19世紀中ごろに始まったとされています。初期のころは上流階級のたしなみでしたが、のちに庶民にも広く親しまれるものとなりました。
ただし、残念なことに現代ではアフタヌーン・ティーを楽しむという機会は少なくなったようです。友人に話を聞くと、「そういえば、亡くなったおばあちゃんが、時々、近所の人と一緒にアフタヌーン・ティーでテーブルを囲んでいたかも。例の三段トレイもいくつか持っていたと思うよ」とのこと。さらに、続けて言うには「私たちの世代だと、アフタヌーン・ティーは特別な時に、友達や家族とホテルに行って楽しむイメージ」なんだとか。例えばヘン・パーティ(女性が結婚式直前に友達と集まって、独身の最後を祝う会のこと)などで行くことはあったようです。なるほど、本場イギリスでは「アフタヌーン・ティー」は時とともに日常性を失い、日本と同じく「ちょっと特別」な感じがあるんですね。
5つ星ホテルに潜入! 本場イギリスのアフタヌーン・ティー
と、ここまで書いていて、ぼく自身は恥ずかしながらアフタヌーン・ティー未経験……。ものは試しと今回、ロンドンの5つ星ホテル「One Aldwych」のラウンジでアフタヌーン・ティーを実食してきました。
スタッフの方の説明によると、現在、期間限定(2016年12月時点)で『チャーリーとチョコレート工場』(イギリスでは昔から大人気の児童向け小説です)にインスパイアされたアフタヌーン・ティーのメニューを展開中とのこと。おすすめというので、それを注文してみます。
まずは飲み物のチョイスから。「カクテルはいかがですか」とスタッフのお姉さんがにっこり。なんと、「アフタヌーン・ティー」にもかかわらず、いきなりのアルコール推し!昼間とはいえ誘惑にはあらがえず、こちらもにっこり「お願いします」と返します。出てきたのはシェリーとウィスキーのミックスにチョコレートのフレーバーをのせた、オリジナル・カクテルです。
次にサンドイッチ。形も様々、色とりどりの5種類が素敵なお皿で供されます。ちなみに、今回は典型的な「3段トレイ」ではありません。モダンなイメージで、ホテルの工夫が垣間見られます。
そして、紅茶。5種類から選ぶことができ、せっかくなので「チョコレート・ティー」なるものを初体験しました。その名の通り、ほんのりとチョコレートの香りで、とてもおいしい!
最後にスコーンとスイーツ。こちらもチョコレートがメインです。ちなみにピンクのものは綿あめで、もう完全に心が幼少のころに戻ります。
今回は友人と訪れたのですが、気が付けはあっという間に2時間が経っていました。そして、その日の夕食が必要ないほどおなか一杯に。なるほど、ここまで素敵なプレゼンテーションをされるとわざわざホテルまで行く価値がある。「特別な時に友人や家族と」という意味にも納得がいきました。月並みな感想ではありますが、つまるところイギリスの「アフタヌーン・ティー」は、コージーな空間でゆったりとした時間を、大切な人と過ごすところにその醍醐味があるのかもしれません。
【データ】One Aldwych(ワン アルドウィッチ)
■住所 1 ALDWYCH LONDON WC2B 4BZ
■電話 +44 (0)20 7300 1000
■URL
http://www.onealdwych.com/food-drink/afternoon-tea