2022/05/31更新0like836view

著者:佐藤ゆうか

雨樋(あまどい)の役割は知ってる?種類と計画ポイント

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この記事を書いた人

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

屋根の軒先(先端の部分)から、外壁を沿わせ、地面に接続されている雨樋は、一見目立たず、なかなか注目されない部分です。
そんな雨樋ですが、建物をきれいに保ち、守る仕事をしているとても大切な部分です。
今回は、雨樋の役割や種類、選び方のポイントを解説します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

雨樋の役割

雨樋の種類

雨樋の選び方のポイント

雨樋の役割

雨樋の役割は、建物に降った雨を集め、地面へ排水することです。
あまり存在感のない雨樋ですが、もしも雨樋がなかったら、建物とその周辺は次のような困ったことになるでしょう。
・雨水が屋根を伝い、軒裏を伝い、外壁を伝うため建物が汚れ、傷みやすくなる
・屋根に降った雨が滝のように地面に落ちる(近隣の迷惑にもなる)
・雨水が地面で跳ね返り、建物が汚れ、傷みやすくなる
・雨水が落ちた部分に溝ができて、水たまりになる
・敷地内がじめじめして、コケやカビやシロアリの発生リスクを高める
・雨水の集中する部分から浸水し、雨漏りする
雨樋がなければ、建物は早く汚れ、傷みやすくなり、近隣の迷惑にもなります。
新築の際は、必ず屋根の大きさに合った雨樋を計画し、住んだ後も正常に機能するよう、定期的にごみ掃除などのメンテナンスをすることが大切です。

雨樋の種類

雨樋の取り付け場所、形状、素材による種類を紹介します。

取り付け場所による種類

軒樋(のきどい)・集水器・竪樋(たてどい)を紹介します。

軒樋

屋根の軒先(先端)部分に、地面と平行に取り付けられる部分。屋根に降り、滑り落ちてきた雨を受け止めます。

集水器

軒樋と竪樋に接続され、軒樋に流れ着いた雨を集め、竪樋に流す部分です。

竪樋

集水器に集まった雨を地面に落とす役割があります。

形状による種類

角型・丸型・リバーシブル型・鎖樋(くさりとい)を紹介します。
軒樋・竪樋共に四角形をしていて、最も水を多く流せる形状です。
見た目がすっきりする上に、近年のゲリラ豪雨にも対応できるため、最近の住宅では多く用いられています。

丸型

軒樋は半円形状で、竪樋は丸いパイプ形状をしています。最も安価で、ひと昔前の住宅では主流でした。

リバーシブル型

全面は丸樋、背面は角樋の形状をしていて、どちらも正面にすることができます。
排水量は角樋と丸樋の中間で、丸樋の見た目で排水量が必要な場合に重宝されます。
価格は角樋よりも高価です。
竪樋と同じ役割で、雨水が流れ落ちる姿を景観の一部とすることを目的としています。
雨水をただ排水するだけでなく、楽しもうとする姿勢が素敵ですよね。
和風住宅や神社仏閣に設置されるイメージが強いですが、モダン邸宅に合うデザインも登場しています。

素材による種類

雨樋の素材として主に用いられる、塩ビ製・ガルバリウム鋼板製・ステンレス製・銅製について紹介します。

塩化ビニール製

安い・組み立てやすい・軽いという特徴から、広く普及しています。
デザインや価格帯が幅広く、選びやすいです。
紫外線や酸性雨で劣化するため、定期的な塗装や取り替えが必要になります。

ガルバリウム鋼板製

加工しやすく、耐久性に優れ、見た目がすっきりしていることから、雨樋としても人気があります。
価格帯は、金属製としては低めですが、塩ビ製に比べて高価です。

ステンレス製

錆びにくく、耐久性に優れ、塩害の地域で金属製の樋を使いたい場合などに使われます。
ただし、傷つきやすいため、必ずしも錆びないというわけではありません。
価格帯は、ガルバリウムと比較して高価で銅製よりは低いです。

銅製

錆びにくく、耐久性に優れ、加工しやすく、見た目が美しいことから、雨樋として長く愛されている素材です。酸性雨に弱く、まれに穴があいてしまうこともあります。
比較的高価ですが、経年変化で青銅になる味わい深い楽しみ方ができます。

雨樋の選び方のポイント

雨樋を選ぶ際に考えたいポイントを解説します。
雨樋は、土地の降雨量・屋根の広さ・勾配の大きさに応じて、正常に雨水を地面に排水するために、適切な容量が定められています。
容量の計画は設計士の判断にゆだねられますが、その中でもこだわった計画ができるといいですね。

目立たせる?目立たせない?

雨樋のデザインを屋根と一体化させるか、丸樋や、光沢のある金属素材にして目立たせるか検討しましょう。
モダンな邸宅の場合、目立たせない方がすっきりとまとまりのある印象になりますが、山小屋風や和風の邸宅の場合、目立たせた方が、雰囲気が演出できることがあります。
住まいのデザインに適した選択をしましょう。

メンテナンスを考える

雨樋を正常に機能させるためには、ゴミ掃除や不具合の修理などのメンテナンスが欠かせません。
落ち葉が多い土地や、砂場(グラウンド・畑・海など)が近い環境の場合、ゴミが溜りにくくなるようにカバーを付けるなどの工夫をしましょう。
高価な素材の雨樋の場合、メンテナンス費用も高額になることがあります。
将来的な収入も考慮して、無理なく使えるものを計画しましょう。
雨樋の役割や基本的な種類、選び方のポイントを解説しました。
住まいの外周部でも、存在感が少ない雨樋は、完成イメージなどでも省かれてしまうことがあり、こだわり忘れてしまうことが多いです。
間取りの検討など、早い段階でイメージを膨らませ、こだわりの雨樋を実現させましょう。

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2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
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