家づくりの学び舎

2018/01/08更新4like24414view

著者:GOKURA

リフォームと建て替えの分岐点はどこで判断する?

そろそろリフォーム(リノベーション)したいけど、耐震性や断熱性を今より高めるためには、かなりの費用がかかりそう……。いっそ新築に建て替えたほうがいいの?このようにリフォームか建て替えか、迷うときはありませんか。確かに工事の規模によっては新築と同等の費用がかかるケースも。ここでは、それぞれのメリット・デメリット、分岐点をどう判断するべきかや診断方法などについて紹介します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

リフォーム(リノベーション)と建て替えの違い

リフォームと建て替えの違いは、今の住まいをどのようにするか?によって違ってきます。リフォームの場合なら、今現在の住まいが柱や梁だけのスケルトン状態のように裸にされても「リフォーム」というくくりになりますが、今現在の住まいを一旦壊し、また新たに住まいを建てるのが「建て替え」となります。

※事例画像はイメージです。
リフォームと建て替えでは、「費用」「工期」「住宅ローン」に違いが出てきます。

「費用」については、リフォームをどのように進めるかによって費用の幅が広いため、一概には言えませんが、住まいを丸ごと変えるような大規模リフォームでなければ、新築より費用は抑えられるケースが多いでしょう。

「工期」については、これもリフォームの規模にもよりますが、新築よりも短期間で完了することが多いと考えられます。

「住宅ローン」については、ほとんどの金融機関でリフォーム専門のローン商品があり、返済期間や借入額の上限などが設けられています。ちなみに、住宅ローンの控除はリフォームであっても費用が100万円以上などの条件に合致すれば受けることが出来ます。(2017年11月現在)
大橋 史人「アトリエのある家 HouseNK」

リフォームすることのメリット・デメリットは?

リフォームをすることでのメリットは、どのようなことが考えられるでしょうか。

■リフォームのメリット
・予算に合わせて手をかける部分を調整できる
・必要なところだけ部分的なリフォームができる
・仮住まいをせずに、住みながら工事を進めることもできる
・大掛かりな家財の処分をしなくとも良い
・低予算で、間取りの変更、住まいのイメージを変えることが出来る
・愛着のある住まいを残し、家族に住み継ぐことが出来る

リフォームすることのメリットとしては、上記のように、予算を想定しながら短期間に、暮らしやすい住まいにすることが出来る点ではないでしょうか。

一方で、リフォームすることでのデメリットとは、どのようなことが考えられるでしょうか。

■リフォームのデメリット
・耐久性・耐震性などの観点から、自由自在な間取り変更ができない場合がある
・予算内だけのリフォームでは、耐震性や断熱性を高める工事が出来ない可能性もある
・大規模リフォームをしても、地盤の補強までは解決できないこともある

このように、リフォームでのデメリットは、大きなリフォームを望めば望むほど、その改善点をすべて解決できない可能性があるという点ではないでしょうか。
一級建築士事務所 感共ラボの森「大きな船底天井のある家」

建て替えすることのメリット・デメリットは?

建て替えすることでのメリットには、どのようなことが考えられるでしょうか。

■建て替えのメリット
・地盤補強から対応することが出来る
・今の家族構成に合う間取りプランが出来る
・住宅の性能を最新のものに対応することが出来る

上述のように、建て替えすることで、今の家族構成や暮らし方に合う住まいに対応できること、住宅性能の高い住まいにできることが最大のメリットではないでしょうか。

一方、建て替えすることでのデメリットとは、どのようなことが考えられるでしょうか。

■建て替えのデメリット
・リフォーム以上の費用がかかることが多い
・自己資金を使えば老後の資金計画に不安が残る
・建て替えしても家族は住み継がない可能性がある
・住宅ローンの契約年齢や完済年齢に上限があり高額の借入は難しい場合がある

このように、建て替えの場合には、リフォーム以上の費用がかかることや、住宅ローンの負担などが大きいこともあり、建て替え時の年齢によっては踏み切るべきがどうか迷うのではないでしょうか。
大橋 史人「House SG」

リフォームと建て替えの分岐点はどのように判断するか

リフォームの規模や費用が大規模である場合、リフォームか建て替えかを迷うことが多いのではないでしょうか。

大規模なリフォームとは、柱や梁、基礎だけを残したスケルトンリフォームや、外壁や屋根を解体して断熱を入れ替えるリフォーム、耐震性能を高めるために内部の壁を解体するリフォーム、2階を完全になくしたり、建物の使わない部分を取り壊すような「減築」リフォームなどが該当します。

建物の大きさにもよりますが、どのリフォームも1,000万円以上の費用になることが多く、2,000万円を超えることも考えられます。

リフォーム費用が2,000万円を超えそうになると、このままリフォームすべきか建て替えにすべきか迷う分岐点となることが考えられます。

このグレードのリフォームになると、費用も工期もほぼ新築と同様になってきますので、仮住まいの必要性はもちろん、家財の大規模な処分なども必要です。
一級建築士事務所 感共ラボの森「大きな船底天井のある家」
分岐点をどのように判断すべきか、リフォームを検討するきっかけはそれぞれ違うため、全てのケースに当てはまるということではありませんが、ひとつの判断材料としては次のような考え方があります。

■リフォームを選ぶケース
・リフォーム費用が2,000万円以内ならリフォーム
・減築をしても良いと考えるならリフォーム
・古民家・町家など構造体の作りが丈夫、または資産価値があるならリフォーム

■建て替えを選ぶケース
・築年数がかなり古い場合(構造体が不安)は建て替え
・地盤に不安があるなら建て替え
・2,500万円以上の費用なら建て替えを検討
・将来的に家族が住み継ぐ可能性が高いなら建て替え

上記は、あくまで大規模リフォームを想定してのひとつの判断材料であり、リフォームの規模や改善したい要望により、最終的な判断も変わる可能性もあります。

リフォームすべきかどうか専門家の診断を参考にする方法もある

今現在の住まいが「あと何年くらいもつのか」「どのような不具合があり、改善するためにはどれくらいの費用がかかるのか」などを資格を持つプロに診断してもらう「ホームインスペクション(住宅診断)」や「耐震診断」というものがあります。

第三者的な立場で、住宅の劣化や欠陥の状況を判断し、もし改善する場合に、いつすべきであるか、おおよその費用はどれくらいかかるかなどのアドバイスに対応してくれます。

ホームインスペクションは、主に中古住宅を売りに出す前に診断し「診断済」であることで安心感のある不動産取引のために行われるケースが多いですが、自宅の状態を「営業的な観点で診断しない」という点では公平な判断が期待できます。

診断費用は、ホームインスペクションの場合、目視の診断で5万円~、機材を使用する診断で10万円~が目安となり、耐震診断の場合、木造住宅では約36坪程度で20万~50万円が目安となっています。(新築時の図面が必要)

診断の費用をどのように捉えるかということですが、リフォームで改善したいこと、目的によっては必要性もあるのではないでしょうか。診断をし、客観的な資料を読み取ることで、リフォームか建て替えかの判断がつきやすくなるということもあります。
山田 一廣「東京都千住の家」

大規模なリフォームを選択するなら経験豊富な施工店を選ぶようにしたい

リフォームは「蓋を開けるまでわからない」と例えられるように、壁の内部がどのようになっているかは解体してみないとわからないこともあります。

実際、筆者の経験上、「外壁を解体したらシロ蟻の被害で柱や梁が無くなりかけていた」「内部の壁を解体したら壁に水が溜まりグラスウールの断熱材が下に落ちていた」「手抜き工事により、基礎に石が使われていた」など見た目だけでは判断できていなかったことが起こる可能性があります。

そのため、何かがあった場合に、適時しっかりと対応できる経験が豊富な施工店の方が、より安心感があります。
リフォームの規模が大きくなればなるほど、建て替えとの迷いは大きくなります。リフォームのきっかけがどのような目的であったのか、何を改善したかったのかを今一度整理し、将来的な暮らし方や資産形成も考えた上で、最善の選択をしていきたいですね。
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