住まいの仕上げ材にはさまざまなものがありますが、耐久性に優れ、見た目も華やかなタイルは、要所に取り入れたい材料です。ただし、比較的高級な部類なので、使う際は種類や特徴を理解して、後悔のない使い方をしたいですね。
今回は、そもそもタイルとは何なのか?ということから、基本的な種類と分類、選び方のポイントについてお伝えします。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
タイルとは?
用途による4つの分類
釉(うわぐすり)による2つの分類
吸水率による3つの分類
タイルの選び方6つのポイント
タイルとは?
タイルとは、陶磁器製の素材から作られる建築材料のことです。耐久性、防火性、耐摩性、清掃性、意匠性に優れ、住宅の内外装の壁・床・家具の仕上げなど、あらゆる部分に使われます。
タイルは、用途や作り方によって、さまざまに分類されます。
用途による4つの分類
内装タイル
内装の壁(水まわりなど)使われることを想定して作られています。
外装タイル
外壁に使われることを想定して作られています。
床タイル
内外装の床に使われることを想定して作られています。
モザイクタイル
1枚の面積が50㎠以下の小さなタイルのことです。
釉(うわぐすり)による2つの分類
施釉タイル(釉のかかっているタイル)
素地に釉薬(ゆうやく)を施して焼いて作られたタイルです。
釉薬の施し具合や、種類によって見た目が異なります。表面に光沢があるものが主流ですが、光沢がないものもあります。水分や油分の侵入を防ぐため、水まわりなどに適したタイルです。
無釉タイル(釉のかかっていないタイル)
タイルの素地本来の色合いを活かしたタイルです。
ザラザラした質感で、滑りにくく、耐摩性に優れます。外部の床をはじめ、歩道や、公園などの床仕上げなどに使われます。
吸水率による3つの分類
I 類吸水率3%以下(磁器質)
硬く、素地は透明感があり、吸水率がとても低いタイルです。叩くと金属のような澄んだ音がします。玄関の床や内装、外装の壁、凍結防止用として幅広く使われるタイルです。
II類吸水率10%以下(せっ器質)
使用用途は磁器質と同様で、土物タイルなどがこの区分になります。磁器質より透明性はありません。
III類50%以下(陶器質)
素地は多孔質で、叩くと濁った音がします。耐薬性に優れ、水まわりで特に使われる傾向があります。
タイルの選び方6つのポイント
タイルを選ぶ際に、失敗や後悔をしないための選び方のポイントをお伝えします。
1. イメージから選ぶ
タイルを使う際は、どのような空間にしたいかイメージを膨らませましょう。
一口にタイルと言っても、本当にいろいろな種類があります。
お好みのインテリア雑誌や、住宅の施工例など、イメージに近い写真をピックアップして、設計者やインテリアコーディネーターと共有しましょう。
タイルは、大きさの種類もさまざま。見た目の印象や、お手入れのしやすさが変わってきます。
例えば、大きなタイル(300角、450角等)の場合、ダイナミックで高級感がある印象になります。
比較的小さいタイル(200角以下のタイルや、モザイクタイル)可愛らしく繊細な印象で、タイルが小さくなる分、目地が増えますので、掃除に手間がかかります。
使う場所によって、適したタイルの大きさも異なります。
実際に施工する部分に実物サンプルを並べるなどして、完成がイメージできるといいですね。
3. 使い勝手で選ぶ
タイルを使う場所に応じて、お手入れがしやすいタイルを選ぶようにしましょう。
水まわりなどの水分や油分が多く発生する場所で、無釉タイルを使ってしまうと、お手入れが難しく、タイルに染みがついてしまう場合があります。せっかくのタイルを長く美しく保つために、適材適所で選べるといいですね。
4. 安全に配慮する
タイルには、表面がツルツルしたもの、ゴツゴツしたものなど、さまざまなものがあります。床仕上げに使うタイルは、濡れても滑りにくい配慮がされたものを選び、転倒などの心配がないようにしましょう。
また、タイルは固いため、転んだ際にケガをしたり、肌が擦れるだけでケガをする心配もあります。子どもやお年寄りなど、周囲に注意を向けるのが難しい人や、転びやすい人が家族にいる場合、使う場所には十分に配慮しましょう。
タイルには、いろいろな機能性を持ったものがあります。
例えば、次のようなものです。
・冷たさの軽減
・調湿効果
・抗菌効果
・防臭効果
ショールームなどで、機能性を体験できるコーナーを用意しているメーカーもあります。
玄関や寝室、トイレなど、湿気や臭いが特に気になる場所での活用を検討したいですね。
タイルは、建築材料の中でも比較的高級です。そのため、タイルを使用する場所は、予算に応じた範囲で、タイルのグレードも予算に応じたものを選ぶようにしましょう。
予算上、広範囲に使うことが難しい場合、アクセントとして一部分に使うだけでも、タイルの高級感や存在感を楽しめます。種類や使う範囲は予算の範囲内で満足できる計画ができるといいですね。