狭小地や高さ制限がかかる地域での建築で活躍することが多いスキップフロア。スキップフロアとは、同じ階のなかで、高さの違う部屋などを併設させ、上層階へと繋いでいく方法です。 もともとスキップフロアは商業施設や公共建築物で多く見られていましたが、近年では戸建住宅でもよく使われる設計手法です。特に住宅のスキップフロアは、立地上の制限などを回避しながら、豊かな建築空間を生み出しています。ここではそんな設計アイデアをいくつかご紹介します。
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敷地は北側が接道しており、ほかの三方は隣家に囲われているものの、南東方向にやや開けています。この条件を生かし、南東側からの採光を効果的に取り込む計画で設計されたのがこちらの家です。
スキップフロアで分離されたダイニングとリビングに、吹き抜けやハイサイドライトからの光を十分届かせているのが分かります。
また、ソファ上部は建物上階からの光が降り注ぐばかりか、平面ではデッキスペースとの連続性も相まって、空間の広がりも感じられます。
お隣との距離がさほどとれない住宅密集地域にあって、広がりある空間をどのようにして手に入れるかが設計テーマとなったようです。敷地の特性から長手方向に広がる空間を生かし、オーナーが好きなライブラリを、スキップフロアを介してリビングダイニングに繋ぎました。
スキップフロアの階段は建物のメイン階段とは別に設置されています。
一見、3階建てに見えますが、ここは建築法規上3階建てが建てられない地域のようです。そこで地上3階建てにならないよう、スキップフロアで距離を圧縮。その結果、6つもの床レベルを持たせることに成功しました。 ここはLDKがあるフロア。冷蔵庫の上がルーフテラスになっています。リビングダイニングには、ゆったりとしたテーブルが。
ラワン合板で製作したシンプルなキッチンには食洗機やオーブンもついています。 右手方向の壁面には、使いやすい収納スペースも確保されています。
LDKに十分な光が届いているのが分かります。 右手下には、土間スペース。ご主人様の趣味(バイク)を楽しめる空間となっています。
最後にご紹介するスキップフロアの設計事例です。
こちら、リビングダイニングに併設したピアノ室が、LDの床レベルよりも下になっています。普段は三連の引き戸を開放してオープンに使えるようにしているのですが、集中してこもって練習するときは、引き戸を閉めて、独立したピアノ室として使えるようにしています。
実はピアノ室の下は、ご主人のワークスペースになっているのですが、階上のピアノ室が下っている関係で、ワークスペースの床面も基礎底盤コンクリートまで下げているのです。こうすることにより、奥様が使うピアノ室もご主人のワークスペースも、必要な天井高が確保されているわけです。 つまりスキップフロアのアイデアによって、本格的な音楽練習室として使うに足る空間(グランドピアノを置くので音響的にも天井高は必要)としているわけですね。