コロナ禍でのライフスタイルの変化に伴い、例えば、家族とのつながりを重視したワンルーム化から、テレワークに対応した個室化との両立の必要性が加わったように、住まいにはますます多くの複雑な役割・機能が求められるようになってきました。
そこで今回は、特にスペースなどに制約が多いマンションの場合、住まいにより多くの役割を持たせるためにはどのような点に着目するべきかを探ってみたいと思います。
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▽ 目次 (クリックでスクロールします)
Check1 ライフスタイルの変化に備えられるか
Check2 複数の居場所がつくれるか
Check3 居場所の場面分けができるか
Check4 切り替えできる仕掛けはあるか
Check1 ライフスタイルの変化に備えられるか
これまでも、家族の成長などライフステージの変化に住まいをどのようにフィットさせていくのか、という点が家づくりの大きな課題になっていました。
この課題と同様に、withコロナ時代も先が見通せないライフスタイルの変化に対応できる、可変性のある住まいづくりの重要性がますます高まることは必至でしょう。
例えば、部屋の用途を限定しないフリースペースやファミリースペースを設けておくことで、時期に応じたベストな暮らしを、その都度探っていくことができます。
こちらの事例では、LDKとフリースペースとの仕切りを腰壁と木枠で仕上げることで、“一体感”と一人になりたい時に必要な“孤立感”とを両立させています。
さらに、木枠にガラスをはめ込んだり、ブラインドを取り付けるだけで、仕切り度合いにバリエーションをもたせることもできます。
Check2 複数の居場所がつくれるか
家族が一日中顔を突き合わせることが多かった自粛期間中。一人で仕事に集中したい時はもちろんのこと、多くの人が、家の中で一人になれる場所の必要性を感じたはず。
家族の視界から消えて、一人になれるスポットを家の中のあちこちに設けることも、家で過ごす時間が多くなったときこそ必要です。
家族のメンバーが増えれば、それぞれのオンオフタイムを揃えることは不可能ですから、そこは誰かが我慢を強いられるよりも、場所づくりで解決していく方が家庭はきっと平和(⁉︎)に過ごせるはず。
居場所は広いスペースの方が快適ということでは必ずしもないので、制約が多いマンションならではの工夫で至福の空間をつくることも十分に可能です。
1.外部を取り込むインナーテラス
明るいバルコニーに面してインナーテラスを設け、物干しスペースや、ファミリースペース、書斎として多目的に使用している事例です。隣接している子供部屋とはカーテンで仕切り、さらに自由度をアップさせています。
床に敷いたフロアタイルが、他の部屋との空間の切り替えにも効果的です。
2.プライベートな動線確保で万全
玄関土間は、ワークスペースや趣味の場として自分だけの時間を過ごせる場所の一つです。こちらの事例のように、家族の生活動線と分けることができれば、お互いの行動を気にせずに独立したオフィスのように使うことができます。
3.和室の価値、再確認
最小限にスペースを抑えた和室を寝室とし、夫婦それぞれの書斎スペースを広々と確保した事例です。
布団をしまうことで、日中は寝室とは違う用途に使える和室のポテンシャルは、今後見直されていくかもしれませんね。
4.雁行配置で死角をつくる
リビングとダイニングが雁行型(直線や矩形を斜めにずらしたレイアウト)の間取りでは、家族の姿が視界に入らない死角ができるので、適度な距離感を保つことができます。お互いのリラックスタイムを邪魔せずに、家を占有している気分になれます。
Check3 居場所の場面分けができるか
テレワークを見据えた居場所づくりには、いわゆる、Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)—仕事内容に応じて作業する場所を変える—の考え方を、自宅に取り入れることも有効です。
デスクに座って集中して作業をする場、他者の発言に耳を傾けるミーティングの場、自分にとって楽な姿勢で創造力を働かせる場など、様々な性質の作業に応じた場の使い分けが、自宅での仕事効率をあげていく重要なポイントです。
1.カウンターデスクは連絡事項の処理向き
家族と過ごしている時間であっても、LINE通知が鳴り続けたり、急ぎのメールを思い出したりと、個室にこもる性質の仕事ではないけど、処理していかなくてはいけない仕事は案外多いものです。リビングにあるカウンターデスクでサクサク処理してしまいましょう。
2.Web会議は、音漏れが気にならない個室で
LDKから離れた寝室の一角にある書斎スペースなら、Web会議など、音漏れを気にせずに集中することができます。
3.ソファにもたれて創造力を働かせる
リラックスできるソファは処理系の仕事よりも、インプット作業がはかどりそう。暖色系の照明のもと、楽で自由な姿勢でいられる場所は、創造的な作業にも向いています。
Check4 切り替えできる仕掛けはあるか
素材を変えたり、内装の色を変えることで空間を緩やかに分けるインテリアの手法は、おうち時間のオンオフの切り替えにも効力を発揮します。
1.気持ちを色で切り替える
リビングの一角にダークカラーで色分けされたワークスペースを設けています。ひとつながりの空間でも、見えないバリアが張られた仕事空間に仕上がります。
2.オフィスらしい素材感
例えば、白いブラインドを選んで「オフィスっぽくなってしまった!」と失敗した経験はありませんか?これまでのアイテム選びの失敗経験が、逆にオフィス空間づくりのヒントになるかもしれません。硬質なスチール家具や、蛍光色の照明なども手軽に使い分けがきくアイテムです。
3.ドラマチックな演出型
アーチをくぐって特別な空間に。気持ちの切り替えもスムーズ整いそうですね。
4.ルーフバルコニーを独り占め
プロジェクターでルーフバルコニーの壁に映像を写すという大胆な楽しみ方。飲みに行くのもいいけれど、こちらも贅沢な時間が過ごせそうですよね。家族を邪魔しない、邪魔されない、自分だけの空間です。