2019/07/27更新1like57131view

著者:水沼 均

縁側とは?濡れ縁やテラス・デッキとの違い、現代に通じる魅力を実例で紹介

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この記事を書いた人

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

今、縁側が改めて見直されています。伝統的な和風のしつらえでありながら、人気のウッドデッキに近い感覚でモダンに作られている家や、2階に縁側を作っているお宅など、新しい形で現代の住宅に取り入れている例も多くなっています。

どこかノスタルジックな気持ちにさせる、光や風を感じる空間。そんな縁側の魅力を、「縁側の定義ってなに?」「濡れ縁とはどう違うの?」「ウッドデッキやテラスとの違いは?」という疑問にも触れながら、住宅事例と共にご紹介します。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

縁側とはなに?濡れ縁との違いは?

縁側の役割と魅力

内と外をつなげる

省エネにも役立つ緩衝スペースとしての縁側

回遊できるモダンな縁側

縁側とはなに?濡れ縁との違いは?

縁側とは一般的に、部屋と庭との間にある板敷の廊下のような場所を差します。日本では古くから住まいに設けられてきた場所で、昭和の初期のころには、今では贅沢にも思える木造建築の日本家屋のほとんどにあった縁側。少しずつ姿を変えつつも現代建築でも息づき、今も昔も変わらず家族が自然と集う空間として愛されています。

縁側はガラス戸で外と仕切られた内部の場所のことを言いますが、濡れ縁は縁側のさらに外にある、物理的には外部の場所です。

昨今は洋風建築が主流になったこともあり、デッキやテラス部分を縁側と称する機会も増えています。この場合はっきりした区分けはありませんが、縁側と呼べるデッキ、またはテラスというのは一般的に手すりなどがありません。それゆえ、庭との行き来がより自在になる板の間、つまり建物内外のつながりを曖昧なものにし、その中間に位置する空間こそ、「現代の縁側」と考えて良さそうです。

下の写真はまるで古民家リノベーションのような新築住宅の縁側です。昔のままの味わい深い表情で縁側が再現されています。

縁側の役割と魅力

縁側は、部屋同士をつなぐ廊下の役割を持ち、そして外への出入り口でもあります。さらに、冬の寒い時期に暖気を取り入れるサンルームやインナーテラスとしても活用されます。

冬や春に縁側でひなたぼっこをしていて、横で猫が寝ていて、という光景がテレビや映画によく出てきますよね。考えてみると縁側に人がいる風景はとても絵になり、親近感を感じさせます。縁側は家の中でいちばん日当たりが良く、庭を通じて自然の豊かな表情を眺めることもできる場所。それに昔は縁側から家に出入りするのが普通で、人の出入りも見ていることができるし、近所の人も気軽に訪ねて来やすかったのだと思います。

縁側の魅力は、きっとこんなところにあるのでしょうね。
では現代の住まいで、縁側はどんな魅力を発揮しているでしょうか。

下の写真は、モダンな現代建築の中にある縁側。コンクリートの廊下から続くテラス式になっています。ペットのためにと作られた広い縁側ですが、近い将来増えるであろうお孫さんたちが遊び回れるようにという施主の願いも込められています。

内と外をつなげる

下の写真は本格的な現代和風住宅の縁側です。建具をぜんぶ開け放つと、このように和室と縁側、そして庭が一体になってくれます。軒天井が深く出ているので、内と外の緊密さはさらに増しています。

このように縁側は、内部の部屋と外部の庭とを強くつなぎとめて、内外が一体になった世界を作り出してくれます。一見、部屋と庭が直接接していた方が結びつきは強そうですが、実際には写真のように仲立ちとしての縁側があることで、内と外とはより強く結びつくのです。

縁側は内でもあり外でもあるという良き曖昧さ。とても日本的な魅力ですよね。
下の写真はまた別の住まいの縁側。2階リビングと外壁の間のスペースが縁側に。
外壁には縦格子のような可動式のルーバーが設置され、外からの視線を遮る工夫がなされています。
和と洋の要素がバランスよくミックスされ、これまでの縁側のイメージとはひと味違うモダンな雰囲気です。

省エネにも役立つ緩衝スペースとしての縁側

下の写真は秋田県に建つ住まいです。ここでは縁側は外の寒さを緩衝する、断熱スペースとしての役割も果たしています。寒い日には冷気を遮り、直射日光の暖かさだけを室内に導き入れてくれる、サンルームのような場所でもあります。

縁側はこのような断熱スペースとしても、省エネに貢献する貴重な存在です。

回遊できるモダンな縁側

下の写真は和のテイストをたたえつつモダンな要素をふんだんに取り入れた住まいですが、大変幅の広い縁側が部屋と庭とをつないでいます。

これだけの幅があると、縁側自体も立派な部屋ということができます。そしてこの部屋は内と外とをつなげる放射状の魅力を住まいにもたらし、同時に、並んだ部屋を帯状につないで回遊できる、同心円状の魅力をも住まいにもたらしています。
また、下の写真は若い一家のためのモダンな住まいです。庭に面して全面テラス戸を設け、さらに内側にもガラス戸を一面に設けているので、広々としたとても明るい縁側ができあがっています。
さらに縁側をよく見てみたのが下の写真です。なんとここは吹き抜けていて玄関スペースにもなっており、子どもさんには楽しいプレイルームにもなっていることがわかります。

そしてよく見ると、ここは階段の上り口にもなっています。つまりこの縁側は、住まいの中の主な動線がすべて集中するターミナルのような場所なんですね。ご家族がいつもここを行き来して活気づいている場所です。

縁側は古来から行き交う場であり、くつろぎの場でもあります。そしてこの住まいでは、こうした縁側のエッセンスは少しも損なわれていません。縁側の魅力を現代住宅に余すところなく再現した、とてもすばらしい住まいだと思います。
縁側は日本で古来からあるしつらえですが、その魅力は決して形式ばった静的なものだけではありません。

移ろう場所、くつろぐ場所、眺める場所、暖まる場所など、数々のすてきな特性を縁側は備えています。

縁側から住まいを考えてみる機会をぜひ持ってみましょう。その土地にぴったりの縁側のあり方と住まいのあり方が、浮かび上がってくるかもしれません。

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