2016年07月15日
材料や施工のコストを下げるアイデアってある?
限られた予算の中で何ができるかを自分なりに考えてみたいのですが、金額をおさえるためのアイデアを下さい。
すべての希望をひとつひとつ見積もって積み上げると高くなりがちです。すべての希望を並べてみると、まとめられる内容もあるでしょう。一時的にしか使われないこともあるかもしれません。10年20年のスパンで考えた時に、最初にやるべきことを絞ってみてください。そのコストを洗い出してみれば、案外それで行ける場合もあります。そういった内容整理をすることが、専門家の仕事でもあります。
コストを抑える方法は色々ありますが、ここでは代表的なものをお伝えします。
木造住宅の場合、910ミリの倍数で間取りを考えることが多いです。これは尺寸モデュールが伝統的に使われてきたからで、ちなみに、910ミリは半間(はんげん)、1820ミリは1間(けん)と呼びます。尺寸モデュールから外れた寸法を一部に使う分には大した影響は出ませんが、大部分を占めるようになると、「間(ま)くずれ」といい、コストアップにつながります。日本の建材が、半間、1間を意識した寸法体系が圧倒的に多く、間くずれした部分に使うと、材料を無駄に使ってしまうからです。
通常、設計者は910ミリのグリッドで考えますので、建て主が間取りに対して細かく寸法を指定すると、間くずれを起こしやすくなります。譲れないところは伝えるべきですが、そうでないところはある程度まかせるべきでしょう。
建具(サッシ、扉、襖、障子のこと)はどんなに安くつくっても、一枚当たり、2、3万円します。例えば、片開き室内扉が3万円とすると、両開きの場合は6万円です。開放的な外観、融通性のある間取りを目指すと、どうしても大きなガラスを使ったり、建具の数が多くなったりします。家づくりは最初に間取りからスタートすると思うのですが、気にいった間取りが出てきたら、必要以上に建具がないかをチェックしてみて下さい。
家具工事もコツがあります。造付け家具は高くつきます。扉のない棚だけ等、簡単なものであれば大工工事にした方が安くつきます。引出しなどは、大工工事とすると安くしてくれる可能性はありますが、大工さんが慣れない分だけ不具合が出がちです。工事で入ってくる家具屋さんは、市販の家具同等の品質を求めるときに、家具工事としたいところです。家具工事にすべきか大工工事すべきかの素人判断は難しいので設計者に委ねるべきなのですが、ローコストに慣れている設計者であれば、何も言わなくてもやってくれるはずです。
外装材を経済的にするという観点からいうと、外壁の表面積を少なくするというのも大事です。1階と2階の床面積に大きく差のある間取り、例えば1階床面積の半分くらいしか2階が無いような間取りよりも、総2階建てのほうが安くなります。これは、外装材のみならず、外周部に入れている断熱材の面積も影響してきます。
総2階と完全平屋では、外壁面積は同じという理屈になりますが、屋根面積が2階建ての方がオール平屋の半分になりますので、平屋より総2階建ての方が安くなります。
コストを抑えるための第一は、壊す場所を極力減らすこと。壊すのにも費用がかかることは案外見落としがちです。既存を活かして作ることによるコストのインパクトは大きいですね。