家づくりの学び舎

2018/03/21更新0like31616view

著者:佐藤ゆうか

地鎮祭はやるべき?やらないと不吉?施工会社のホンネは?

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

注文住宅は、着工に至るまでに様々な段階を踏むことになります。土地探しや、ローンの審査、設計者や施工会社選び、プランの検討、確認申請……等、様々な手続きを終えて、ようやく着工となるのです。その記念すべき着工の際に、多くの方が行うことになるのが地鎮祭です。一昔前は、注文住宅の着工時には必ず地鎮祭を行うものでしたが、最近は地鎮祭をやらない選択肢も増えてきているため、まずこの段階で地鎮祭をやるか?やらないか?ということで悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、とある中小建設会社の設計者として多くの新築工事に携った私の経験から、そもそも地鎮祭とは何なのかということから、一般的な地鎮祭の流れ、地鎮祭をやらない場合の施工側のホンネをお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

そもそも地鎮祭とは一体何なのか?

地鎮祭とは、工事の着手前に行う儀式のことです。
施主とその家族、工事関係者、神主が建設予定地に集い、神様にその土地に住居新築をしようとすることを報告し、その土地の利用の許可をもらい、工事の安全と竣工後の生活の安泰を祈念することを目的としています。

費用は新築をしようとする土地の地域や、規模によって大きく変動します。
内訳としては以下のようになっています。

・神主に支払う玉串料(初穂料) 3~5万円
・祭壇やテント等の資材を用意する場合 5~10万円
・引き出物やお弁当を用意する場合 1,000~3,000円×関係者や近隣の人数

5~20万円程度が全国的な平均となっているようですが、玉串料(3~5万円)のみで地鎮祭一式を行ってくれる神社もあります。

地鎮祭の費用も場合によっては侮れない金額になりますので、前もって明確にして、予算に入れておくと安心ですね。

地鎮祭の一般的な流れ

地鎮祭の全体的な所要時間は30分ほどです。
一般的な地鎮祭は、以下のような流れで進みます。

1.神主の挨拶
地鎮祭が始まる旨と、報告をする神様についての説明、地鎮祭の手順や作法等が神主によって行われます。

2.手水
水で手を清めます。

3.修祓
神主が供え物や出席者を大麻(おおぬさ)でお払いします。

4.降神
神主が唸るような声を出し、神様を祭壇に呼びます。出席者は頭を下げた姿勢でお迎えします。

5.献饌
お酒とお水の入った容器の蓋を開け、神様にお供え物を捧げます。

6.祝詞奏上
土地で工事が行われることを神様に報告します。

7.四方祓い
神主が敷地の四隅を清めます。

8.地鎮
祭殿前のススキを立てた盛砂に、設計者・施主・施工業者の代表が鎌・鍬・鋤を入れます。
「えい、えい、えい」と発声して行います。

9.玉串奉奠
出席者全員が順番に、榊に紙垂を付けた玉串を神前に捧げます。

9.撤饌
お酒やお水の容器に蓋をします。

10.昇神
神主が唸るような発声をし、神様にお帰りいただきます。

11.神酒拝戴
出席者全員で乾杯の後お神酒を頂戴します。

この後、宴会の席を設けることもありますが、最近では神酒拝戴の後、記念撮影や、近隣挨拶を行って解散となる場合が多いです。
その地域や習わしによって方法は様々なので、施工会社と相談しながら内容を検討できるといいですね。

地鎮祭はやらないといけないものなの?

前見建築計画一級建築士事務所「新百合ヶ丘の家」
工事中に万が一事故が起きたり、住んでからよくない事が起きた場合に、少しでも
「あの時地鎮祭をやらなかったから……」
と思ってしまう方が家族や近い人にいる場合は、地鎮祭やそれに代わる儀式はやっておいた方無難です。

地鎮祭を行わない理由として挙げられる代表的な例は以下のようになっています。
・建設予定地が遠方の場合
・施主の予定と工期と神社の都合に折り合いがつかない場合
・予算が確保できない場合
・施主の思想

最近では、駆け込み需要によって建設工事が混みあっている状況なので、神社の予約が取り難く、地鎮祭を行えない事例が増えているのが現状です。

先ほどもお伝えしましたが、地鎮祭は神様に家を建てる報告を行い、工事の安全とその後の生活の安泰を願うための儀式です。
工事が無事に終わり、その後の生活が幸せに送れることは注文住宅を建てる誰もが望むことだと思います。

行って損のない儀式であることは間違いありませんが、地鎮祭を行わない選択肢も施主や家族の気持ち次第では十分あり得ることです。

工期の兼ね合い等の不可抗力によって地鎮祭ができず、それでも地鎮祭をやっておきたい場合は、代用的な儀式で対応することもできます。
その場合、土地の四隅の土を神社でお払いしてもらう方法が一般的なのですが、代用の儀式の方法や費用については施工会社やお世話になっている神社に相談をしてみるといいでしょう。

地鎮祭をやらない施主をどう思う?気になる施工側のホンネ

地鎮祭をやるか、やらないかで悩む施主の皆さんの多くが、やらない選択肢を出しづらい理由のひとつには、「施工会社に悪く思われるのではないか」ということがあると思います。

地鎮祭は工事の安全を願う意味もありますので、もちろんやってもらえると施工会社側の人間としては「ありがたい」という気持ちになります。
また、「いよいよ工事が始まるんだ」「無事故で竣工まで頑張るぞ」と気持ちを律する機会にもなります。
現場代理人(工事を担当する現場監督)にとっては施主の人柄に始めて触れる日となり、現場の近隣の状況を知り、近隣住民へ工事開始の挨拶をする日となることも多いです。

このように、地鎮祭は工事を始めるに際する様々なきっかけとなりますので、施工側にとってはやってもらえると大変都合が良く、ありがたい限りなのです。

では、やらない選択肢の施主はありがたくないのでしょうか?
やらない場合は不吉な工事だと嫌われるのでしょうか?

それは全く違います。

私の勤めていた建設会社は、地域密着型の老舗中小企業で、比較的年齢層の高い従業員の多い会社でした。
地鎮祭などのしきたりを重んじる会社でしたが、注文住宅を建てる方の多くが必ずしも予算が充分にあるわけではなく、神様を信じているわけではなく、様々な事情や考え方を持っていることを十分理解していましたので、やらない場合はそれはそれで全く問題ないと捉えられていました。

おそらく、現代の多くの建設会社や設計者が同じ考えの下に建設業に従事している事と思います。

地鎮祭をやる場合も、やらない場合も、施工側はその工事に携る全ての人が円満で納得の行く竣工を迎えられるようにベストを尽くすだけなのです。

ですから、地鎮祭をやらない選択肢を施工側の反応が心配で出しかねている場合は、遠慮なくその旨を伝えてしまいましょう。
万が一その事で難色を示すようでしたら、器の大きさを疑ってください。
地鎮祭の基本的なことから、やらない場合の施工側のホンネをお伝えしました。
やらない選択肢が増えている地鎮祭ですが、注文住宅の場合は地鎮祭を行う選択肢が一般的です。
もし、地鎮祭はやらないという事を早い段階で決めている場合は、会社選びの際にその旨を伝えておくと安心です。
ひとつひとつの段階で悔いの残らない選択をしながら、満足できる家づくりができるといいですね。

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