家づくりの学び舎

2020/09/14更新2like2274view

著者:佐藤ゆうか

水害に強い土地選び・家づくりのポイント

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

近年、局地的な豪雨による水害被害が増えています。

これから家づくりを行うなら、水害に遭わない家、万が一遭ってしまってもできるだけ被害が少なく済む家にしたいですよね。
そのためには、どんなところに気を付ければ良いのでしょうか。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

水害に遭わない土地を買うための3つのポイント

まず、この世界に「絶対安全」と言い切れる土地はありません。
ですが、ポイントを押さえた土地探しを行うことで、水害のリスクを大きく減らすことは可能です。

1.ハザードマップを見る
自治体が提供するハザードマップで、災害時の被害予想を確認できます。
自治体のホームページや、情報提供サービス、土地探しに協力してくれる不動産会社などで手に入れることができますので、必ず確認しておきましょう。

・洪水ハザードマップ
・内水ハザードマップ
・高潮ハザードマップ
・津波ハザードマップ
・液状化マップ

この辺りを網羅的に参照するのがお勧めです。


2.土地の歴史を知る
購入したい土地に昔何があったか、どのような場所だったかを知ることはとても大切です。
土地の歴史や過去の用途は、「今昔マップ」、「Googleマップ」、各自治体の情報提供サービスなどで確認できます。

水害のリスクが比較的高いのは、池・沼・田んぼ・川・海など水に関する場所だった土地。
水はけが悪い土地だったり、液状化の危険が高かったりする場合があるからです。
ハザードマップと合わせて、調べてみましょう。


3.土地の高さを調べる
土地の高さについて確認したいポイントは以下。

・近くの海や川の水面より高い位置にあるか
・周囲の道路より土地が高くなっているか
・隣近所より土地が高くなっているか

標高や海抜は、「マピオン」の地図情報から確認できます。
購入を検討している土地が周囲より低い場合、水が流れ込んでくる可能性がありますので、海や川に対する広範囲での高さ比べ、周辺道路や近隣地との狭い範囲での高さ比べは必ず行いましょう。

水害の被害を小さくするための8つのポイント

それでも水害に遭ってしまった時、被害を最小限に食い止めるためのポイントも押さえておきたいですよね。特に重要な8つのポイントを、以下で解説します。

1.床を高くする
水害で何より怖いのは、建物が水に浸かってしまう「浸水」。

・盛り土をして敷地を全体的に高くする
・鉄筋コンクリート造の基礎を高く作る
・1階部分が空間になるピロティ構造にする

上記の方法で、床を高くする対策が効果的です。


2.敷地の周りを高い塀で囲む
敷地周りを鉄筋コンクリート造など防水性の高い構造で囲み、塀の開口部には防水性のある門扉や止水板を設置することで、敷地内へ水が侵入するのを防ぐことが可能です。


3.防水性の高い外壁材を選ぶ
防水性の高い外壁にすることで、浸水による構造体の傷みや被害を少なくすることができます。
お勧めの外壁材は金属系サイディングやタイル(深目地以外)など。
フッ素塗料など防水効果の高い塗料を施す方法もあります。


4.1階に掃き出し窓をつくらない
1階の掃き出し窓は、水の侵入経路になります。
窓ガラスは水圧に弱く、割れてしまう危険もありますので、水害に強い家づくりという観点からはおすすめできません。

とはいえ、掃き出し窓は普段の生活で何かと便利なもの。
止水板で水を防ぐ方法もありますので、日常的な使い勝手などの優先順位を考慮したうえで検討したいですね。


5.電気設備を高めに設置する
エアコンの室外機、給湯器、外部コンセント、内部コンセントを浸水が想定される水位よりも上に設置することで、設備機器の浸水被害を避けることができます。
1階と2階のブレーカーを分けておけば、仮に1階部分がショートしても、2階部分は守られますよ。


6.透水性の舗装材を使う
外構を舗装するなら、水を吸いやすい性質のものを選びましょう。
日常的に発生する水溜まりなども改善できます。
透水性のある舗装材はコンクリート、レンガ、平板など、種類も数多くありますので、意匠や予算に合わせて検討できるといいですね。
レンガや平板の場合、しっかり固定しておかないと浸水時水に流され、窓や家を破壊して被害を余計に大きくしてしまう恐れがありますので、注意が必要です。


7.逆流防止設備を設置する
豪雨の際は、短時間で大量の水が下水管に流れ込みます。
その結果、下水管から雨水や汚水が逆流し、トイレや浴室から噴き出ることも考えられますので、敷地内の排水管内には逆流防止弁を設置しておきましょう。
特に前面道路よりも低い位置に家を建てる場合は、逆流のリスクが高くなりますので必須の設備です。


8.圧力解放蓋を設置する
トイレや浴室などから汚水が噴き出るのは、排水管が満水状態になった時も同じです。
排水桝の蓋を「圧力解放蓋」にしておけば、排水管内で空気の逆流が発生しても外部に圧力(空気)を逃がし、逆流を防ぐことができます。
毎年各地で起こる集中豪雨による災害。
「自分だけは大丈夫」と思わず対策することが、いざという時の被害を防ぎます。
安心して過ごせる家をつくるため、できる対策から始めてみてはいかがでしょうか。
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佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
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