家づくりの学び舎

2023/08/29更新1like2532view

著者:SUVACO編集部

リノベするなら知っておきたい。戸建ての構造の種類と特徴、メリット・デメリット(在来木造・ツーバイフォー・鉄骨・RC)

私たちの住宅には、さまざまな種類の構造が存在します。
リノベーションは、既存の建物の構造に応じてできること・できないことがあり、完成後の仕上がりにも大きく影響してきます。
ここでは、持ち家やこれから中古物件を購入してリノベーションを検討している方に、より良い家づくりを実現するために知っておいていただきたい、戸建て住宅の構造の種類や特徴を解説します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

▼記事監修

加藤

加藤

SUVACOアドバイザー

地元である愛知で活躍するSUVACOのアドバイザー。
「家づくりのよろず窓口として、お客さまには気軽に相談していただきたい!」と語る加藤は、地域性の特徴や傾向を把握しているため、地方のお客さまのニーズにもしっかりとサポートできる知識を持っています。

戸建ての構造種類は?

戸建て住宅は、下記の4つの種類に分けることができます。
1. 木造 在来工法
2. 木造 2×4工法
3. 鉄骨造(軽量鉄骨造/重量鉄骨造)
4. 鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造

加藤

加藤

それぞれの構造には特徴があり、リノベーションを前提に考えると、計画の自由度や重要なポイントが異なります。各構造の特徴とリノベーションにおけるメリット・デメリットを理解することで、自身のニーズに合った最適な家づくりを実現することができます。

1. 木造 在来工法

木造による在来工法は「木造軸組工法」とも呼ばれ、木材を主な構造材料として使用する日本の伝統的な建築工法です。木材の柱と梁を組み合わせた軸組を作り、柱や梁に屋根や壁材、床材を取り付けて建築されています。

木造 在来工法のメリット

在来工法は、リノベーションの自由度が比較的高い構造です。柱や梁で建物を支えているため、壁を撤去して間取りを変更しやすく、さらに梁や筋交いの補強をすれば一部の柱を撤去できる場合もあります。
知識を持った専門家や職人の意見を踏まえて、自分の好みに合わせたリノベーションが可能です。増築や減築など建物の大きさそのものを変更するのも、ほかの構造に比べて比較的容易です。
加藤

加藤

日本国内では多くの戸建て住宅が在来工法で作られているため、リノベーションに対応できる業者も多く依頼先が見つかりやすい傾向があります。

こちらの古民家改修のように、経年変化を活かし木の梁を現したデザインは、リノベーションならではの魅力ですね。

木造 在来工法のデメリット

在来工法の住まいは古くから存在するため、建てられた時期によって強度が大きく異なります。築古の建物は耐震性能が現在の基準に比べ大きく不足しているため、耐震補強や改修が必要な場合がほとんどです。
加藤

加藤

比較的リノベーションが容易な在来工法ですが、通し柱と呼ばれる主要な柱や移動が難しい筋交い等で間取りの制限を受けることはあります。制限の下で上手に希望を叶えてくれ、知識や経験が豊富な信頼できる依頼先を選ぶことも大切です。
リノベーションの内容は、業者の設計力や施工力、会社の考え方などによって提案内容が大きく異なるため、複数の会社に相談するのもおすすめです。

2. 木造 2×4(ツーバイフォー)工法

2×4工法は、「木造壁式工法」とも呼ばれ、四方の壁4枚と天井と床を合わせた6枚の板で空間を構成した北米生まれの建築工法です。2インチ×4インチの角材と合板を利用してつくられた板材で、壁・床・天井を構成することからこの名がつけられました。
新築工事の際に、1階・2階の床壁天井を下から順番に組み上げていくため、比較的、施工が容易で在来工法に比べると工期が短いのが特徴です。建売住宅でも採用されることの多い工法です。

木造 2×4(ツーバイフォー)工法のメリット

2×4工法の戸建ては耐震性能が高いことがメリット。そもそも、構造上あとから耐震補強をすることは不可能です。また、開口部を大きくしづらい工法なので、断熱性能も確保しやすくなります。
加藤

加藤

2×4工法の建物は、耐震・断熱といった性能向上に費用を使う必要がありません。その分、こだわりの内装やデザインに費用をかけてリノベーションをすることが可能です。

こちらのリノベーションでは、残ってしまった下がり壁や袖壁にアールのデザインや色のアクセントをつけて素敵に演出しています。

木造 2×4(ツーバイフォー)工法のデメリット

2×4工法では壁が構造体になっているため、壁を抜いたり移動したりすることは難しく、間取り変更が容易ではありません。既存の建物の状態や間取りをよく確認し、納得したうえで選ぶことが大切です。
加藤

加藤

部分的に壁を抜きたい場合にもその可否を判断し、施工を行える業者は限られてきます。窓の大きさやドア位置など開口部の位置や大きさを変えることも難易度が高く、階段の移動はできません。

3. 鉄骨造(軽量鉄骨造/重量鉄骨造)

木造在来工法の柱と梁を鉄骨に置き換えた建物が鉄骨造です。鉄骨造は使用する鋼材の厚みで種類が2つに分かれます。
鋼材の厚みが6mm未満の場合は軽量鉄骨造、6mm以上の場合は重量鉄骨造と呼ばれます。鉄骨造は高い強度を持つ鋼材によって、木造に比べ柱の数を減らして無柱の空間を実現しやすいことが特徴です。商業ビルや病院などの比較的大規模な施設は重量鉄骨造、住宅のほかコンビニやスーパーなどの小規模な店舗の建物では軽量鉄骨造が選択される傾向があります。

鉄骨造(軽量鉄骨造/重量鉄骨造)のメリット

鉄骨は木材に比べ耐久性が高く建材も高価なため、新築をする際には木造よりも鉄骨造の方が費用がかかります。ただ、中古物件の場合には、木造と鉄骨造で価格差がないことも多く、新築するよりもコストを大幅に抑えてリノベーションが実現できるのが鉄骨造の大きなメリットです。
加藤

加藤

鉄骨造は木造住宅では難しい大きな空間や間口を実現しやすい構造です。内部も耐震壁や耐力壁ではない雑壁であるケースが多いので、間取り変更も可能。時折、ブレースという筋交いの役割をする鋼材が移動できない場合もあります。

こちらのリノベーションは、ブレースを露出して塗装し意匠面で活かすことで、開放感のある設計を実現しています。

鉄骨造(軽量鉄骨造/重量鉄骨造)のデメリット

築年数の古い鉄骨造の建物は、鋼材の劣化が進んでおりリノベーションの前に補強が必要になる場合があります。特に、ハウスメーカー独自の構造計算をされている型式認定工法の鉄骨造戸建ての場合、既存の建物の強度を割り出せず、耐震工事後の強度を数値化することができないといった理由から、耐震化のハードルが上がります。
加藤

加藤

鉄骨造の場合は、2階の床下にもブレースが配置されているため、木造在来工法と違い階段の位置変更は難易度が高くなります。さらに、鉄骨造や後述する鉄筋コンクリート造の建物は建築基準法上の3号建築物というカテゴリーになり、主要構造部の変更には確認申請が必要です。そのため、階段のほか、窓の拡張や玄関・勝手口の位置変更や減築など鉄骨の構造にさわるリノベーションには対応できない会社も。
既存の鉄骨構造を変更しない形で計画を進める方が時間やコストを削減できるでしょう。

4. 鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造はRC造とも呼ばれます。RCとは「Reinforced Concrete」の略で「(鉄筋により)強化されたコンクリート」という意味です。主要構造部を鉄筋コンクリートで構築するため、自由度の高い設計ができ、耐震性や耐火性に優れています。

また鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は鉄筋コンクリートに重量鉄骨を組み合わせたもので、高層マンションや駅、学校といった公共施設を含むさまざまな建物で採用されています。鉄筋コンクリート造の構造はラーメン構造と壁式構造の2種類に分かれます。

鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造のメリット

ラーメン構造の建物は、柱や梁で建物を支えているため室内に耐力壁がなく自由に間取りを変更しやすく、大きく間取りを変更するリノベーションにも適しています。大空間や大開口を備えた、開放感のある住まいを実現することができます。

壁構造の建物の場合は間仕切り壁の撤去は難しい場合が多く、間取りの自由度は制限されます。しかし、もともと広さが確保されていることが多いのに加え、柱や梁が張り出さないスッキリとした空間になっているので意匠性に優れたリノベーションが可能です。
加藤

加藤

鉄筋コンクリート自体が遮音性に優れているため、外部の音が気になる場合や楽器の演奏など防音に優れた家を作りたい場合にも向いています。コンクリート打ちっぱなしの壁は鉄筋コンクリート造ならではのデザインです。

こちらのリノベーションは、大開口や大空間とともにコンクリート打ちっぱなしのデザインがほかにはない魅力を生んでいます。

鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造のデメリット

鉄筋コンクリートは熱伝導率が高いため、戸建てでは外気温の影響を受けやすく、特に冬場には寒さを感じられる場合があります。リノベーションの際は、内装だけでなく断熱や空調の計画もしっかりとすることが大切です。
加藤

加藤

気密性が高い構造なので、中古物件では結露やカビなどの問題を抱えている建物もあります。断熱工事や調湿効果のある内装材で防げればよいですが、換気量を増やす必要がある時には、換気扇を設置するためコンクリート壁に穴をあける作業(コア抜き)が必要に。RCレーダーなど専用の鉄筋調査機を使い、構造に影響のない形で工事をしてくれる会社へ依頼することが大切です。

リノベーションにおける各構造の耐用年数について

リノベーションを行う際、その建物はどのくらい持つのか?耐用年数は構造により違いはあるのか?という点において疑問を持たれる方も多いでしょう。
実際に、税務上において木造は22年、鉄骨造は19~34年(※骨材の厚さにより異なります)、鉄筋コンクリート造は47年、という耐用年数が定められています。

この耐用年数はあくまでも税務上の目安であり、この年数が経つと建物がダメになってしまうわけではありません。どの構造も、適切なメンテナンス・修繕を行うことが大切です。

加藤

加藤

具体的には、どの構造においても、10~15年に1度の外壁や屋根、防水などを中心にメンテナンスを行うのがおすすめです。リノベーションは、自身の暮らしに合わせた意匠性だけでなく、既存の建物の修繕と合わせて検討することが大切です。また、その後は定期的なメンテナンスを行うことで、快適で安全な住まいを維持していくことができます。
構造に関することは専門的な内容も多いですが、自身の所有する建物や購入を検討する建物の構造をあらかじめ知っておくことはとても大切。知識を得ることで、後悔のない住まいを実現しましょう。

(参考)
マンションの構造の種類と特徴、メリット・デメリット(ラーメン構造・壁式構造)

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