家づくりの学び舎

2023/01/19更新0like981view

著者:前川 ミチコ

希望どおりの土地を選ぶためのチェックポイント ~用途地域・建ぺい率・高さ制限 etc.~

この記事を書いた人

前川 ミチコさん

住宅情報誌の広告制作・編集を経て、フリーエディター&ライターに。家づくりやリフォームなど住まい・暮らし系全般、結婚式準備から新生活までブライダル系全般のほか、妊娠・出産・育児中の暮らし、愛犬との暮らしや旅行などに役立つ情報を発信しています。

どんな土地を選ぶかによって、住環境も家づくりのプランも大きく変わります。予算、エリア、周辺環境、広さなどさまざまな希望を満たす土地と出会うには、条件に優先順位をつけることが重要。ここでは、希望どおりの土地を選ぶための4つのチェックポイントを解説します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ポイント①)住環境に大きく影響する「用途地域」

土地は13種類の「用途地域」に区分され、建てられる建物の種類や大きさが制限されています。たとえば住宅と工場などのように、用途の異なる建物が混在すると、お互いの環境や効率が悪くなってしまうので、これを避けるために分けられています。13種類の用途地域には、それぞれ次のような特徴があります。

用途地域の種類

■住宅系
第一種低層住居専用地域:2階建てなど低層住宅のための地域
第二種低層住居専用地域:主に2建てなど低層住宅+小規模店舗のための地域
第一種中高層住居専用地域:3階建てなど中高層住宅のための地域
第二種中高層住居専用地域:主に中高層住宅+病院、大学、大規模店舗のための地域
第一種住居地域:住宅の環境を守るための地域。大規模店舗やホテルもOK
第二種住居地域:主に住宅の環境を守るための地域。大規模店舗やホテル、娯楽施設もOK
準住居地域:道路沿いで自動車関連施設などと住宅が調和する環境を守るための地域
田園住居地域:農業用地と低層住宅が調和する環境を守るための地域

■商業系
近隣商業地域:地域住民が日用品の買い物をするための地域。住宅、小規模工場もOK
商業地域:銀行、飲食店、百貨店などが中心の地域。住宅や小規模の工場もOK

■工業系
準工業地域:主に軽工業の向上やサービス施設が中心。住宅もOK
工業地域:どんな工場も建てられる地域。高層マンションが建つことも
工業専用地域:工場のための地域。住宅はNG
このように、住宅はほとんどの地域で建てることができますが、用途地域によって住環境は大きく変わります。土地選びの際にその土地の用途地域を確認すれば、将来どのような建物が周辺に建つ可能性があるのかもわかります。気になる土地情報を見つけたら、実際に現地周辺を歩いてみて雰囲気をつかみましょう。

ポイント②)家の大きさが決まる「建ぺい率」と「容積率」

土地が広ければ広いほど、大きな家を建てられるというわけではありません。土地ごとに「建ぺい率」「容積率」などのルールがあり、それによって建てられる家の大きさの上限が決められているからです。

建ぺい率

その土地で、建物に使える面積の割合のこと。
敷地面積×建ぺい率=建築面積 で算出できます。

例えば「建ぺい率50%」の地域で、敷地面積100㎡の土地なら、50㎡までの面積の上にその土地で、建物に使える面積の割合のこと。
敷地面積×建ぺい率=建築面積 で算出できます。
例えば「建ぺい率50%」の地域で、敷地面積100㎡の土地なら、50㎡までの面積の上に建物を建ててOKということになります。

なお、角地の場合は10%緩和されるので、建ぺい率50%の地域で角地なら、60%までOKとなります。

容積率

その土地に建てられる、建物の延床面積のこと。

敷地面積×容積率=延床面積 で算出できます。

たとえば「容積率100%」の地域で、敷地面積100㎡、建ぺい率50%の土地なら、全フロアを合計して100㎡までの建物が建てられるということになります。

なお、地下室やビルトインガレージ、ロフト、小屋裏収納などは、一定の限度までは容積率の計算から除外されるという特例があります。

ポイント③)家の高さが決まる「斜線制限」

土地によって、建てられる建物の「高さ」を制限する規制もあります。まず、用途地域によって「絶対高さ制限」が定められた地域があり、さらに道路や隣地、北側に建つ建物への採光・通風を確保するために「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」があります。家の高さが、これらの斜線を超えないように設計することになります。

道路斜線制限

道路の日照や採光・通風を確保するため、建物の前面道路側の高さが制限を受けます。用途地域の指定がない場合も含め、すべての土地において適用されます。

隣地斜線制限

隣地の日照や採光・通風を確保するため、建物の隣地側の高さが制限を受けます。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域は、建物の「絶対高さ」が定められているため、隣地斜線制限は適用されません。

北側斜線制限

北側に立つ建物の採光条件を確保するため、建物の北側の高さが制限を受けます。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層専用地域、第二種中高層専用地域のみ適用されます。

ポイント④)相場より安くなる「不整形地」の条件

掘り出し物はないと言われる土地物件。もし相場より安いとしたら、土地の形状がよくない「不整形地」であるなど、理由があるはずです。ただし、一般的にはデメリットとされる点も、建築の工夫によって解決できたり、逆転の発想で活かせたりすることがあります。

旗竿(はたざお)地

道路と細い路地でつながるL字型の敷地のこと。旗を竿につけたような形状から、旗竿地、または敷地延長、路地状敷地などとも呼ばれます。この旗竿にあたる部分は通路か駐車場などにすることが多く、家は旗にあたる部分に建てることになります。周囲に建物があると、採光・通風の条件が悪く、圧迫感もあるため、こうした面から安くなる傾向にあります。

変形地

三角形、台形などの変形地も、デッドスペースができやすく、安くなる傾向にあります。

傾斜地

斜面を切り崩したり、盛り土をしたりと、土地を平らに造成する必要があるため、土地は安くなったとしても、造成工事費がかかります。また、北向きのひな壇は、南側の土地が高くなっているため日当たりがよくないといったデメリットもあります。

さらに「地盤調査」の結果により「地盤改良」が必要になることも...

家を建てる前にはまず、地盤の強度を調べる「地盤調査」が必要となります。地盤調査の方法は主に以下の2つです。

スウェーデン式サウンディング試験

一般的な一戸建てで採用されることが多い調査方法。建物の四隅と中央の計4カ所に鉄の棒をねじ込んで強度を調査します。(費用:一般的な一戸建てで5万円くらいが目安)

ボーリング調査

3階建て以上で建物の重量があるなど、さらに詳しく調査する場合に採用されるケースも。強固な地層に達するまでくり抜く(ボーリング)と同時に、地層のサンプルを取り、地質も調べることができます。(費用:一般的な一戸建てで30万円くらいが目安)

地盤調査の結果、地盤改良が必要と判断された場合、そのレベルに応じて以下のような方法で強度を高める工事を行います。

表層改良工法

敷地の表層の土を掘り、土に強固材を混ぜて戻し、地盤の強度を高めます。(費用:一般的な一戸建てで50万円くらいが目安)

柱状改良工法

表層改良工法が難しい場合、コンクリートの柱を何本も注入して地盤の強度を高めます。(費用:一般的な一戸建てで100万円くらいが目安)

地盤が軟弱なほど、地盤改良工事の費用がかかりますが、地盤調査は土地購入前には行えないケースが一般的。ハザードマップなども参考にして周囲の地盤の状態を探りつつ、工事が必要になった場合に備えて予算を残しておくと安心です。
※費用は時期により変動する場合があります。
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