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家族の距離感
近年、個性・感性豊かな子育てが社会的テーマに取り上げられる中、家づくりと教育との関係性は希薄な気がしてなりません。特に多くの新興住宅街に見られる画一的な住環境で、どのようにして個性・感性豊かな子どもが育つというのでしょうか。教育は学校だけで行われている訳ではなく、その原点となるは家です。もっと真剣に個人・家族といった空間単位で考える必要性があると思います。
そんな中、建築家に設計依頼をされる建主の多くは、よく考えられています。というより、明確なビジョンを持っています。もちろん、よく考えて住宅を設計すれば、頭のよい子に育つということではありません。その様な答えがあるのなら、教えて欲しいものです。しかし個性・感性豊かな子どもが育つ環境をつくることはできると思います。
私に設計依頼される建主さんは、同世代が多く、子育て世代です。子どもに対する考えは千差万別で、私自身とても勉強になります。いくつかの設計事例を紹介したいと思います。
CASE1
子どもが部屋に篭らない家がよいというのです。当然の要望です。私はLDKを2階南の一番良い所に配置し、子ども部屋を1階北側の条件の悪い所に配置した提案をしたら、大変気にいってもらえました。この家なら、子ども部屋の居心地があまりよくなく、ダイニングで勉強するだろうし、部屋は寝るだけです。そもそも個室が必要な時期は短く、大きくなったら出て行くので勿体ないというのです。
我思うに、家族が集まるLDKを豊かにし、親自らが暮らしを楽しむことにより、子どもが大人に近づく距離感をうめるのではないかと思います。子どもが親に倣って育つ環境って大切と考えれば、これも一つの正解です。
CASE2
全ての部屋が南に面した家がよいというのです。そんな都合よくいきません。家族は夫婦2人+子ども2人の他、母と祖母がいる四世代住宅で、個室が5つ必要です。私は、発言者である夫婦の寝室を北に、残り4つの個室を南に配置した意地悪な提案をしましたが、大変気に入ってもらえました。それぞれの居場所が、個室のみではなく、いろんな居場所が楽しめるとのことです。ちなみに個室の他、家の真ん中にLDK、上のリビング、大きな玄関ホール、畳スペース、縁側、3つの中庭などが有ります。
我思うに、個々が自分の居場所を確保しながら、さらに自分の居場所を移動・選択できることにより、適度な個々の距離感を生んでいるのだと思います。家族それぞれがお互いの存在を尊重し合うって大切と考えれば、これも一つの正解です。
CASE3
4人の小さな男の子がいる家族です。オープンな家庭で、子ども部屋はいらない。玄関もいらないというのです。なので、LDK、子ども部屋、玄関、廊下が一体となった平屋のワンルームを提案しました。ユニークなのは、真ん中の大きな中庭により、なんとなく仕切られていることです。建主曰く、細かく部屋を仕切った訳でないけど、子どもたちなりに遊びスペースがあり、子どもたちが騒いでも気にならないところがよいとのことです。
我思うに、大きな中庭の存在が、離れていながら、つながっているという程よい距離感を生んでいるのだと思います。大人だけでなく、子どもにとっても安心感を生み、自立を育むって大切と考えれば、これも一つの正解です。
~感というのを、文章化するのは難しいことです。説明下手・不足な点は、お問合せ下さい。家族の考え方は、その家族の数だけ存在するはずです。答えはひとつではありません。それが家族の個性です。建築家はそれを空間化することが仕事です。ゆえに、建築家との家づくりは世界にひとつなのです。
根來 宏典(ねごろ ひろのり)/ 根來宏典建築研究所
対応業務 注文住宅
所在地 東京都新宿区
主な対応エリア 茨城県 / 栃木県 / 群馬県 / 埼玉県 / 千葉県 / 東京都 / 神奈川県 / 三重県 / 滋賀県 / 京都府 / 大阪府 / 兵庫県 / 奈良県 / 和歌山県
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