床材は大きく分けて2種類あります。1つは、無垢材を使った単層のフローリング。もう1つは、ベニヤ板など複数の板を重ねて作られた複層フローリングです。
複層フローリングは様々な加工が施されているため経年変化は少ないですが、無垢材は天然のため、床材の種類によって剛性や強度、寸法安定性などの物理特性が異なります。それを知らずに見た目や名前の雰囲気で選んでしまうと、数年後に大後悔!なんてことになりかねません。
そこで今回は、様々なフローリングの特性についてご紹介します。以下を参考に、ライフスタイルにあったフローリングを選びましょう。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
◇チーク
◇杉
◇パイン
◇アカシア(ミモザ)
◇ナラ
◇足場板
◇三層フローリング
◇チーク
チークは木に含まれている油性分が高く耐水性に優れ、寸法も狂いにくい高級な床材です。写真のチークは施工されたばかりのものですが、経年変化と共に色が濃くなり、より味が出てきます。したがって、チークは住み続けることで次第に愛着が湧いてくる床材かもしれません。
ふんだんにチーク材が使われた「三角の吹抜けのあるチークの家」。
周辺環境のために、中庭がある南面のみ開かれているプランです。中庭にあわせた吹き抜けが、とても効果的で明るく開放的な空間に。
◇杉
空気を多く含んだ杉の無垢材は柔らかく、素足で踏んでも温かみを感じるほど心地がいいのが特徴です。その分、傷がつきやすく、物を落とすだけで表面が凹むこともあります。傷が気になる人には要注意ですが、かえってその傷が床材に味を足す場合もあります。木材の生きた温もりを味わいたい方にはとっておきの床材です。
真壁の玄関に、玄関ホールは障子の間、大梁、雪見障子や大型障子、杉の厚板フローリングに濡縁までも。和風建築ではありますが、なんだか自由で規格外を感じるおおらかさが魅力的な、気持ちの良い住まい。
◇パイン
節が多く木目が独特なパインは、欧風住宅やカントリー家具によく用いられます。傷はやや付きやすいですが、温かみがあってナチュラルな風合いを好まれる方に人気のある床材です。最初は白かった床も時間と共に飴色に変色していくので、その点は頭に留めておきましょう。
猫がひっかいても問題のないコンクリートあらわしの空間に、パイン材のフローリングを採用しました。傷も目立ちにくく、これからの経年の風合いが楽しみ。細部にまでこだわった住まいです。
◇アカシア(ミモザ)
水分の多い床材は乾燥すると縮んでひび割れることがありますが、アカシアは収縮が少なく、非常に硬い床材です。絡み合うような独特な木目が魅力的で、アンティーク調のインテリアにもよく合います。
コンクリート打ち放しの天井や壁、壁付け時計やアイアンフレームの室内窓が印象的なインダストリアルスタイルの住まい。表情豊かなアカシアのフローリングは、個性的な素材の中でも存在感があります。
◇ナラ
淡い色合いと虎斑模様が美しいナラは、強度や耐久性が高く人気がある床材です。ナチュラルで優しい風合いは北欧インテリアによく用いられますが、そのシンプルさからどんな部屋にも馴染むことができます。
丘陵の上に建つ桜並木を臨む住まい。
間仕切りをほとんど作らない開放的な空間です。ナラを採用した床、スキップフロアは自然とベンチのような役割に。
◇足場板
工事現場などで使い古された足場板は、杉の木を使っていることが多いです。ザラザラとした荒々しい表情が出るのが魅力ですが、小さいお子さんがいる場合は表面を加工して、怪我をしないよう工夫を行う必要があるかもしれません。
床は「芯古材」という杉足場板を削り表面を加工したもの。子どもが小さく妻が自宅でヨガ教室を開く予定もあったことから、風合いと素足で気持ちの良いこの素材を採用。 「古材に近づけるため石灰入の塗料で塗装しました。ヴィンテージ感たっぷりに仕上がって気に入っています。」とのこと。
◇三層フローリング
三層構造になっている床材を、造作2段ベッドの下段に採用しました。経年変化で寸法が狂ったりしないように加工されています。また、表面は無垢材の素材感を楽しむことができます。最近はこうしたハイブリッドな床材も増えているようです。