家づくりの学び舎

2019/08/20更新1like3369view

著者:Writernista

不動産売買契約書のチェックポイント

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不動産の購入・売却の際は、必ず不動産売買契約を締結しなくてはならないことは知っていても、必要な印紙や記載内容を理解していますか?準備する書類に不足がある、契約書の内容をあまり理解せずに署名捺印してしまったなどのミスは、不動産の販売価格が高額なために大きな損失になります。ここでは、契約書の記載内容や準備する書類についてもう一度確認し、失敗のない契約が行えるためのポイントを紹介します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

不動産売買契約書の内容をチェックする

不動産売買契約が締結するまでの流れ

契約書に記載すべき内容

不動産売買契約書を確認する際の注意点

不動産売買契約書が役に立つ時

不動産売買契約書の内容をチェックする

まずは、不動産売買契約書の役割を確認しましょう。

不動産売買契約書とは、売主・買主合意のもと締結した物件の売買契約を証明する書面で、契約に関する多くのことが記載されています。約款なども契約書に記載されます。

■署名捺印することで法的拘束力が生まれる
契約書が効力を発揮するためには、売り主・買い主双方の署名と捺印がしてあることが絶対条件です。別の捉え方をすると、売り主・買い主双方の署名と捺印があるということは、双方の合意が得られなくとも、合意したことになるのです。

不動産売買契約締結後の契約内容変更やキャンセルは、違約金などのペナルティが発生してしまいます。金銭の授受や物件の引き渡しよりも契約の締結を先に要求される場合が実務では多いです。内容をきちんと把握したうえで署名捺印する必要があります。

不動産売買契約が締結するまでの流れ

不動産売買契約が締結するまでに行うことは、おもに3つです。

①買主の購入意思表示
一般的に「買い付け証明書」と言われる申込書を不動産会社に提出することで物件を正式に押さえるケースが多いようです。その際に手付金いくら払うか、契約日をいつにするかなどを決めます。指値(値引き交渉)がある際も、買い付け証明書を提出する場合があります。

②重要事項説明
契約を結ぶ前に、必ず重要事項説明を行います。重要事項説明書は、対象物件に関する事項と取引条件に関する事項について記載されていて、宅地建物取引士による説明義務があります。

説明場所に関しては特に決められていないので、どこで説明を受けても構いません。重要事項説明を受けて契約内容に納得できない場合、買主はこの時点で購入意思を取り消すことができます。

③売買契約締結
不動産売買契約書への署名・押印を売り主、買い主双方が行います。これにより、売り主は所有権移転、物件引き渡しをするための準備を行わなくてはならず、買い主は売買代金の支払い義務が発生します。

契約書に記載すべき内容

不動産売買契約書は正式な書式が定められていません。そのため、不動産会社や仲介業者によって記載項目の順序やフォーマットが異なりますが、主に次のことが記載されています。重要事項説明書と併せてチェックすることをお勧めします。

・契約当事者
売主・買主の個人の住所や氏名を明確にします。

・売買物件の表示
記載された内容が登記記録(登記簿)に記録された情報と一致しているかを確認するために、売買対象の物件を記載します。

・土地面積、土地代金の精算
登記記録に表示された土地面積と実測面積が一致するかを確認します。異なる場合は、面積の差に応じて売買代金の精算を行うこともあります。

・所有権の移転時期、引き渡しの時期
所有権の移転や引き渡しの時期を確認します。一般的に、引き渡し売買代金の全額支払いと同時に行われます。

・付帯設備の確認、引き継ぎ
室内の照明、エアコン、給湯器、庭の門扉や庭木などのうち、どの付属設備を引き継ぐのかを明確にします。現状のままで引き渡しなのか、壊れた場合にどうするかなども聞いておくとよいでしょう。これは、「瑕疵担保責任」の項目でも確認する事項です。

・抵当権などの抹消
物件に抵当権や地役権、賃借権などが設定されていた場合、売り主は、引き渡し日までに抹消しなくてはならず、怠ると所有権を引き渡すことができなくなります。これらの権利を確実に抹消できるかどうかを確認しましょう。

・公租公課の精算方法を決める
固定資産税、都市計画税、家賃収入、管理費などの税金を精算します。固定資産税や都市計画税は、起算日が1月1日なので、引き渡し日以降の税金を買い主が日割り精算する方法が多く用いられています。

・手付金の設定や解除
この条項では、契約を解除しなければいけない場合の手付解除の規定を定め、買主の手付金放棄、売主の手付金倍返しなどの約束事を記載します。手付解除を設けないとき、解除可能な期間を設定したときは、この項目に記載されているかをチェックします。

・危険負担
売買契約締結後から引き渡し前までに、天災などにより建物が損害を受けた、亡くなってしまったときに、支払いはどうしたらよいかを取り決めこの項目に記載をします。民法では買主が費用負担するのが原則ですが、特約などで売主負担する、契約そのものを解除するなどもできます。

・契約違反による解除
契約上の違反があった場合、売主・買主にかかわらず契約を解除できる旨を明記します。金銭の返還や違約金の支払い義務、支払金額も明記されます。

・反社会的勢力の排除
当事者が反社会的勢力に該当しないことを確認するための条項です。

・ローン特約
買主が住宅ローンの融資を受けられなかった場合、契約違反にさせないための特約です。この特約に該当する場合、買主は不動産売買契約を無条件で解除できます。ローンの審査に通らないことは可能性としてはなくはありません。記載されているかしっかり確認すべき事項です。

・瑕疵担保責任
売買対象の物件に欠陥などの瑕疵があった場合、売主が補修や損害賠償を行う範囲はどこか、その期間はいつまでかを確認するための項目です。

不動産売買契約書を確認する際の注意点

契約書にひと通り目を通したら、もう一度次の観点でチェックをしましょう。

・責任の所在がどこにあるか
事故や損害などがあった際、売主・買主でどのように費用や責任を負担しているかを確認します。設備や危険負担の項目では、特にこの観点が大事になります。

・金額はいくらになるのかをチェックする
売買代金のほかにも、税金や契約解除や契約違反に伴い発生するお金はいくらなのかについて確認しましょう。

・期限がある条項をチェックする
責任問題や契約解除など、期日が設けられている項目は欠かさず確認しておく必要があります。

・特約に記載してある事項を確認する
特約に記載されてある項目は、ほかに記載されてある項目よりも優先されます。そのため、売主・買主のどちらかに大きな負担となる項目がないか確認しましょう。

不動産売買契約書が役に立つ時

売買契約書は不動産に関する税金の申告やトラブル対応などの際、正式な証拠となる大切なものです。そのため、売買契約が終了した後も契約書を保存しておくべきです。どんなときに契約書が役立つかの例を紹介します。

・確定申告
不動産を売却した場合は、確定申告を行います。その際に、資料として契約書を使用します。契約書を紛失してしまうと、 所得を証明できないので、本来受けられるはずの控除が受けられず、損をしてしまいます。

また、確定申告時に使用した書類や資料は5年間の保管が義務づけられ、追徴調査の際は過去7年間分の資料提出が求められますのでなくさないようにしましょう。なくしてしまうと証拠隠蔽として扱われてしまうケースもあります。

・買い主からのクレーム対応
不動産を売却した際に怖いのが買い主とのトラブルです。「瑕疵担保責任」といわれる、買主が購入時に知らなかった住宅の「傷」のトラブル解決の際、売買契約書はとくに重要な証拠となります。

・「居住用財産の買換えの特例」を適用する
この制度を使うと物件の売却金に課税された税金を後に繰り延べることができます。売買金額の証明をする必要があるので、売買契約書がないと控除手続きに手間がかかる、控除してもらえないなどの可能性があります。
不動産売買契約書には、少なくとも上記に示した事項が記載されていなくてはなりません。これらに目を通し、「責任」「金額」「期日」「特約」を中心にもう一度読み直すと理解しやすくなります。

契約書に署名捺印する前には必ず重要事項説明が行われますので、併せて読んで理解を深めましょう。所得税の申告、住宅ローンの借入れなど、住宅に関する様々な手続きに契約書は必要です。売買契約書は、売主、買主にともに永久的に保管しておくべき書類です。

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