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設計、監理、インテリアを担当
戦前に建てられた賃貸長屋が軒を並べる京都市東山区の昭和小路。入退去のタイミングで住戸内外の改修を進め、今回が第3期工事。
つぎはぎリフォームや入居者のDIYによりパッチワークだった外観が計画が進むにつれて整理され、屋根や漆喰塗りの統一感と、格子や窓のデザインの相違が程よいバランスを獲得しつつあります。今回は店舗やオフィス等、小商いを行う職住一体の生活を想定して水廻りはコンパクトにまとめ、間仕切を取り払って最大限ワンルームとして使える間取りとしました。
大きめの空間をつくりながら既存の柱梁・敷居で囲まれた骨格を残し、アルミサッシで断熱・気密・防音・防犯性を確保しながら内側に既存の木製建具を入れて、現代的なニーズに応えながら細やかな町家の雰囲気を維持出来るよう努めています。
賃貸向け京町家のリストア
外観。住戸毎に進めてきた改修が進み、外壁・屋根の程よい統一感が産まれている。
蝶のような持ち送り金物は塗装して再利用。その内側に鉄製枠を組み、木格子を新設。玄関戸は鍵を取替え、立て付けを調整して再利用。
玄関。土間床は墨入りモルタル仕上げ。既存の床柱を玄関正面に移設し、クローゼットのニッチを床の間のように設えている。
居間全景。古いユニットバスを除却して坪庭を復活させ、薄暗かった室内に光を導いている。
押入の中にあった階段は壁・建具・底板を取り外してスケルトン化し、手摺を付けて再利用。
既存の間取りのフレームを残すことで、現代的なワンルームと古い町家の身体感覚が共存している。
居間の東から西を見る。手前左は洗面・浴室。
再利用した板戸の中は飾り棚。
玄関周り見返し。建具の組合せ方によって動線の選択肢が増え、小さな回遊性が生まれる。
コンパクトなキッチン。既存の屋根が低いため換気扇のダクトは露出配管。庭先の塀は既存の波板をアイアン塗装。
床は杉フローリング。壁は漆喰中塗り仕上げ。天井はペイント、梁表し。外部建具はアルミサッシを新設して、その内側に既存木製建具を再度嵌め込んでいる。
2階。断熱材を入れた後、屋根形状に合わせて天井を貼り直した。
大きめの居室の脇に小さな附室が2つ。寝室やクローゼット等、多目的に利用できる。
町家のモジュールを生かし、使い勝手に応じて建具を移動出来る。
2階は東西の開口から光・風が入る。
塗装・塗壁の湿式仕上が中心の1階に対して、2階は合板を貼り、乾式仕上でまとめている。
附室の入口は既存建具のサイズに合わせて設えた。
大きな丸太の棟木をそのまま表しとして用い、ボルトで鴨居を吊っている。
既存の鉄製物干し台を再塗装。杉足場板を貼ってウッドデッキ化。