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設計、監理を担当
一人暮らしの単身女性のためのリノベーションです。平日は忙しく仕事をしているため、家では「しっかりダラダラ」したいという一聞すると自己矛盾したキーワードを頂き、機能分節の手がかりとなる引き戸を設置したワンルームのルーズな空間を提案しました。
お施主さまは長らく賃貸マンションで一人暮らしをされていて、次の更新でどこに住もうかとお部屋を探していたときに、中々気に入った物件がなかったそうです。それなら賃料を払い続けても自分のものにならない賃貸ではなく、いっその事中古マンションを買って自分らしくリノベーションしようという考えになり設計のご相談をいただきました。
これまでワンルームの賃貸物件に暮らしていた経験から、寝るのも食べるのも同じ部屋でダラダラしているのか生活しているのか分からなくなるのが嫌だという事で、「しっかりダラダラ」するというキーワードをいただきました。
また、日当たりの良いお部屋だったので、ベルコニー側からの採光を妨げない設計案が求められました。
自然光の差し込む明るい室内で「しっかりダラダラ」暮らす事を実現するために、ルーズな空間でありながら領域の手がかりを適度に設ける事にしました。
まずは、「しっかりダラダラ」するための余地を最大化するために、水回りを小堺壁に沿って縦長にまとめ、そこに隣接するように窓からの光を遮らない縦長のワンルームを設定しました。
このワンルームの空間を4本引きのガラス框戸で分節し、お施主さまの希望されていた篭れる寝室を設置しています。
引戸は、壁属性としてではなく家具属性として認知されるように、壁面から隙間を開けて設置し、モノとしての自律性を高めたデザインとしました。
また、篭れる寝室の上部はロフト、側面は下足棚をなっています。
賃貸のときはなかなか人を呼べなかったけど、これからは友人を招いていきたいとおっしゃっていました。
まずはお施主様から頂いたキーワードである「しっかりダラダラ」の解釈、イメージの共有から始めました。「こういう状態はしっかりダラダラできているか」のキャッチボールを続けている中で設計案が出来上がっていきました。
打合せを重ねる中で、「しっかりダラダラ」というキーワードが腑におちた瞬間が印象的でした。いつも考える事ですが、言葉は同じ単語を使っていても使う人によって微妙にそのニュアンスは違い、普段はどこかで伝達に対して妥協しているところがあると思うのですが、時間をかけてちゃんと共有できた時の爽快感は特別なものだと感じます。
4枚引きのガラス框戸で適度に分節したワンルーム
専有部内にある本来ネガティブな縦配管は、お施主様の好きな色に塗装してアクセント要素として活用
キッチンとダイニングスペースの間は通常よりやや高めに腰壁を立ち上げ、キッチンっぽさがLD側に漏れすぎないように配慮
水回り設備の中でもキッチンはバルコニー側に寄せて配置し、日の当たる明るい調理スペースとした。
トイレと洗面脱衣室は一体として、限られたスペースでも視覚的広がりのある開放的な印象となった
引戸は枠を壁から少し離すことで自律的で家具のような印象となっている。
LDの一画に設けた籠る寝室からバルコニーまでが見通せる
LDの数箇所に設けたイヤホンジャック型の穴は、手軽に持ち運べるマイクロスポットライトの差し込み口となっている。ペンのように胸ポケットに刺して、自分の居場所の差し込み口に差し込めば手元灯になる仕掛け。