SUVACOの代表・黒木が、これまでお会いした専門家たちの素顔を「完全主観」でお届けするシリーズ。
ジャムズほどつかみどころがなく、一方でお客様の心をつかんでしまう設計事務所は他に無いかもしれません。ジャムセッションのように、楽しみながらお客様もセッションメンバーとして巻き込み、一緒に住まいを作り上げていく。そんなジャムズの魅力について私なりに紹介してみます。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
ジャムズの距離感
社内コンペ
距離の縮めかた
犬や猫と暮らす家
それぞれの時間、一緒の時間
ジャムズの距離感
ジャムズのつかみどころのなさと魅力、それは、主宰者2人の絶妙な距離感にありそうです。拠点は仲條さんと横関さんそれぞれの自宅兼アトリエ。横浜と川越に分かれていますが、設立から20年以上ずっと、一度も一緒にオフィスを構えたことがないといいます。共同主宰の2人はどちらが上ということもなく、作風もどちらの影響力が強いというわけでもなさそう。
SUVACOの紹介写真でも、ホームページの写真でも、2人は絶妙な距離をキープしています。
それでいて、案件は必ず2人が協働して設計に取り組みます。どちらかがメインになることはあっても、必ず「ジャムズ」で対応するんだそう。
「調整が大変ではないか」、「非効率ではないか」とも思いましたが、あまり事前調整を行わずに、それぞれの意見を持ったままチームで取り組むのがジャムズ流。
2人が協働することで、お客様とのコミュニケーションの質が格段によくなり、本当の要望に踏み込むことができる。結果、お客様の心を掴んでしまうようなのです。
実際、私が横関さんと話していても、いつの間にか仲條さんが入り込んでいたり、逆に仲條さんとの会話に気付けば横関さんも加わっていることが頻繁に起こる。同じトピックでも別の角度から聞かれたり、異なる温度感での会話になったりで、「ちょっと待てよ」と考え直すことがありますが、ジャムズのコミュニケーションでは、それがごく自然に行われているようです。
社内コンペ
ジャムズに設計を依頼すると、仲條案と横関案、2つの案が提示されるケースも多いようです。お客様のお話を聞いた後、2人がそれぞれにプランを準備してお客様に提示し、お客様に採用された案をベースに設計が進められる。
ひとりの設計士が2つの案を提示するのではなく、2人の設計士が、それぞれ本気で考えた1案ずつを提示するところがポイント。どちらかといえば、仲條さんのほうが攻めた提案、横関さんはヒアリングした内容に沿った提案が多いとか。異なるスタイルの提案に接してもらうことで、お客様の奥深くにある本当の気持ちや、振れ幅が見えてくるといいます。
距離の縮めかた
コンペで一案を選んだら、そこからは、ジャムズとしてチームで設計。
「本当の希望を見つけ出して人に伝えるって、結構難しいことなんです。 私たちは対話を大切にし時間を掛けて打ち合わせを進めていきます。わいわい話をして時間を共にする中でヒントを見つけ、好みや趣味だけではなく、暮らし方や人柄などを感じ取り建物に反映していきます」
お客様の価値観が掴みきれない時は、お客様と「ぶらジャムズ」(街歩き)を行うという。街をぶらぶら歩きながら会話をすることで、暮らしに対する考え方が見えてくる。
お客様とのコミュニケーションにおいても、2人の絶妙な距離感がお客様との距離を縮めます。SUVACOのお客様からも、「どんなに信頼していて打ち解けたように見えていても、プロである専門家に対してコメントや質問しづらいことがある」とよく聞きます。ジャムズさんは、2人の距離感、空気感で、お客様の本当の気持ちを引き出すことができているのかな、と思います。
例えば、横関さんの意見に対して、仲條さんがお客様の前で笑いながら「えー、ちょっと違うんじゃない?」とさらっとダメ出しをしたりする。その押し付けがましくない空気感が、お客様には心地よいようなのです。間違っていても、うまく表現できなくても良いから、自由に感じたことを言える雰囲気ができる。
大事なことは、建築家先生とみなされることではなく、お客様の要望を引き出す空気感を醸成すること。
建築家とお客様の距離を縮めたい。SUVACOが目指すことを実践してくれるひとつの形です。
犬や猫と暮らす家
必ずチームで案件を対応するジャムズですが、2人の間で明確に分けていることがあるといいます。それは、犬担当と猫担当。
横関さんは、犬と住む家の設計事例が豊富。『犬のための家づくり』(エクスナレッジ)の執筆・監修を手掛けているだけでなく、自らも川越の戸建て住宅で犬と暮らしており(以前はラブラドールレトリバー、現在はビーグル)、犬と楽しく暮らすための間取りの工夫だけでなく、建材の研究などにも余念がない。フローリングとオイルの組み合わせなど、試作して改善を重ねているようです。
Ban Houseは、理想の愛犬家住宅プランをベースに作られた家。愛犬家の想いが散りばめられています。
長らく猫と一緒に暮らしていた仲條さんは猫担当。自宅兼アトリエも猫仕様になっており、猫との楽しい暮らしについて話し出すと止まりません。
ネコウラ邸は、ネコと人が心地よく過ごせる空間です。
それぞれの時間、一緒の時間
ジャムズさんの設計事例の特徴、それは「距離感」の設計かな、と思うのです。
「トムジェリ」は、SUVACOでご紹介したお客様の、戸建てリノベーション案件のプロジェクト。子供が巣立って行った後、夫婦それぞれの時間と一緒の時間をどちらも大切にするため、距離感を調整する家です。
他の事例を見ても、距離感の設計が面白い。
「ザウゥス」は実家との距離感、
「二つの木箱」は二世帯の生活と仕事空間、
「コッソリッヒ」は子供との距離感、
「ビアンコネロ」は英会話教室と居住エリアを限られた空間に共存させるパブリックとプライベートの距離感。
2021年7月に内覧会へ伺った「イヌとネコとヒトの家」は、夫婦と猫と犬が楽しく暮らすための家。まだ心を開ききらない保護犬と、戯れてくる猫、犬にも猫にも愛情を注ぐ妻、犬との距離を縮めようとする夫が、一緒に、そして、それぞれが楽しく暮らすための家です。お施主さんは、ジャムズさんとワイワイ話しながら、プロセスも楽しんでいたようでした。
犬や猫「が」楽しく暮らす家ではなく、犬や猫「と」楽しく暮らす家、を追求することがジャムズの真骨頂。「愛犬と心地よく暮らしていくためには犬たちのアメニティーを考える以上に飼い主の負担を減らすことが重要だと思います。世話の負担が減り、犬との暮らしを飼い主が楽しむようになれば、それこそ犬たちにとっての幸せとなるからです」
ジャムズとしての設計以外の時間は、仲條さんは大学で建築学生たちとの交流を通じて、横関さんは地元川越で蔵をDIYリノベするなどの地域コミュニティ活動を通じて、それぞれが独自の世界で刺激を受けているようです。こうしたそれぞれの活動が、それぞれのインプットとなり、ジャムズの鮮度を保っているのかもしれませんね。
<こんな人にオススメ>
□これからの暮らし方にあった自分らしい住まいのカタチを、建築家との会話の中で時間をかけて、見つけたい人
□家族やペットと楽しく暮らすための、距離感の設計をしたい人
□犬や猫と楽しく暮らしたい人。とくに大型犬
<こんな人にはおススメしない>
□時間をかけてコミュニケーションをとる余裕がない人
□自分たちの暮らし方に、踏み込まれたくない人
対応業務 注文住宅、リノベーション (戸建、マンション)
所在地 神奈川県横浜市中区
主な対応エリア 茨城県 / 栃木県 / 群馬県 / 埼玉県 / 千葉県 / 東京都 / 神奈川県
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