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設計、施工、監理、プロデュース・コーディネート、インテリア、エクステリア(庭・外構)、土地・物件探しを担当
琵琶湖をのぞむ高台に建つ住宅です。
約1000万というコスト配分の中で極限まで無駄を省き、
居心地のよさを残すと、こんな家になりました。
シンプルな素の箱を目指しました。 眺めの良い丘の上の敷地に、 縦横比のほぼ等しい立方体の白い箱と、その横にダークブラウンの直方体をそっと置いたような建物です。
ダークブラウンの直方体はエントランスと、 不整形で、山側を擁壁に囲まれた敷地形状を活かした「通り抜けトンネル」になっています。 階上ではバルコニーとなって、琵琶湖への眺望が得られるように。 仕上げはガルバリウムを手曲げ加工してウロコ状に引っ掛けて貼り、 単純な形状の中に手わざの温もりがあるような、素材のもつ面白さを感じられるように意図しています。
がけ上の敷地なので道路側からは建物が見られることがありません。 その特性を活かして白い箱は前面をフルオープンにしています。 夜になると吹き抜けを持つ箱の内部構造が見えます。
通称「通り抜けトンネル」。 不整形な敷地は一方を擁壁に囲まれています。 がけ条例と、敷地の形状から建物は擁壁から少し離れて配置されているので、玄関前のこの部分には外でも中でもない空間を設定しました。 子供たちの遊び場だったり、ちょっとしたガレージワークなどに使用されています。 また、トンネル部分の採光のために四角い開口を設定していますが、これはダイニングの窓と同じ位置にあります。
建物に入ると吹き抜けの中にある階段が目に入ります。 この建物ではコストと工法や素材バランスの観点から、仕上げ材も含めてほぼすべてを構造ベニヤ材で構成しています。 階段もシナベニヤという材料を加工して作りました。 窓サッシも既製品寸法のものを組み合わせて、景色を切り取るように工夫しています。
キッチンはコスト面から市販のシステムキッチンを背の高い家族に合せて改造しています。レンジフードは階段の裏側をステンレスで加工して兼用。全体をベニヤで囲ってブース状にしています。食器棚や食品庫が背面にありますが、その扉の一枚を洗面・浴室への出入り口と兼ねています。
視線を横へ向けるとダイニング。ダイニングテーブルも構造ベニヤを加工して製作しました。
ダイニング。 通り抜けトンネルと開口寸法を合わせることで、レイヤーが重なるように外と中がつながります。擁壁を風景の一部として切り取る。
吹き抜け。天井にシーリングファンを付けました。 この家の照明器具は陶器レセップという昔からある電灯器具と布巻きコードで製作した、 超ローコストなもの。 吹き抜けを介して箱の中すべてがつながり、大小の窓から風通しや景色が楽しめます。
2階は主寝室と子供部屋、といっても壁は特にありません。 吹き抜けに面した手すりにはフックを溶接して、落下防止用のネットを張っています。 床材も構造ベニヤをウレタンコーティングしたものを貼って仕上げとしました。 ちなみに、窓枠も薄いベニヤを加工して作っています。
通り抜けトンネルの上がバルコニー。 丘の下に琵琶湖をのぞみます。防水仕上げ材は学校のプールなどで使われているもの。