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設計、施工を担当
プロのコントラバス奏者のお施主様。ピアノとコントラバスを練習するためのより優れた防音性能の部屋が欲しいと、自宅の一部をリノベーションして音楽室をつくることに。そこには、音楽を暮らしの一部として感じるための工夫が詰まっていました。
生活の中で音楽を楽しみたいという希望を叶えられる家を時間をかけて探していたお施主様。大きな楽器を車も使って運ぶため、駐車場付きの一階の物件が譲れない条件でした。加えて、コントラバスとピアノを置ける10帖以上の部屋が玄関の近くにあること。あとは子どもがいるので、なるべく奥様の実家に近い場所に、というのが物件探しの条件でした。
防音室内の明るさもこだわりのひとつ。オーケストラの奏者って、ふたりで1台の譜面台を見たり、離れた位置から楽譜を確認したりすることが多く、遠くにある細かい音符を追っていると目が悪くなることもあるようです。明るい防音室にするため、慰安的なスタジオのような閉鎖的な空間ではなく、たっぷりと陽が入る空間にしました。
いわゆる「防音室」のような閉塞感のある空間は嫌でした。ただでさえ練習嫌いなのに(笑)、窓も光も入らない部屋だともっと練習したくなくなる……。演奏者にとって「防音室」は、物書きの人にとって「書斎」のようなもの。本当は防音なんかせずに自由に演奏できるのが理想だけど、現実的には難しい。だから、その部屋に行くことで「さぁ練習するぞ!」と気持ちのスイッチを切り替えられる空間であって欲しい。
防音性能に関しては長年蓄えたノウハウに評判があって。「まさに僕のような音楽家にとってぴったりだな」と思いましたね。
防音リノベーションを施工する場合には、「ミュージション」の施工担当者とも相談しながら進めます。「ミュージション」とはリブランが提供する24時間音楽演奏が可能な防音マンションです。防音マンションの先駆けとして20年以上にわたり防音を研究してきた知見があります。
天井と壁は室内の音を吸収して音の反響を抑えてくれる吸音パネルを貼って、窓はサッシを二重構造にすることで遮音性能を高めました。ラッキーだったのは、1階だから床の防音工事を削減できたこと。それから、湿気対策として壁紙に湿気を吸収してくれる効果のある自然素材の「竹クロス」を使うことにしました。
「音漏れを防ぐことも大切ですが、防音室とはいえ、暮らしに近い存在であってほしいというのが僕の願いなんです。最初は“防音室”という表記自体も好きじゃなかった。“音を防ぐ部屋”って、なんだかマイナスなイメージだなって。それよりも生活に溶け込む“音楽室”とか“音を楽しむ部屋”であってほしい。」と、設計士からは窓付きの防音扉を提案しました。
床材は楽器の色合いに合わせたウォールナット。部屋の吸音ボードはお施主様と設計士が相談しながらセッティングしちょうど良い響き具合になるように調整した。
ライトレールの位置はピアノの譜面台にライトが当たるように調整可能。
設計担当から提案した窓付きの防音扉もお施主様のお気に入り。ガラスのスリットが入っていることで、音楽室と居住空間の間で、音は遮断しながらも視界がつながる。「練習中に息子が窓の向こうから覗いて来るのも良い」そう。
音楽室は玄関に入ってすぐの部屋に施工。ご自宅で楽器のレッスンもするため、玄関から部屋までの動線が短い方がプライベート空間をしっかり確保できる。
遮音性能を高めるため、サッシは空気層を挟んだ二重構造。音だけではなく、断熱性能も向上し、楽器の大敵となる結露も低減してくれる。