産業革命(18世紀後半から19世紀)を経て、ロンドンの街並みも変化を見せる。大英帝国はヴィクトリア朝時代にその最盛期を迎えるが、同時にその輝きを反映するかのように数々のランドマークが誕生した。そうした建物は今もこの街を形作る要素として、観光客を楽しませている。
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ロンドンは都市ではなく国家だ
ロンドンの風景を作ったヴィクトリアン様式の建物
無料で楽しめるロンドンの美術館
ロンドンは都市ではなく国家だ
大英帝国の絶頂期といわれるヴィクトリア朝時代(1837-1901)。その期間にロンドンの人口は概算で160万人から650万人へと急激に増えたというから驚きだ。その街並みも、当然のことながら大きく変わっていったことだろう。小説家であり、イギリスの首相も務めたベンジャミン・ディズレーリ(1804-1881)は次のような言葉を残している。「London; a nation, not a city」。ロンドンは都市ではなく、国家であるーー。事実、1851年には世界最初の万博がロンドンのハイドパークで行われ、大成功のうちに閉幕している。ディズレーリの言葉もあながち大げさではないほど、ロンドンの威光は、すでにあまねく世界の知るところとなっていた。
そんなヴィクトリア朝時代に作られた建物は、今もこの街に多く残されている。観光地としてもおなじみのタワーブリッジやキュー・ガーデン、さらにはテート・ギャラリーやロイヤル・オペラハウスもそうだ。そのほか主要ターミナルのパディントン駅にキングス・クロス駅なんかも挙げられる。ああ、こうして見ていくと、本当にキリがないな。
ロンドンの風景を作ったヴィクトリアン様式の建物
産業革命はこのおよそ100年前に始まっていて、おそらくそのおかげか一気に都市整備も進んだことと思われる。テムズ川をクロスする大きなトンネルが4本も掘られたり、鉄道橋に至っては8つも作られたり。そういったわけで、今回はロンドンのランドスケープを変えたヴィクトリア朝時代の建築物を少し紹介したいと思う。
まずは、なんといってもロンドンのアイコン、タワーブリッジ。両塔の幅は61メートル、高さは41メートルもあるという。120年前にこうした大きさの、ましてデザインにも丁寧な細工が施された橋を作ることができるなんて、その技術にはただただ感心させられるばかりだ。それにしてもこれほど雄壮な橋を僕は他に見たことがない。
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次に、ロイヤル・アルバートホール。収容人数が7000から8000人と中規模ながら、今も数々の有名ミュージシャンが舞台に立つロンドンきってのコンサートホールだ。毎年夏には、一ヶ月にわたり欧州最大級のクラシックの祭典「The Proms(プロムス)」が開かれることでも知られる。このイベントは本当にオススメで、ロンドンを訪れたならクラシック好きでなくてもぜひ足を運んで欲しい。当日券は並ばなければならないけれど、驚くほど格安で世界最高峰の演奏を聴くことができるから。
最後に、僕自身も休日によく訪れるナショナル・ギャラリー。トラファルガースクエアの奥に鎮座ましまし、左右対称の佇まいがとにかく目を引く(建設された当初からは随分と拡張されてはいるが)。ここは大英博物館と並んで、観光には絶対に外せないスポット。あらゆる名画、彫刻、そのほか貴重な芸術作品がコレクションされているので一日中いても飽きることはないだろう。ゴッホの『ひまわり』の前なんかはいつ行っても黒山の人だかりで、我先にとセルフィーを撮っている光景は苦笑いだ。余談だが、ロンドンの美術館や博物館は、企画展を除いて入館無料のところがほとんど。ナショナル・ギャラリーもその例外ではない。
とにかく、ロンドンのいたるところで見ることができるヴィクトリアン様式の建物。ありし日の大英帝国の面影を感じながら巡ってみるのも一興だ。