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設計、監理、インテリアを担当
この住まいは、阪神大震災を経験した築45年ほどの木造住宅のリノベーション。
敷地は、阪急今津線より少し山側に入った比較的区画がゆったりした静かな住宅街に位置し、住まい手はこの古い家をご両親より引き継ぐこととなり、耐震改修を含めた全面改修を行うこととなった。
設計に当たって、まず現地調査を行い現状の耐震性を調査し、その上で、耐震改修計画をたてた。予算的な関係から外壁側を大きく工事することはひかえ、内部側より構造用合板を貼り、耐震性を上げていくと同時に、その耐震性を伝えるための基礎が大きく割れ、また全体的に東西に傾いていたため、その補強として建物内部から新たに鉄筋コンクリートのべた基礎を施工し、既存基礎を抱き込む形で補強を行った。これによって建築基準法の耐震性能の1.3倍の強度を確保することが可能となった。また、この住まいは耐震改修基準にのっとって行い、行政の耐震改修補助金制度を利用し100万円の補助を受けることができた。
建築計画においては、育ち盛りの男のお子さんが3人とご夫婦、長期滞在するご両親(1人)といった家族構成に対して、限られたスペースの中でゆったりくつろげる空間、また子供が動き回れる空間の確保と、最小限に抑えた個室という考え方で構成されている。
建築デザインのおいては、住まい手が古いものにも愛着を感じていたこともあり、既存木製建具を内部の障子等に再利用したり、外観も現状のデザイン、形態のいい部分を生かして整理し、全体として古くて新しい感じ、変に新しくなりすぎない感じ、逆に古いものに媚びることのないフレッシュな空間というものを意識して、全体のデザインを決定した。
既存の外部形状はほとんど変えず、外構廻りや外壁の色、格子などで整えることに注力した。漆喰塗のように見える外壁は断熱塗料を塗装している。
既存部分の天井を撤去し、屋根面までの大きな空間を確保した。柱を抜いた部分は大きな梁を入れて、屋根を支え返している。天井仕上げは、杉板のラフ仕上げをあえて施工し、少しざっくりとした印象となるさわやかな空間を目指しています。
リビング的なスペースは広く使うために、ソファーなどは置かず、縁なし畳を置いて自由に使えるようにした。また、お子さんに個室が必要となった時には、ご夫婦の寝室として活用することも考慮している。
キッチンと横つなぎで連続するダイニング。既存の丸太の梁は白く塗装して、ビンテージ感のあるフレッシュな印象の空間をイメージしています。
既存の外部用の雰囲気のある木製建具を再利用。ガラスを外し和紙を貼って障子戸として、その外側に、気密、断熱性向上のためにアルミのサッシを取付ています。優しい光が差し込み居心地がいい。