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設計、監理、エクステリア(庭・外構)を担当
30代夫婦と子どもふたりの4人家族が住む、築90年超の古民家フル・リノベーション。敷地は密集住宅街の旗竿地。
子どもさんに日本で教育を受けさせたいと、海外から移住して来られました。旗竿地で多少問題があったのですが、この町家に一目惚れし、勢いで購入されました。安心して住めるように耐震性能の確保、そして外観は伝統的な町家らしく、内部は現代の明るく快適な住まいにしてほしいとお望みでした。
隣家にびっしり囲まれた旗竿地ゆえ特に1階への自然採光を工夫しました。採光用の小さな吹き抜けを設け、上下階で家族の気配も感じられる住まいになりました。意匠設計者として耐震改修、間取り、意匠、コストを同時に考えながら検討を重ねました。その結果のデザインを気に入っていただけたのは何よりでした。
やわらかい自然光と庭の眺めが入る1階LDKはオープンプランながら、透明ポリカの可動間仕切りを備えており、TV部屋 、LDK、畳みスペースの3部屋に仕切ることが可能です。そのため家族全員で過ごしやすく、来客の滞在にも対応しています。また、キッチンと一体の小さな軽食カウンターは家事の軽減に有効で、団欒の場として重宝されているようです。室内窓を通して、トイレ、洗濯室、廊下、はたまたウォークイン・クローゼット等、ほぼ全ての部屋に自然光を入れています。空の眺めと自然光の入る中廊下は、特にご主人のお気に入り空間になりました。
ご相談を受けた時点ではお施主さんは海外に住まれていたので、来日時に設計打ち合わせをし、その後はEメイルでやりとりしながら進めました。間取り図とパースをお送りして承認をとり、詳細の実施設計に入りました。その後の来日時の打ち合わせで工事契約。Eメイル中心のやり取りも、お施主さんがじっくり考え、家族間の意見を調整してから返信できる利点があり、良好なコミュニケーションができたと思います。
設計半ばでお施主さんが「実はダウンライトなど光源の眩しさが目に入る照明は苦手」と言われ、そのご感覚に対応すべく間接照明をデザインしましたが、実際に現場で気に入って頂けた時は特にホッとしたのを覚えています。
高窓から空の眺めと光を各部屋にもたらしています。そのほかの窓は木製格子に覆われ、近隣からの視線をさえぎりつつ光や風を取り込んでいます。
北空の柔らかい光に溢れた天井の高い空間。2階に来るたび、この高窓ごしに空が見えます。ご主人のお気に入り空間になりました。正面の窓は木格子で覆い、プライヴァシーに配慮。突き当たり手すりの奥は床が吹き抜けており1階LDKに自然光をもたらしています。
階段側を向いた眺め。節やこぶのある丸太の曲がり梁が壁を突き抜けて横切っています。壁上部の張り出しに耐震補強の部材を納めています。
階段を登る度に天窓のそらが目に入ります。天窓のすぐ下の室内窓を通して、トイレやウォークイン・クロゼットにも自然光が入るようにしています。
無垢の木製手すり。ヤマダ・アーキテクチュアのプロジェクトでは、手すりは5ミリ面取りを施した無垢の国産木材を標準とし、冷たくない手触り感を大切にしています。手すり下面は彫り込まれLEDテープ照明が納まっています。手すり受けも無垢材で製作。
キッチンから1階の空間が庭も含めて見渡せます。小さなお子さんなど家族の様子も見ながら炊事ができます。奥の洗濯・洗面室は天窓からの自然光にあふれた明るい空間。そこから欄間とガラス引き戸を介してキッチンにも自然光が入ります。
オープンプランなのでどこからでも奥の坪庭が見えます。左手の本棚の上部は吹き抜けており、上階の「カテドラル廊下」からの自然光が降り注いでいます。右手の軽食カウンターはキッチン・カウンターと同じ高さ。小さくとも使い勝手が良く、食事をここで済ませることが多いそうです。
造作収納の高さに変化を持たせて、視線の抜けをつくり、圧迫感がないように空間を仕切りつつ、家族4人に対応した収納量を確保しています。この玄関からも坪庭が見えます。正面の縦格子を通して階段うえの天窓からの自然光を採り入れています。
既存の構造に加え、耐震補強の部材も飛び交う小さな部屋。狭さを和らげるよう、ロフトの右奥に室内窓を設け、視線の抜けと「カテドラル廊下」からの自然光により、開放感を出しています。左手にすこし見えている造り付けオープン・クローゼットは、棚・ハンガー竿ともに可動式とし、多様・柔軟な収納が可能です。右手の淡いピンクの壁紙はクライアントの娘さんお気に入りの色。国内メーカーでは見つからず、ほうぼう探してフランス製のものに行き当たりました。
旗竿地ですので、この細い路地空間を通って玄関に至ります。建仁寺垣に倣った透かし竹垣に挟まれています。真黒石の玉砂利に据えたミカゲの飛び石が玄関へと導きます。日没後はLEDテープの間接照明が足元を照らします。隣地境界ギリギリの竹垣ゆえ、詳細デザインでは特注ステンレス柱脚金物も含め、堅牢性、耐久・保守性に念を入れました。
壁一面のオープン・クローゼットを設けています。可動式の棚とハンガー竿を備えています。棚板の一辺は返し板付き。傾けて取り付けることも可能で、本や衣類などを見やすく収納できます。子供さんの成長に応じ変化する多様な収納ニーズに配慮しています。ウレタンクリア塗装を施したシナ・ランバーコアで製作。
換気・断熱はもちろん、自然採光、室内窓、壁の色により狭さを感じさせない、居心地の良いデザインを心がけました。
キッチンと一続きの洗濯・洗面室。奥には浴室とトイレのドアが見えます。天窓からの自然光が溢れる明るい空間。左手にはアイロンなどの作業用カウンター。その奥にリネン、衣類、脱衣カゴなどの収納用オープン・クローゼット。
奥のガラス引き戸を介しキッチンとつながっています。お施主さんの強っての希望で、敢えて透明平板の強化ガラスにしています。右手のドアの奥はLDKたたみスペース。欄間が自然光を透過し、空間に開放感をもたらしています。