2020/01/29更新2like7915view

著者:岩間光佐子

トイレの床材はどう選ぶ?種類とプランニングの注意点

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

トイレの床材を選ぶときは、インテリア性だけでなく、汚れにくく掃除しやすい素材を選ぶことが大切です。ここでは、新築やリフォームの際に知っておきたい、主な床材の種類と特徴、選ぶ際の注意点をまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

トイレの床材に求められる性能は?

新築やリフォームで床材を選ぶ場合は、空間に合わせた性能・デザインを持つ素材での検討をお勧めします。特に水まわりにおいては、場所や使用方法に適した素材を選ぶことが必要です。

トイレの床材に求める性能としてまず挙げられるのは、清潔さを保てる素材であること。
清潔さを保つためには、掃除がしやすく、お手入れが楽なものが良いでしょう。

耐水性はもちろんですが、アンモニアに強いことも重要。洗剤などを使用するので耐薬品性にも配慮が必要です。素材そのものに抗菌効果のあるものなども出ていますが、具体的な性能は商品ごとに異なるので、必ず事前に確認してください。
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選び方&プランニングの注意点

さまざまな特徴を持つ素材が揃っている床材、何を基準に選べば良いのでしょうか。
トイレ空間における床材選びのポイントをみていきましょう。

■ポイント1 家族構成に合わせた機能
床材を選ぶ際は、家族構成に合わせて必要な機能の優先順位を明確にしておきましょう。
たとえば、家族に幼いお子さんや高齢の方がいるなら耐水性や防汚性を、お客様も多く使われるならインテリア性を重視するなど、現状だけでなく将来の変化を見据えての検討が大切です。

■ポイント2 間取りプラン、廊下などとのつながりに配慮
トイレと廊下がつながる間取りは一般的によく見られるものですし、洗面室と合わせてひとつの空間にプランニングされるケースもあるでしょう。いずれの場合であっても、隣接する空間とのつながりに配慮しましょう。同じ素材や色味を用いれば空間の広がりを感じられますし、全く異なる素材を用いれば空間にメリハリが生まれます。

■ポイント3 壁材や建具、カウンター収納などとのコーディネートを
最近のトイレプラン傾向のひとつとして、「心地よい快適な空間づくり」が挙げられます。トイレ機器のデザイン性も高まり、手洗い器や収納ユニットなども充実しています。床材を選ぶ際は、壁材や建具などはもちろん、トイレ機器やユニットなどとのコーディネートもポイントです。

■ポイント4 見本やショールームで確認
限られた空間であるトイレは、床材によって大きくイメージが変わるものです。素材の性能や風合いはメーカー・商品によっても異なりますので、具体的な機能、効果、素材感、デザインなどは、カタログだけでなくショールームで実際に確認することが大切です。

トイレの主な床材の種類と特徴

一般的なトイレ空間に用いる床材には、フローリング、クッションフロア、Pタイル(プラスチックタイル)、タイル、コルクタイルなどがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、同じ素材でも商品によって特徴が異なる場合もあるので、施工方法も含め担当者に相談しましょう。

■フローリング 
最近では、トイレに隣接する廊下などとのつながりを意識して、トイレの床材に木質フローリングを選ぶケースが多くみられます。木質フローリングには無垢材と複合(複層)フローリングがあります。

・無垢材
水などが染み込みやすくこまめなお手入れを行う必要があります。しかし、素風合いや足触りの良さは大きな魅力です。

・複合(複層)フローリング
基材(合板)の表面に化粧材を張り合わせたもの。用いる化粧材によって、樹脂化粧シートなどを張ったタイプと薄く削った天然木の単板(突き板)を用いるタイプに分類されます。

メリットはいずれも素材や色、価格など商品バリエーションが豊富なこと。特にサニタリーに適する複合フローリングには、塗装(コーティング)等の加工によって耐水性や汚れ防止、耐傷性などが高められたものや、尿に強い耐アンモニア性、洗剤や漂白剤などに耐えられる耐薬品性を持ったものなども出ています。

 <化粧シートタイプ(シートフローリング・シートフロア)>
樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの(プリントシート、樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなど)を基材に張り合わせたタイプ。シートを重ねたり、表面加工を施すなどして、本来の素材に近い雰囲気を持つものも多くみられます。最近では、大理石などの石目調のものや抽象柄などを取り入れたものなども多くみられます。

 <突き板(単板)タイプ>
天然木を薄く削り基材に張り合わせたもの。商品によっては無垢材のフローリングと区別がつかないようなものもあります。
■クッションフロア  
塩化ビニールを用いた長尺(ロールシート状)の床材で、CF(シート)と呼ばれることもあります。耐水性に優れ、汚れが付きにくく落としやすいので、水まわりに多く用いられる素材です。適度な弾力性もあり、足腰が疲れにくいのがメリット。手ごろな価格から揃い、狭い空間でも施工が比較的簡単ですので、リフォーム時はもちろんDIYで張り替えることも可能でしょう。

高級感のある商品も増え、色や柄などのバリエーションも豊富。防汚加工を施したもの、カビの発生や繁殖を防ぐ加工を施したもの、細菌の増殖を抑える抗菌や消臭機能を持つものなどもみられます。

最近ではべたつき感をおさえたタイプも出ていますが、表面材がビニールなので足触りについては好みが分かれるところ。ショールームや見本を取り寄せるなどして、実際の素材感を確認しましょう。

■Pタイル(プラスチックタイル)  
塩化ビニル樹脂などを用いて、タイル状に加工した床材。色や柄のバリエーションも豊富なのが特徴で、比較的堅く、耐久性や耐磨耗性、耐薬品性に優れています。

■タイル  
色やデザインなども豊富に揃うお馴染みの素材。耐久性、耐水性が高く、拭くだけで簡単に掃除ができるのも魅力でしょう。目地の汚れや足触りの冷たさや堅さ、滑りやすさなどには注意が必要ですが、大型のタイルを用いて目地を少なくしたり、色目地を用いるなどして、汚れを防ぐことも可能です。

また、アンモニア臭やカビ臭の原因となる雑菌を分解する機能によって、トイレの臭いを抑えてくれるトイレ専用大型セラミックタイルなどもあります。フローリングなどと組み合わせ、汚れやすい部分だけにタイルを用いるプランなどもいいでしょう。

■コルク  
コルク樫の樹皮を原料とした圧縮成形した木質系の床材です。コルクを粒状にし焼き固めたもので、タイル状のもの(コルクタイル)だけでなく、コルクフローリングにした商品もみられます。堅牢で耐久性に優れ、断熱性も高いのが特徴で、表面の仕上げや加工を施し、水や汚れに強いタイプもあります。適度な弾力性があるため足腰への負担が少なく、万一転倒しても衝撃が緩和されるところも魅力的です。

住まい全体でトータルに検討を

トイレに限らず、床材を選ぶ際はひとつの空間だけを見るのではなく、床としてのつながりや費用面など、住まい全体でトータルに検討すること、そしてそのうえで必要な性能の優先順位を明確にして選ぶことが大切です。

例えば戸建ての場合はトイレが2カ所にあるプランも多くみられますが、それぞれの使い方を考えてみましょう。

家族だけが使うのか、お客様も使用するのかによって優先順位は変わってくるでしょう。細かいことではありますが、トイレマットを敷くか敷かないか、スリッパは使うかなど、生活習慣や好みも床選びには影響します。

日々の暮らしをイメージして、よりよい素材を見つけてくださいね。

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