ディテールまでこだわったデザインや、長く心地よく暮らせる安心感は、高い施工力があって初めて得られるものです。設計の意匠(デザイン)や計算をもとに、実際に家を形づくっていく工事の工程である「施工」。
安心して施工を任せられる専門家選びの大切さを知るため、SUVACO編集部は施工に定評のある専門家5社を取材し、各社のこだわりや取り組みをお届けしてきました。
わたしたちSUVACO編集部にとっても大きな気づきとなった今回の取材。施工力に定評がある専門家の共通点や、良い現場の特徴について振り返ってみたいと思います。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
お客様を思うからこそ、施工力にこだわる
職人さんとの関係性を大切に育み、お互いに高め合う
良い現場を見抜くコツは?
現場は積極的に見にいこう!
お客様を思うからこそ、施工力にこだわる
今回の「
施工の大切さを知ろう 」シリーズ取材で、5社すべてに感じたことの1つは、「お客様1人1人のことを考え、一緒に家をつくっていく」という思いです。
施工力の高さによって実現できることは、大きく2方向があります。
1つは、お客様が専門家と一緒に考え描いたデザインや間取りのこだわりを、住みやすさと共に実現すること。美しい仕上がりと使い勝手の良さを兼ね備えた家にするために、現場でも細かい納まりにまで気を配り、丁寧に形づくっていきます。
人気の高い自然素材も、人工の素材とは異なり、1つ1つが個性を持つ素材であるため、施工力の高い専門家でないと扱いづらいものです。そのため、自然素材の経年変化などを短所として挙げて扱わない専門家もいる一方で、施工力の高い会社はその良さや個性を活かし、経年変化さえも見極めます。きめ細かな調整と熟練の技によって、自然素材ならではの長所をたのしめる家を仕上げていくのです。
そして、施工力が持つもう1つの大切な役割は、「安心して長く心地よく住める家」を実現すること。今回取材した施工に定評のある専門家のうち、一戸建てを手掛ける会社はすべて、設計段階での「構造計算」の大切さを挙げていました。
マンションの場合は、建物全体で強度や耐震・免震が考えられていますが、一戸建ては施主と専門家がそれぞれの家の安全性に配慮しなくてはなりません。デザインだけではなく、地震などにおびえず安心して暮らせるよう耐震性や耐久性に配慮し、2階建て以上の場合は特に、建物にかかる力で構造が変形しないよう設計段階で計算する「構造計算」が必要になるのです。
構造計算は、専門的な技能が必要となるため、施工力に定評のある専門家は自社内もしくはパートナーに、高度な知識を持つ専門家を抱えています。きちんと計算された設計図を基に、現場でも余計な負荷がかからないよう確認しながら工事を進め、担当者以外のチェックも経て、しっかりとした家の構造をつくりあげていきます。
その自信があるからこそでしょう。アフターメンテナンスや保証について、各社手厚く取り組んでいることも、施工力の高い専門家に共通している特徴です。暮らしていく上で、ずっと安心できる心地良い家であり続けられるようサポートをしてもらえます。
職人さんとの関係性を大切に育み、お互いに高め合う
施工に強い専門家は、現場が始まってから施主が考え直された変更にもなるべく柔軟に応え、工事のタイミングと相談しながら速やかにより良い提案ができるように努めています。施主とのコミュニケーションはもちろんのこと、社内の営業、設計、施工の各担当者間でも密に連携を図っているのが印象的でした。
また、各社すべてに感じたのは、職人さんやパートナーとのコミュニケーションや信頼関係をとても大切にしていること。
高度な技術を持つ職人さんと長く良いお付き合いを続けることは、施工力を高めるためにとても重要です。各社ともに職人さんをリスペクトし、個人的な雑談も気軽に交わせる良い人間関係を築いていました。最新の情報を交換し合うなど、専門家さんと職人さんがお互いを高め合っている環境が、より洗練された匠の技につながっているのだと感じます。
また、施工力の高い各社の現場で監督として立つ方々が、皆さんとても優しく、知識が豊富で、お話をしやすい方だったのも印象に残りました。多くの職人さんに慕われ、最高の技術力を引き出す現場の雰囲気づくりにも貢献している……そんなすてきな皆様でした。
良い現場を見抜くコツは?
工事のようすを見慣れていない私たちにとって、わかりづらい「良い現場の雰囲気」とは、どのようなものなのでしょうか。
取材した各社に伺ってみましたが、やはり皆さん「私たち専門家は、足を踏み入れた途端に分かるのですが、一般のユーザーさんで違いが分かるかどうか……」と答えに迷っていらっしゃいました。
その中で、私たち編集部が「これならヒントになりそうかも!?」と思ったポイントを2つご紹介します。
【1. 現場がきれいに整理整頓されている】
皆様が、異口同音に話されていたのがこの点。施工の工程によっては、ごみなどが出るタイミングもありますが、そのような時も辺り一面に散らかすのではなく、適宜まとめておくなどの工夫がみられるそうです。
「職人さんがその仕事や現場に誇りをもって作業をしている現場は、ほとんどの場合、きれいに整えられています。その方が作業効率もよいですし、実際に腕が良い職人さんは現場も道具も丁寧に、きれいに扱います」という言葉には、納得感がありました。
また、マンションの共有部分や、既にできあがった部分が傷ついたり汚れたりしないよう保護する「養生」についても、良い現場では丁寧にきれいに仕上げるとのこと。実際に取材した会社さんに見せていただいた養生の写真は、本当にきれいかつ丁寧に保護され、私たち編集部スタッフが見ても惚れ惚れするものでした。お客様宅が特定できてしまうため、お見せできないのが残念です。
【2. 別々の作業をしている職人さん同士がコミュニケーションをとっていること】
例えば大工さんと電気工事の方など、違う作業をする方々が、休憩時間や作業中に仕事の話や雑談などを交わして、和やかにコミュニケーションをとっている現場。「それぞれが自分の作業の前工程、後工程も考えて進めてくれる関係性ができているな」と、営業担当の方は安心されるそうです。職人さんがお互いに尊重しあっている雰囲気が感じられる、ということですね。
それは「現場のみんなが同じ方向を向いて仕事をする、向かっている方向性を共有している、ということも大切」という現場監督さんの声とも共通する要素がありますよね。
こちらに挙げた2つのポイント。タイミングや状況によって分かりづらいときもあるかもしれませんが、現場を訪れる際にこのような視点も交えて見てみると、現場監督や職人さんたちの配慮が見えてくるかもしれません。
現場は積極的に見にいこう!
自分の家ができていく現場……。興味津々だし、何度も見に行きたいですよね?
「でも、あまり行くと現場の邪魔になるのでは」という懸念を、取材した各社にぶつけてみました。
その答えは「全く心配ご無用!」。どの会社さんも口を揃えて「ぜひ、積極的に見に来てほしい」と即答されました。現場に人がいないタイミングや、少し足場が悪い状況などもあるので、見に行く前に一報を入れる必要はありますが、たびたび現場を見に行くことは歓迎してもらえます。
なぜなら施工力に自信がある会社さんは、見られて困るところはないから。
そして実際に家ができていく過程で「やはりこうすればよかった!」というお客様からの変更希望についても、早いタイミングであるほどフレキシブルに対応できる可能性が拡がるため、ぜひ何度も足を運んでいただけると良いとのことです。
また、自然素材の珪藻土を塗るタイミングには、ぜひ立ち会うことがおすすめだそうです。珪藻土の塗り方はいろいろなパターンが選べるため、事前にカタログなども見てイメージは固められますが、現場に立ち会うことで、ライン(模様を形づくる線)をもっと深く、または浅くした方がよいなどのリクエストを反映していただくことができます。
ただし、ラフで粗めの塗り方にするか、なめらかでつるっとした質感かの方向性は事前に決めておくこと。ラフな感じの塗り方の方が、必要となる珪藻土の量が多くなるため、その方向性についてはイメージを決めておかないと、現場で珪藻土の量が足りなくなる可能性があるからです。
そこさえ決めておけば、現場で細かいニュアンスを相談しながら塗っていただくことができます。お部屋の雰囲気を予想しながら目の前でパターンを塗ってもらえる時間。とてもわくわくするひと時になりそうですね。
今回取材した専門家さん全てを通じて感じたことは、「お客様が長く心地よく暮らせること。そして、とても満足できるおうちになるように、家づくりが楽しい思い出として残るように、力を尽くしたい」という気持ちでした。
そして、その思いを実現するためには、高い施工力が必須であることも、改めて実感しました。
家づくりの専門家を選ぶときには、ぜひ大切な要素の1つとして、その施工力にも注目してみてください。
取材にご協力いただきました、
インテリックス空間設計、
岡庭建設、
参創ハウテック、
LOHAS studio、
One’s Life ホーム (名称50音順)の皆様、どうもありがとうございました!