「自社施工を貫き、現場力と創造性で勝負する」住工房・代表　野々山善雄さん

家づくりのプロに聞きたい「10のこと」シリーズ。

今回は、住工房代表・野々山善雄さんの「10のこと」。
「リノベーションは手間がかかるから面白い」と語る、野々山社長率いる「住工房」。

「お客さまと接する全てのスタッフが、最高のサービスを提供できるチーム」として一層の結束力を高め、2020年11月に新社屋兼ショールーム（愛知県・東郷町）をオープンされました。

スタッフを信頼し、お客さまに信頼される関係づくりを徹底する野々山社長の思いとは？長年の現場経験の中で生み出された、より良い家づくりにかける野々山社長の強い志に出会えました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

Q1. 日常でふと感じる職業病（こだわりや癖）は？

Q2. 家づくりに関する知識で負けないこと、得意分野は？

Q3. 休日の過ごし方は？

Q4. 好きなインテリア家具は？

Q5. 好きな作家は？

Q6. 長年の愛用品は？

Q7. 家づくりのアドバイスは？

Q8. お気に入りの住宅事例は？

Q9. 素敵な出会い・忘れられないお客さまとの思い出は？

Q10. 最後に、「うちの家づくりのココがすごい！」と思うところは？

はじめは、全国に展開するリフォーム会社に就職をされた野々山さん。当時の住宅は、安売り合戦のようにスピーディーで手軽さが求められた時代。自分自身が本当にやりたいことを改めて見つめ直し、住まい手が心から楽しめる住宅を提供したいという思いを抱かれました。

「高校2年の時、初めて自分の部屋をもらったんです。それがすごくうれしくて、もっと自分らしい部屋にアレンジしたいと思ったんですね。DIYで好きな色に塗装をしたり、インテリアを考えたり...友人や親戚を招いたら、すごく褒めてもらったんですよ（笑）

当時は、それを自分の仕事にしよう！とまでは考えませんでしたが、今思えば、あの時の喜びがこの仕事の根本にあったのかも知れません。

また、仕事をする上で“本当の強いチームをつくりたい、プロ集団をつくりたい”と思っていました。業界の浮き沈みに影響されない、どんな状況にも生き残れるような仲間をつくりたい。それが、今の住工房としての成り立ちです」

住工房株式会社　代表取締役：野々山善雄さん

Q1. 日常でふと感じる職業病（こだわりや癖）は？

石材や木材といった自然素材を見るとワクワクします。ふと気づくと何ができるか？何に使えるか？を考えていることがあります。

解体現場に立ち会うと、廃棄物を持ち帰り再利用したりします。
床材のコースターや、敷居板を台座したハンガー、昭和初期の梁を使用して陶芸教室のテーブルとして活用しています。

ショールームにあるピンボールは、ガスコンロのバナーやドアノブ、給湯器の排水管、床の端材を利用してつくりました。

ショールームに置いている端材でつくったピンボール。お子さんにも大人気です（撮影：住工房）

Q2. 家づくりに関する知識で負けないこと、得意分野は？

お客さまと他愛のない会話を楽しむことが好きです。
その場の空気感を大切にしつつ、自分の感想はハッキリと伝えようと思っています。
「良いこと・悪いこと」をしっかり正直にお伝えします。

また、家はこだわりを突き詰めると高価になると思われがちですが、お客さまそれぞれの予算と優先順位に寄り添う家づくりが大切と考えています。

Q3. 休日の過ごし方は？

時間がある時に、ホームシアターで映画を見るのが好きです。ホームシアターは、お客さまにたびたびご提案もさせていただいています。

映画選びのポイントは、アクション系の「スカっ！」とするもの（笑）
昔は、フランス映画とかも好きでしたが、最近はあまり細かいことを考えずに、楽に見られる作品を好んでいますね。

Q4. 好きなインテリア家具は？

ショールームで使用している設備やインテリアは全て好きなものです。

その中でも特に、『宮崎椅子製作所』さんのチェアは末永く使っていきたいアイテムの一つです。

とにかく、良い椅子を求めていろいろ探していました。デザイン的には素晴らしい家具ブランドがたくさんある中で、宮崎椅子さんの「HATA」という椅子に目が留まりました。販売店ではなく、工房のある徳島まで直接足を運んで、実際に座った時、座り心地と木の部分の感触が絶妙に素晴らしかった...。

ぜひ、扱わせて欲しいと熱望しました（笑）。何度も何度もお願いして、ようやくお取り扱いをさせていただけることになりました。

ショールームでは、宮崎椅子製作所の「HATA」のほか、こだわりの家具や造作キッチンを楽しめる（撮影：住工房）

Q5. 好きな作家は？

好きな小説は、
放送作家・小説家「百田尚樹」の『海賊と呼ばれた男』
ミステリー小説家の「東野圭吾」の『白夜行』

日本人には、もっとゆとりが必要と思っています。住宅に限らず、自分自身の周りを見つめ直す時間が大切ですね。

Q6. 長年の愛用品は？

“ブライトリング（BREITLING）“の腕時計です。

魅力は、なんと言っても飽きのこないデザイン。新しいシリーズが出ても、大きくデザインが変わることがなくシンプルなところがいいですね。

私自身のモノ選びの基準は、
・飽きのこないシンプルなもの
・素材感を楽しめること
・こだわりと手間のかかったストーリーに共感できること

自分で足を運ぶことを惜しまず、実際に見て・触って納得したモノを選び抜いています。

これは、住まいやインテリアについても同じです。見た目だけでなく、無駄な装飾を削ぎ落とした、飽きのこないモノこそ長く愛用できるものだと感じます。

通っているブティックで見つけたお気に入りの時計は、かれこれ20年間変わらない愛用品（撮影：住工房）

Q7. 家づくりのアドバイスは？

もともと日本は、しっかりとした木材を使って、老朽化を部分的に直しながら、長く住まうという考え方でした。
しかし戦後、「スクラップアンドビルド」の流れで住宅がつくられる時代になり、完成させることが目的になってしまったんですね。

家は、住まい手がしっかりとメンテナンスをできることが大切だと思います。
残念ながら今の日本の住宅の多くは、メンテナンスをしながら長く住むという意識がなかなか浸透していません。家が建ったら「ずっとそのまま住む」ケースがまだまだ多いですね。

住工房では、合板ではなく無垢材を取り入れて、経年変化を味わいとして楽しむことや、そこで長く暮らすための知識と素材選びについてしっかりとお伝えしたいと思っています。

Q8. お気に入りの住宅事例は？

すべての現場に思い入れがありますが、特に「和モダンの実家リノベーション～愛車を眺めて寛ぐ至福のガレージハウス～」です。
いくつもの施工会社を渡り歩いた末、弊社にお越しいただいた経緯もあり、ご要望もなかなかの難題でした。その分、完成時は本当に感動しました。

木造平屋のリノベーションで、限られた小スペースに「リビングから眺められるインナーガレージを」というご要望でした。建物が建っていながらの基礎工事や補強工事はとても難儀でした。

住工房

和モダンの実家リノベーション～愛車を眺めて寛ぐ至福のガレージハウス～-リビングから愛車が眺められるガレージハウス

和モダンの実家リノベーション～愛車を眺めて寛ぐ至福のガレージハウス～-キッチン前にあるこだわりの畳ベンチ

和モダンの実家リノベーション～愛車を眺めて寛ぐ至福のガレージハウス～-広々としたキッチン

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Q9. 素敵な出会い・忘れられないお客さまとの思い出は？

弊社の家づくりは、お客さまとじっくりつくり上げていきますので、すべてが忘れられない思い出です。

お客さまと私たちが共にワクワクする感覚が醍醐味です。
やり取りの中で、潜在化されたニーズを引き出し、それを解決できた時。お客さまが、無理だろうと諦めかけていたことをどう解決するか、これがやりがいにつながるんですね。

どんな仕事においても、簡単なことは飽きてしまいます。リノベーションは難しく手間がかかるからこそ、楽しさがあるんだと思います。

Q10. 最後に、「うちの家づくりのココがすごい！」と思うところは？

弊社は設計事務所でもあり『自社職人がいる施工会社』でもあります。現状、多くの会社が施工を外注して住宅をつくることが主流なので、これが他にはない強みともいえます。
住工房にとっては、自社職人はなくてはならない存在です。

特に、リフォーム・リノベーションはとても手間がかかるので、社内の職人がしっかりと連携を取ることが大切と思っています。実際に、家づくりでお客さまが一番長く接するのは現場の職人なんですね。だからこそ、しっかり社内間で連携プレーを取れる体制を整えることで、住工房ならではの創造性を輝かせたいと思っています。

25年この業界でいろいろな場面に遭遇してきて、やっぱりこれが大切だと思うのです。

2020年11月から、私自身が生まれ育った、愛知県・東郷町に新しいオフィスを新設しました。田舎だからこその、のどかで環境の良い場所で暮らすことの素晴らしさをご提案できればと思っています。

新しい社屋では、木工ができる工房を併設し、さらにモノづくりを強化していきたいと考えています。