2017/05/03更新0like9135view

著者:水沼 均

すりガラスはシャープでカッコ良くて、レトロな味わいも。住まいにぜひ使ってみよう

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

すりガラスは便利で美しい半透明ガラス素材です。昔懐かしいレトロ感も手伝って、近年では用いられるケースが増えてきました。プライバシーを保ちたいときや光を拡散して一面に明るく取り入れたいときなど、すりガラスはさまざまな場面で効果的に活用することができます。ここではすりガラスを魅力的に用いた住まいの例をご紹介いたしましょう。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

すりガラスってどんなもの?型ガラスとは違うの?

すりガラスは、透明ガラスの表面に砂やサンドペーパーなどで細かい傷をつけて、一様に半透明にしたガラス製品です。よく似たものに型ガラスがありますが、型ガラスはガラス表面に模様をつけることで半透明化しています。ガラス窓としての効果は両者ともほとんど同じですが、そばで見ると模様の有無がはっきりとわかり、好みが分かれるところです。

下の写真はすりガラスの例です。片面だけ半透明化したもので、手前側には光沢があります。表面に模様はなく、一様で均質な素材感があります。
飯沼 竹一「宮崎町の家(リノベーション)」
また下の写真は型ガラスの例です。ガラス面をよく見ると、波状の模様がついていることがわかります。

窓をすりガラスにして、光そのものを見て楽しもう

すりガラスで窓を作ると、景色は見えずに光だけが屋内に入ってきます。そしてガラス面が一様に柔らかく光って、部屋の奥まで均質な光をもたらしてくれます。このガラス面を見ていると、光そのものが目に見えるような楽しさを実感することができます。

透明ガラスの窓では景色は見えますが、光そのものが見えるという実感はなかなか持てません。この違いがすりガラスの最大の魅力だと言えます。

下の写真はすべての窓をすりガラスにしたLDKです。景色は一切見えませんが、光に囲まれて暮らしているような、なんとも言えない楽しい非日常を感じ取ることができます。
また下の例は洗面室の窓にすりガラスを用いたものです。住まいのコーナー部分という恵まれた位置にある洗面室に、可能な限りの大きな窓をすりガラスで設けています。真っ白に統一されたインテリアと光とがシンクロして、非日常的な浮遊感をこの小さな部屋にもたらしています。
アトリエハコ 七島幸之+佐野友美「トールハウス・フルハウス」

モダンでシャープなイメージ満載のすりガラス

すりガラスは模様がついていない「無地」な素材のため、モダンでシャープなデザインによく似合います。下の写真は階段室に光をもたらすすりガラスの引き戸ですが、模様がなく、枠も最低限の細さのため、建具というよりは光る面が存在しているように見えます。カッコいいデザインの好きな方は、きっとすりガラスを気に入ると思いますよ!
カキザワホームズ「はねだし階段のある家」
また下の2枚の写真はマンション・リノベーションにすりガラスを用いた例です。マンションのリフォームやリノベーションでは、間取り上どうしても窓のない中廊下ができてしまいがちですが、この例ではなんと間仕切り壁をすりガラスで作るという大胆な手法で、廊下を大変個性的で魅力あるスペースに変身させています。

下の写真は寝室から中廊下側を見たところです。ガラス面の光沢が光を反射して、室内の明るさをいっそう際立たせています。
そして下の写真が中廊下を見たところです。壁一面が美しい乳白色に光って、中廊下特有の閉塞感がぜんぜん感じられません。むしろ何度も通りたくなってしまいますよね。

すりガラスで昭和レトロの楽しさを演出する

すりガラスはモダンでシャープな素材ですが、同時にまた昭和のころさかんに住宅に用いられた、昔懐かしいレトロな素材でもあります。

そしてレトロ感はどちらかというと、上で紹介したような大開口部や壁材として用いるよりも、壁や造作、建具などの一部にすりガラスを少しだけ用いたときにもっともよく現れる気がします。

下の写真はリビングのコーナーを柔らかく仕切る衝立にすりガラスを用いた例です。すりガラスの面積は小さいですが、レトロ感がグッと増しているのがわかります。
下の写真の引き戸もレトロ感満載で、とてもすてきですね。透明ガラスとすりガラスが市松模様で組み合わされています。透明ガラスの部分は光が反射しているので、違いがわかります。夜に灯りをつけたらどんな風に見えるのかも、とても興味津々ですね。
清水 宏「『内田の家』〜住むほどに味わいが増す、心地よい住まい〜」

すりガラスの注意点

すりガラスには注意点もいくつかあります。まず、すりガラスは透明ガラスよりもコストがかかります。サイズや細かい種類にもよりますが、単価はおおむね2倍から2.5倍程度違います。

また、すりガラスには触った跡がつきやすいという短所があります。手で触れると跡がついてなかなか落ちないんですね。しかし表面に化学処理を施したフロスト・ガラスという製品もあり、こちらを使えば跡の問題は解決です。

それから、すりガラスは水に濡れると一気に透けて、向こう側がかなりよく見えるようになります。したがって、例えば浴室と脱衣室の間にすりガラスを設ける場合などには注意を要します。
すりガラスは、建築家にとってはシャープでモダンな良い素材です。が一般にはむしろレトロ感が歓迎されて再び普及しはじめているとも言えます。時代性をとてもよく反映した、興味深い素材ですね。

一般に「すりガラス」という言葉は、型ガラスも含んだ半透明ガラスの総称として用いられることが多いですが、ガラス選びの際にはぜひ「サンドブラストも見たい」と設計者に伝えてください。サンドブラストと言えば間違いなく、狭義のすりガラスを指す言葉です。

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