最近、住宅街で金属の外壁を持つ建物をよく見かけませんか?クールでスタイリッシュな印象の、いかにも建築家が創作欲を注ぎ込んだデザイナーズハウスといった佇まい。それはきっと、ガルバリウムを使った住まいです。
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ガルバリウムは強くて長持ちする金属素材
ガルバリウムはなぜ人気なのか
屋根材としてのガルバリウムの良いところ
外壁材としてのガルバリウムの良いところ
そんなガルバリウムにもデメリットはある
ガルバリウムは強くて長持ちする金属素材
ガルバリウムはアルミニウム55%、亜鉛43.3%、珪素(シリコン)1.6%という質量比のアルミ亜鉛メッキ鋼板です。
1972年にアメリカの製鋼会社が開発した素材で、アルミニウムがメッキ層に強固な皮膜を形成するため腐食に強く、亜鉛の犠牲防食作用と自己修復作用もあいまって、長期にわたり錆びにくいのが特徴です。
日本では1980年代に初めて商品化され、ここ20年ほどで急速に普及しました。
ガルバリウムはなぜ人気なのか
ガルバリウムが多用されるようになった理由は、いくつもあります。
まず一つは、耐用年数が長いこと。
もちろん手入れは必要ですが、25年~30年ほどと鋼板としてはかなりの長寿命を誇ります。外装材や屋根材は直射日光や風雨にさらされる部分ですから、耐久性はとても重要です。
もう一つは、デザイン性に優れた建物にしやすい点。
通常、表面に塗装をするガルバリウムはカラーバリエーションが極めて豊富。好みの意匠にしやすく、シンプルな仕上がりのモダンな住まいが実現できます。
熱反射率が大きく表面の温度上昇が他の金属に比べて小さいのもメリット。夏の強烈な日差しを受けても熱を蓄えず、跳ね返してくれるというわけです。
また、屋根にも外壁にも使える多様性も魅力の一つです。
屋根材としてのガルバリウムの良いところ
切妻や寄棟など、さまざまな形状の屋根に幅広く対応します。水はけ能力も高く、和瓦やスレート屋根よりも緩い勾配で設計することが可能。ただ、フラットな陸屋根だけは不向きとされています。
既存の屋根材を取り除いて葺き替えることもできれば、既存の屋根の上にガルバリウムの屋根を打ち付ける重ね葺きにすることもできます。
ガルバリウムの屋根は軽量で、和瓦の5分の1~8分の1、スレートの3分の1~4分の1ほどしか建物に負荷をかけません。軽い屋根は建物の重心を下げるので、耐震性についても有利になります。
外壁材としてのガルバリウムの良いところ
外観をおしゃれに演出するうえで有利になります。
よくあるタイル調の窯業系サイディングや木質系サイディングとは趣の異なる、個性的な住まいにできるのが外壁材としてのガルバリウムのメリットでしょう。
通常、サイディングは外壁のヒビ割れ防止などのために目地を入れる必要がありますが、ガルバリウムは目地がいりません。ガルバリウムの外壁を採用した家の外観がシンプルですっきりしているのは、目地がないためでもあるといえます。
そんなガルバリウムにもデメリットはある
いいことづくしのガルバリウムですが、残念ながら弱点もあります。
・コストが高くなりやすい
和瓦よりは安価なものの、スレートよりは割高。施工費用も高めです。
・傷が付きやすい
硬い物があたると凹んだり傷ついたりしやすく、その部分から錆びが生じることもあります。
・断熱性が低い
いくら熱反射率が高くても、基本的に金属。熱を伝えやすいのです。
・防音性が低い
雨が屋根に当たる音などが響きやすいため、防音材と組み合わせるなどの対策が必要です。
・通気性がない
部材自体に通気性がないので、外壁に使用する場合は通気工法で壁体内の換気を促す工夫が求められます。
いくつかデメリットをあげましたが、実際に施工する際はいずれをも解消する工夫が施されますので、心配には及びません。トータルな性能を考えれば、とても魅力的な素材であることは間違いありません。
錆びにくい、腐りにくい、長持ちする、おしゃれ…と、注目すべき特徴がたくさんあるガルバリウム。上手に取り入れて、個性の輝く美しい住まいをつくりましょう。