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建築主は60代男性。
定年退職後に転居し、老後の生活を送る場とする為に、老朽化していた旧家の建替えを行いました。
当建物は建築主一族の本家にあたる為、お正月・お盆には親族が一斉に集まる家です。
「独り暮らしの老後の生活」と「一族の集まりの場」の両立した住宅プログラムが要求されました。
プライバシー性の高い日常生活用の空間となっています。 平面計画を道路側より雁行形態とする事により、道路からの視線に対するプライバシーの向上を測っています。 生活の主となる室においては、近隣や道路からの視線をコントロールする事で、居住性の向上が可能です。 平面形態のひと工夫により、周囲を気にせずに、日向ぼっこでうたた寝が出来る茶の間となりました。
お正月・お盆には親族が一斉に集まる為、 「客間-洋間-茶の間-食堂」と4室を続き間となるように配置しています。 客間から食堂までは、『パブリック空間→プライベート空間』と空間の段階的な配置として、来訪者に合わせた続き間の拡張を可能とさせました。 祭事の際に襖を取り払えば、8間(14.5m)の大きな続き間となります。
檜の化粧柱と塗壁仕上げをベースとし、杉中杢棹縁天井と無地縁畳。天然絞丸太の床柱と呂色面皮の床框に龍鬢表紋縁薄畳の床の間。建具は、細桟の雪見障子戸と鳥の子和紙張りの襖で構成されています。床の間と脇床の仕切りには萩下地窓。雲型付きの神棚も設えています。和室の構成には地域性があり、この室は師より受け継ぐデザイン構成を再現しました。現代のモダンな室とは相反して、数多くの空間構成要素と部材毎の伝統的なプロポーション比率がありながら、同時に空間の格調に応じた材料の使い分けが設計の重要なポイントとなっています。 和室の設計には、知識と経験によるデザイン力が求められる為、それ故に奥深く非常に面白いモノです。
解体建物の思い出を継ぐ。 建築主から「生まれ育った建物の思い出を残したい」との要望を預り、旧家の解体前に床の間の部材を保管。 部材の寸法に合わせた設計を行い、2階の客用寝室へ旧家の床の間を再現しました。 どんな建物にも思い出が詰め込まれているものです。 解体時にはその思い出の箱を解体するような気持ちに苛まれます。 旧家の部材の一部を新築へ引継ぐ事で、思い出を引き継ぐ事ができました。
銅板葺き庇の玄関ポーチが迎え入れてくれます。 和風建築に於いて玄関の設えは、最重要ポイントです。 機能+装飾材として、化粧垂木の先端は銅板包。御影石の飛び石と瓦タイル敷きの玄関ポーチ。 更に瓦屋根と銅板庇の関係性、門扉から玄関までの距離、壁面と植栽の絡み(まだありませんが・・・)など、 小さなバランスの積重ねにより、格式ある玄関ポーチに組み上げています。
古い街並み景観に配慮した純和風住宅。 周辺は蔵のある古い和風住宅が建ち並ぶ交通量の少ない街道に面しています。 高齢者が多く住み、古くからの街並みが残る景観に配慮して、落ち着いた純和風住宅としました。 和瓦葺きの屋根に塗壁仕上をベースとして、 付け柱・格子・銅板葺き玄関庇を設け、格式を護りつつも現代の材料を適材適所へ用いました。