爽やかな香り、心地よい手触り、木材には人の心を和ませる不思議な力があります。躯体や外壁、床など利用されている場所は色々ありますが、今回は内壁に使われている事例に注目してみました。
「木」といっても無垢や合板、パーティクルボードなど、種類によって表情はさまざま。印象の違いも合わせてご覧ください。
無垢材
ダイニングの壁には無垢のスギ材が用いられています。スギは香りが良く、調湿作用に優れており、室内の湿度調整もしてくれます。
成長の過程で生じる美しい節の並びや木目は、スポットライトを当てることで一層魅力的なインテリアになります。
国産のヒノキを使用した明るく開放的な玄関。耐久性や保存性が高く、硬くて傷のつきにくいヒノキは、玄関や廊下などに適した素材ともいえます。
淡いピンクがかった白色は目に優しく、アロマ効果のある香りも漂い、玄関を出入りする度に清々しい気持ちにさせてくれます。
玄関を開けると目に入るリビングの壁にはレッドシダーが用いられています。勾配天井に沿って斜めに張られた無垢材は濃淡があり、空間に良いリズムを生み出してくれます。
合板
吹き抜けになっているリビングの壁には、ぐるりとラワン合板が張られています。ザラザラした表面の合板でもオイル塗装することで、しっとりとした質感に仕上がります。
合板は天然の無垢材と違い、経年変化に伴う反りや曲がりがほとんどなく、活用しやすいメリットがあります。接着剤から出るホルムアルデヒドの放散量に注意する必要がありますが、近年はホルムアルデヒドを含まない接着剤を使用したものも多く製品化されており、選択の幅も広がっています。
色が明るくモダンなインテリアとも相性がよいシナ合板を内装に用いた事例です。アイスクリームの棒やスプーンに使用されている木というとイメージしやすいでしょうか。表面のキメが細かく木目が目立たないため、すっきりとした印象になります。
構造用合板の現しになっています。構造用合板とは、建物の躯体を支える構造として用いられる合板のことで、普通合板よりも強度があります。
ホワイトオイル塗装はされていますが、木目や木肌の粗さが残り小屋のような素朴な雰囲気が出ています。
木質ボード
細かく砕いた木片に接着剤を混合して圧縮した木質ボードの壁です。OSBやパーティクルボードと呼ばれ、木片がランダムに散らばる特徴的な見た目が魅力です。ラフで男前な空間になりますね。
MDFボードで仕上げられた壁。ファイバーボードといわれ、木片よりも細かく繊維まで細分化し、圧縮して接着剤でくっつけたもので、通常の木材よりも軽量で加工しやすく、無垢材や合板の端材など木質資源を有効に活用したエコ素材です。
表面が滑らかで色味が統一されたMDFは、床や躯体の無垢材とも違和感なく馴染みます。
木の種類や材質、加工の仕方や塗装の有無によっても随分違う印象になります。さまざまな木質素材を知ることにより、理想の空間に合うものが見つかるかもしれません。木の心地よさを感じられる内壁にあなたならどんな木を採用しますか?