2022/07/05更新0like3695view

著者:佐藤ゆうか

そもそも二世帯住宅って何?住んでから後悔しないための計画ポイント

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

二世帯住宅にしたいけれど、うまくやっていけるか心配。
親世帯の土地に住むように言われているけれど、二世帯住宅って実際どうなの?
住まいづくりの際に、二世帯住宅の計画案が出ると、不安になる人は多いです。
二世帯住宅は、メリットもデメリットもある住宅形式なので、デメリットをカバーする計画にすることが大切です。
今回は、二世帯住宅とはそもそも何なのか?ということから、二世帯住宅のメリット・デメリット、後悔しないための6つの計画のポイントを解説します。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

二世帯住宅とは?

二世帯住宅とは、親と子世帯が一緒に住むためにつくられた家のことです。
親子が一緒に暮らすことで、互いに生活を支えあえる安心感がある一方で、トラブルが起こることもあります。
二世帯住宅のメリット、デメリットについて解説します。

二世帯住宅のメリット

・建築費を節約できる
二世帯住宅を建てる場合と、親世帯と子世帯別に一戸建てを建てる場合を比較すると、一般的に、二世帯住宅を建てた方が建築費用を抑えることができます。
二世帯住宅にすることで、単世帯住宅より床面積が大きく、キッチンや浴室なども2つずつ必要になるため、一見建築費が掛かりそうに思えるかもしれません。
節約できる大きな要素は、土地の購入費が不要になることや、建物を建てるための必要経費が1棟分で済むことがあります。

・減税されることがある
二世帯住宅にすることで、固定資産税や不動産取得税の減税を受けることができます。
ただし、各自治体により減税条件は異なりますので、事前に確認しておくことが大切です。
代表的な条件として、各世帯に水回りや台所が整備されている、完全分離型の二世帯住宅にすることが挙げられます。

・お互いの生活をサポートできる
二世帯住宅にする大きなメリットとして、親世帯の老後の生活不安(介護や生活サポートなど)や、子世帯の子育てなどの大変な面を、お互いに支え合うことができる点が挙げられます。
お互いの生活を支え合える安心感は、二世帯住宅の何にも代えがたいメリットと言えます。

二世帯住宅のデメリット

二世帯住宅の最大のデメリットは、互いを支え合える一方で、トラブルが起きる恐れがあることです。
例えば、夜遅く帰宅することが多い子世帯の生活音が、早めに就寝する生活を送る親世帯にとって騒音に感じられることがあります。
一緒に暮らすことで、生活スタイルの違いから、ストレスが重なり、関係が悪くなる恐れがあるのです。
また、玄関や客間が共用の場合、親世帯・子世帯それぞれの来客対応や、親せき付き合いなどが負担に感じられるかもしれません。
暮らしの中で生じるかもしれないストレスは、プランニングである程度軽減することができます。
お互いの生活スタイルや、譲れない部分、来客の多さなどを話し合い、すり合わせを行うことが大切です。

二世帯住宅のタイプは3種類

二世帯住宅のつくり方は、大きく3つのタイプに分けられます。
・完全分離型
・一部共有型
・完全同居型
です。
それぞれの特徴を解説します。

玄関、水回り設備、居室などが各世帯にあり、完全に分けられているタイプです。
メリットとしては、各世帯のプライバシーがしっかり守られ、光熱費も分けられるため、トラブルが起きにくいことがあります。
また、親世帯が年を取り、将来的に単世帯になった場合に、完全に分けられているため、賃貸として活用しやすいこともメリットです。
各世帯に住宅設備や玄関扉を施す必要があるため、建築費用は一番かかります。
住まいの一部分を共有するタイプです。
共有する部分として多いのが、玄関や、設置するのに費用がかかる水回り、コミュニケーションの場として活用しやすいリビング・ダイニングです。
また、両世帯から子ども部屋へのアクセスを良くすることで、子育て・孫育てを共有するつくり方もあります。
共有部分を作ることで、分離型にはないストレスも生じますので、計画段階で双方が合意し、共有部分を快適に使うための気遣いをすることが大切です。
玄関、水回りなどを一切分けず、全てを共有し、寝室などの個室のみをプライベート空間とする方法です。
親世帯が1人だけの場合や、共働きで一緒に過ごす時間が短い場合におすすめです。
各設備がひとつで済みますので、建築費用は一番削減できる方法です。
ただし、一緒に過ごす時間が多くなりますので、トラブルも起きやすいです。
事前に生活スタイルを把握し、納得した上で住まうことや、共用スペースを使う際のルールを作っておくことなどが大切です。

失敗しないための二世帯住宅計画6つのポイント

二世帯住宅を建て、暮らす中で後悔しないためのポイントを紹介します。

①親世帯、子世帯で必ず要望を話し合い擦り合わせしておく

二世帯住宅は、計画段階でも親子間の意見の食い違いなど、思わぬトラブルが起きることがあります。
その多くが、親世帯が子世帯の要望を聞かずに話を進めてしまうことや、逆に、子世帯が親世帯の要望を聞かずに進めてしまうことがあります。
いくら親子だからと言って、お互いに考えていることを全て把握することは不可能です。
必ず話し合いの場を設けて、要望や優先したいこと、譲れないことなどの意見を出し合い、すり合わせておきましょう。

②今後の生き方について考えを共有しておく

家は、20年・30年先の未来も見据えながらつくることが大切です。
要望と同様に、今後どのように生きていきたいかというライフプランを共有した上で住まいづくりをしましょう。
例えば、子世帯が希望する子どもの数や、親世帯の退職時期、退職後の暮らし方などです。
互いに将来はどう過ごしたいか、家づくりの段階で知っておくことで、長年暮らしやすい家づくりができるでしょう。

③子世帯、親世帯の生活スタイルの違い、タイムテーブルを理解しあう

大抵の場合、子世帯と親世帯の生活スタイルは異なるものです。
親世帯が退職していて、家にいる時間が長く、子世帯は働いていて夜帰宅する場合、親世帯の夜のリラックスタイムに、子世帯の生活音が聞こえてくることになります。
2階に子世帯が暮らしていると、忙しい足音や流水音など、かなりストレスを感じるかもしれません。
プランの段階で、生活スタイルや日々の時間の過ごし方の違いを理解し、できる限りストレスを感じないように、間取りをつくることが大切です。
親世帯ができるだけ長く自立した生活が送れるよう、できる限りバリアフリーに配慮した計画をしましょう。
親世帯の生活空間になるべく段差を作らないこと、玄関框や浴室、トイレなどの段差部分には手すりを設けることで、足腰が不自由になっても、安全に自立した生活を送る助けになります。
加えて、廊下や居室など、生活空間の壁に手すりを設けることや、照明スイッチを人感センサーにするなどの方法があります。
プランを考える段階で、バリアフリーの計画を行いましょう。

⑤メーターを分けるか同一にするか決めておく

二世帯住宅に住んでから起こるトラブルに、光熱費の支払い金額の持ち分があります。
家を建てる際に、メーターを分けるための設備費として10~20万円の費用が掛かりますが、各世帯の使った分を正確に把握できるため、トラブルは起きにくくなります。
一方で、メーターを同一にするメリットとしては、基本料金を二重に支払う必要がなくなることや、エアコンの使い過ぎ、暑いのにエアコンをつけないなど、お互いの電気使用料を把握できて、生活見守りに繋がることがあります。
家計を同一にしない場合、住む前から光熱費の支払いについても、話し合って決めておくことが大切です。

⑥会社選びも慎重に

二世帯住宅の計画や設計は、単世帯住宅の計画とは異なるノウハウが必要になる部分です。
打ち合わせの際も親世帯と子世帯の間に入り、円滑に打ち合わせが進むよう、気遣いある対応が求められます。
また、親世帯が亡くなった後のことも考えながら計画する必要があります。
なかなか言い出しにくいものですが、二世帯住宅に住むにあたり、とても大切な検討事項です。
親世帯が亡くなると、修繕費や固定資産税などが全て子世帯に掛かってくるため、何も考えずにいると、子世帯の負担は相当なものになります。
親世帯部分を賃貸にする、孫世帯や兄弟に住んでもらうなど、どのように住み継いでいくか検討しましょう。
こういった将来的なこともしっかり考え、提案してくれる会社を選ぶことが大切です。
二世帯住宅は、メリットが多い住まいのスタイルですが、トラブルも起きやすいため、事前に話し合い、よく検討し、決め事を作っておくことが大切です。
私は完全同居型の3世帯住宅で生まれ育ちましたが、大勢で食事をとる楽しさや、祖父母や曾祖母と暮らし深く関わることは、とても良い経験だったと思っています。
一方で、毎日の暮らしでコミュニケーションを取らざるを得ない煩わしさを感じることもありました。
入浴の順番待ちや、個室が狭いこと、ほかの家族の生活音などにストレスを感じる場面も多かったです。
また、曾祖母は明治生まれ、祖母は昭和初期、母は昭和中期と、世代の異なる3人の主婦が1つの家で暮らし、うまくやっていくのは相当な気遣いがあったことと思います。
完全同居型で育った経験から言うと、可能であれば、水回りは各世帯にひとつずつ設置することがおすすめです。
二世帯住宅を建てることで、家族の絆がより濃いものになり、お互いを支え見守りあえる安心感のある家づくりができるといいですね。
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佐藤ゆうかさん

2級建築士。
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