2021/03/06更新2like14351view

著者:佐藤ゆうか

トイレのプランで失敗を防ぐ8つのポイント

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

家づくりの際には、トイレにこだわりたい!という人が増えています。
トイレは本来の用途以外にも、一人でほっとする空間、お客さんを気持ちよく迎える空間としての役割もあり、第二の家の顔とも言える部分かもしれません。
最近は、トイレの設備も豊富で、何を設置するのが正解か悩んでしまうことも。
今回は、トイレに設置する基本設備と、失敗しないためのポイントについてお伝えします。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

トイレのキホン設備とその種類

トイレに設置されるキホンの設備について解説します。

■便器
便器は、大きく3つの種類に分けられ、①タンクレスタイプ・②一体化タイプ・③組み合わせタイプがあります。価格は、タンクレスタイプが一番高価で、組み合わせタイプが一番安価になります。
この他に、和式トイレ、男性用小便器などがあります。

タンクレス、一体化、組み合わせタイプの、それぞれの特徴を確認しましょう。

①タンクレスタイプ
給水管と便器を直結して洗浄する方式です。
次のような特徴があります。
・コンパクト
・タンクがなく、背が低いため、トイレが広く見える
・つなぎ目が少ないため、掃除しやすい
・連続して流せる
・手洗い器を別に用意する必要がある
・本体と温水洗浄便座が一体化しているため、部分的な交換はできない
・停電時に水が流せる機種と、流せない機種がある
・水圧が低い場所では、流れが悪くなる

②一体化タイプ
便器、タンク、便座が一体化していて、次のような特徴があります。
・タンク部分の手洗い器付き、なしが選べる
・組み合わせタイプに比べてすっきりしたデザイン
・つなぎ目が少なく、掃除しやすい
・タンク、便器、温水洗浄便座が一体化しているため、故障の際、部分的な交換はできない
・連続で流せない
・停電時でも流せる


③組み合わせタイプ
便器、タンク、便座がそれぞれ独立していて、組み合わせるタイプです。
次のような特徴があります。
・タンク部分の手洗い器付き、なしが選べる
・好きな便座が選べる(温水洗浄便座でなくてもいい場合はこちらがおすすめ)
・故障の際は部分的に交換できる
・他のタイプの便器に比べて大きい
・連続で流せない
・比較的つなぎ目が多い
・停電時でも流せる

トイレの広さ、便器に求める機能性、予算、お好みのデザインから、適した便器を選びましょう。
■扉
トイレの出入り口に設置する扉は、①開き戸、②引き戸、③折れ戸ドアがあります。
それぞれの特徴を確認しましょう。

①開き戸
レバーやノブを操作して、押したり引いたりして開口するタイプの扉です。
・大きく開口する
・防音性に優れる
・トイレ内や通路に干渉する
・構造がシンプルなので、掃除しやすく壊れにくい
・お年寄りや車いすの人は使いづらい
・比較的安価

②引き戸
手を掛ける部分を持って、横にスライドさせて開口するタイプの扉です。
・比較的小さい動きと力で操作できる
・お年寄りや車いすの人でも使いやすい
・扉を開け閉めしてもトイレに干渉しない
・レール付きの場合、掃除しづらい
・比較的高価

③折れ戸ドア
・開き戸より小さい動きと力で操作できる
・お年寄りや車いすの人でも使いやすい
・防音性に優れる
・見た目がすっきりしない
・比較的高価


■金物(アクセサリー)
トイレには、「アクセサリー」と呼ばれる金物類を設置します。
金物には、紙巻き器・タオル掛け・手すりがあります。
必要に応じて設置しましょう。


■収納
トイレに収納するものの量や、トイレの広さに応じて収納があると便利です。
天井近くに設置するタイプの「吊り戸」、壁の厚さを利用して設置する「壁収納」、手洗い器や、カウンターと一体化している「システム収納」などがあります。


■手洗い器
便器に手洗い器をつけない場合、トイレ内に手洗い器を設置しておくと清潔で便利です。
トイレの手洗い器には、①単体タイプ・②キャビネットタイプ・③システムタイプがあります。
それぞれ次の特徴があります。

①単体タイプ
手洗い器のボウルのみを設置するタイプです。
壁に設置する「ブラケット型」と、カウンターや家具を用意してボウルを設置する「据え置き型」があります。

②キャビネットタイプ
トイレメーカーが販売している商品で、手洗い器と収納が一体化したタイプです。
タオル掛けも設置できる場合があります。
壁に埋め込んで設置できるタイプもあり、コンパクトに必要な機能性が凝縮されています。

③システムタイプ
手洗い器、収納、手すり、カウンター、化粧鏡、紙巻き器などが一体化したタイプで、予算や必要とする機能性に応じて好きなものを組み合わせて設置できます。

トイレのプランで失敗しないための8つのポイント

トイレを考える際に、失敗しないための8つのポイントを紹介します。


1.トイレの位置は優先順位を考えて
家全体の、どの位置にトイレを設置するか考えましょう。
考える際のポイントとしては、以下のことがあります。
・2階建てや3階建ての場合、各階に必要か検討する
・キッチンや浴室、洗面所と近い場所に設置するとメンテナンス性、コスト共に◎
・リビングやダイニングの近くに設置する際は、音漏れや臭い漏れに注意
・静かに過ごす部屋の近くに設置する際は、音漏れに注意
・2階に設置する場合、排水管に防音対策をする
・西側は夏熱くなりやすいので、カーテンを設置したり、窓の位置を工夫する
・北側は冬冷え込む恐れがあるため、暖房機などを設置する

トイレは小さなスペースですが、毎日間違いなく使う場所で、暮らしやすさに大きな影響を与えます。
小さい子供や、お年寄りは、寝室の側にトイレがあった方が便利ですが、寝室の側にトイレがあると、音が気になる場合もあります。
トイレの使いやすさをとるか、家全体の快適さをとるか、優先順位を考えた上でトイレの位置を検討できるといいですね。


2.広さは家族の状況に合わせて
使いやすく、一般的なトイレの広さには、次の3つのパターンがあります。
①0.4坪タイプ
柱芯寸法約910mm×1365mmのサイズです。柱芯寸法とは、柱の中心点から中心点までの距離のことです。
使いやすいトイレを計画するにあたり、一番小さいサイズと言えます。
背が高い人や、手洗い器を設置する場合、介助をする場合は動きにくさを感じるかもしれません。

②半坪タイプ
SOUKEN「つなぐ家」
柱芯寸法約910mm×1820mmのサイズです。
奥行がたっぷりあるため、広々と感じるでしょう。
手洗い器や収納を設置してもゆったり使えます。

③0.75坪タイプ
柱芯寸法約1365mm×1820mmのサイズです。
車いすの人や、介助が必要な人が使う場合でもゆったり使えるサイズです。
健常者が使うには、広すぎて落ち着かないかもしれません。

トイレの広さは、家全体の広さに対するバランスや、トイレを使う家族の身体状態によって、適切な広さにしましょう。


3.内装材は機能性とデザイン性に注目
トイレの内装材は、掃除がしやすく、滑りにくく、臭いが染みにくいものが適しています。
壁・天井の仕上げ材では、次のものがおすすめです。
・ビニールクロス
・珪藻土
・漆喰
・メラミン化粧板
・タイル

床材では、次のものがおすすめです。
・タイル
・ビニールタイル
・化粧シートフローリング
・クッションフロアシート
・防水コルク

掃除しやすいタイルやメラミン化粧板を汚れやすい腰壁の高さまで張り、掃除しにくく、傷つきやすい珪藻土や漆喰をそれより上の部分に塗るなどして、それぞれの機能性に合わせた施工をすることもできます。


4.ドアは使いやすさと安全性に配慮して
開口部は、開き戸にするか引き戸にするか、折れ戸ドアにするかを検討します。
廊下や、外の部屋への干渉と、使いやすさ、予算を考慮しましょう。
トイレで排せつや脱衣をすると、体温が変化し、体調が急変する場合があります。
トイレ内で人が倒れた場合でも、ドアが開かず救助が遅れることがないように、開き戸を計画する場合は、必ず外開きにしましょう。


5.金物(アクセサリー)は使いやすく清潔なものにしよう
トイレに設置する紙巻き器や手すりなどのアクセサリーは、デザイン性や使い勝手はもちろんですが、よく触れる部分なので、清潔を保てるように掃除のしやすさにも注目して商品を選びましょう。


6.手洗い器は無理してつけない
手洗い器は、省スペースに収まるものが多くありますが、できればショールームで実物を確認してから選びましょう。
コンパクトなものを採用した人の中には、「手が満足に洗えない」「手を洗うと水がはねて周囲がびしょびしょになる」という意見もあります。

手洗い器は、必ずトイレ内に設置しなくてはいけないものではありません。
設置スペースが限られている場合は、無理して手洗い器を設置せず、トイレから出た通路や、洗面所で手を洗うことも検討しましょう。


7.臭い対策をお忘れなく
最近の住宅は、24時間換気設備の設置義務があるため、トイレの換気扇は常時運転することになります。
そのため、トイレ内は十分に換気ができるため、換気扇を切らない限り臭いが外に出ることはないでしょう。

ただし、連続してトイレを使う場合や、トイレが直接リビングとつながっている場合など、臭いが気になるシーンもあります。
換気扇の掃除やメンテナンスを行うことはもちろんですが、脱臭機能のある便座を設置する、消臭機能付のある内装材を使うなどすると、臭い問題を解決する手助けになります。


8.収納はしまうものから考える
トイレで使う物や、トイレにあると便利なものは多いです。
それらを収納できるスペースがあると、暮らしが便利に感じるでしょう。

ただし、トイレ空間は限られています。
トイレで使う物や、あると便利なものをリストアップすると、適切な収納計画ができますよ。
トイレに収納できると便利なものの例です。
・トイレットペーパー
・タオル
・掃除グッズ
・生理用品
・消臭剤ストック
・子ども用補助便座
・子ども用踏み台
・オムツ
・ウエットティッシュ

面積別・トイレのおすすめプラン例

0.4坪タイプ、半坪タイプ、0.75坪タイプのトイレのプラン例と、押さえておきたいポイントを紹介します。

①0.4坪タイプのプラン
広さに限りがありますが、奥行の小さいタンクレストイレや、スリムなタイプの手洗い器を使うことで、空間にゆとりができます。
②半坪タイプのプラン
奥行のあるタンク付き便器でも、収納を設置できるほど広さに余裕のあるプランです。
奥行については、柱芯寸法で1,515mmにしても快適かもしれません。
タンクレストイレの場合、正面の壁に手洗い器をつけてもいいですね。
③0.75坪タイプのプラン
介助が必要な人でも、安心して使える広さのプランです。
トイレは、限られた空間だからこそ、こだわりを貫くことができる楽しい空間でもあります。
インテリアなどにこだわることはもちろんですが、家族みんなに使いやすく、優しいトイレが計画できるといいですね。

トイレの床材はどう選ぶ?種類とプランニングの注意点
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佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
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