2020/06/16更新0like3866view

著者:岩間光佐子

小上がりスペースの考え方とプランニングのコツ

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

新築やリフォームの際に、床面を少し上げ段差を付けた小上がりを設けたプランもみられます。くつろぎの場所としてあこがれる方も多いでしょう。しかし、取り入れ方によっては有効利用できない場合も。ここではプランニングの際の注意点をまとめました。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

小上がりスペースって何?メリットデメリット

小上がりとは、床面を少し上げ、他の床と段差を付けたスペースのこと。リビングなどのくつろぎの場の一角に小上がりを設けるプランを見る機会もあるのではないでしょうか。小上がり部分の床には畳を取り入れるケースが多くみられます。

小上がりを設けるメリットは、たとえば、リビングに設けた場合、段差の寸法(高さ)によっては、腰を掛けることができること。ソファに座る人とのコミュニケーションもとりやすいでしょう。プランニングにもよりますが、ある程度、独立した空間となるのも魅力。間仕切り扉などの建具を設置すれば個室としても利用することができます。また、床下部分を収納とすることも。掘りごたつのようなスタイルとして食事の場としてもいいでしょう。

デメリットは、段差があるため安全面に十分に注意が必要なこと。幼いお子さんがいる場合などは配慮が必要です。また、ある程度のスペースのある空間にプランニングしないと、中途半端な空間となってしまうケースも。天井が低くなるため、窮屈さを感じてしまうケースもあるかもしれません。

誰が、何に、どう使うのか、をイメージする

プランニングの際には、小上がりスペースをどのように使うのか、新しい住まいでの暮らし方をイメージすることが大切です。小上がりを取り入れることによって、他のスペースの確保に影響が出ることもあります。また、動線などにも注意が必要でしょう。

くつろぎの場であるリビングとして使うのであれば、テレビやテーブルのレイアウトを考慮する必要がありますし、子供の遊び場として使用したいのであれば、リビングやキッチンからの見え方や安全性、成長後の使い方も考えておきたいものです。客間として使うことも考えるのであれば、独立性を保つために建具も必要かもしれません。

家族構成やライフスタイル、将来の暮らしの変化を考慮してプランニングすることが重要です。

床材・壁材など、内装材の考え方

リビングなどに設ける小上がりスペースの床材には、畳が多く用いられます。適度なクッション性と座ったり横になったりすることができるのが魅力でしょう。最近では、畳縁のないタイプや正方形のもの、カラーバリエーションが揃った畳などもみられ、さまざまなインテリアに合わせやすくなっています。お手入れの簡単なタイプなどもあるので、使い方に合わせて選ぶようにしたいものです。

また、他のスペースと同様に、フローリングやコルクタイルなどの仕上げも考えられます。同じ素材を用いてすっきりとコーディネートしたり、素材や色に変化を持たせて空間の独立性を高めてもいいでしょう。

壁や天井材は、プランニングや空間のつくりにもよりますが、他と同様の素材を用いるケースが多いようです。空間のつくり方によっては、より和室に近いようなコーディネートもみられます。内装コーディネートはさまざまな考え方がありますが、他の空間と一体として使用するならば連続性を持たせて、個室のように用いるのであれば変化をつけたコーディネートがおすすめです。

収納を設ける際のプランニングの注意点

スペースに限りがある場合など、小上がりを収納スペースと考えてプランニングするケースもみられます。段差を生かして、空間を有効利用することが可能です。

小上がりを利用した収納方法には、段差側に引き出すことが出来るようなボックスを組み入れる方法と床面(畳などの床材)を取り外すことによって上から収納することができる方法などがあります。

引き出しタイプの場合は、奥までのボックスを引き出すタイプだけでなく、手前と奥にボックスを設けて、季節ごとに入れ替える方法なども考えられます。いずれにしても、手前に引き出すことが出来るスペースを確保しておくことが必要です。

また、床面を取り外して収納する方法では、扱いやすい方法、取り外す素材のサイズや重量などを十分に検討するようにしましょう。また、小上がりスペースに物を置いてしまうと出し入れが面倒になる場合もあるので注意を。

いずれにしても、確保した収納スペースに何を入れるのか、事前にリスト化しておくことが大切です。サイズや量を把握することで、それらに合わせた収納方法を検討することができるでしょう。
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リビングと一体化、ダイニングスペースetc.さまざまな使い方ができる

小上がりスペースは、リビングに隣接させるケースが多くみられますが、使い方に合わせてさまざまなプランが考えられます。

■リビングに隣接させた畳コーナー
リビングに隣接させることで、客間、くつろぎの場、趣味の部屋とさまざまな使い方が可能です。
■ダイニングスペースとして
ダイニングテーブルと組み合わせ、ベンチの役割を持たせれば、多人数の来客にも対応できるでしょう。
■寝室として
寝室では、ベッドのように小上がりを用いることも。段差部分に寝具を収納すれば、空間もすっきり片付きます。
■客間として
空間に独立性を持たせる建具を設ければ、客間として利用できます。
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■書斎として
カウンターと組み合わせて書斎コーナーとしても。疲れたときにはゴロっとできるのも心地よいものです。
■子供スペースとして
子供は籠れるような空間が大好きです。好みのインテリアに仕上げて隠れ家に。

モデルハウスやショールームを参考に

小上がりスペースは、造作でプランニングされたものが多くみられますが、建材メーカーからは天板が畳の箱(箱畳)のようなタイプも提案されています。ベンチとして腰を掛けて使うことができ、組み合わせることでくつろぎのスペースとすることも可能。ライフスタイルに合わせて、移動することができるタイプもあります。箱部分が収納スペースとなっているのも特徴でしょう。将来的にスペースの使い方が変化する場合、簡単なリフォームで取り入れたい場合などに向いています。
さまざまな用途に用いることができる小上がりスペースは魅力的です。しかし、設置する目的や優先順位を明確にし、それに適した空間づくりを行わないと、使いこなせずに物置となってしまったり、かえって使い勝手が悪い間取りとなってしまうこともあるものです。

家づくりの中で、モデルハウスやオープンハウスなどで小上がりスペースに出会ったら、空間のつくり方など、実際に座ってみるなどして体感を。また、建材メーカーの商品であればショールームで確認することが大切です。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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