2018/04/17更新1like7912view

著者:SUVACO編集部

専門家フィーチャー

ふしぎな配置の戸建て「賃貸」住宅「MOBTOWN ミナミシモハラ」(春日井市)はどのようして生まれたのか?

この春、愛知県春日井市の住宅地の一角に完成した4棟の戸建て住宅、その名も「MOB TOWNミナミシモハラ」。実はこちらの住宅は、近隣住人とのつながりと自身のプライベート、どちらも尊重できるコミュニティ型賃貸住宅なのです。オーナーであり物件のすべてを手がけたgimbal works(ジンバルワークス)の建築家・井村正和さんに建物への思いをお聞きします。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

実験的「賃貸」住宅!「MOBTOWNミナミシモハラ」はどうやってできたのか?

愛知県春日井市の住宅地の一角に、ランダムに建ち並ぶ4棟の戸建て住宅がこの春、完成しました。ひときわ目立ちつつも、街並みにもすっと溶け込むこちらの住宅は、「MOB TOWNミナミシモハラ」という名前のコミュニティ型の賃貸住宅です。
photo by Hiroshi Tanigawa

photo by Hiroshi Tanigawa

4棟はすべて色違い、あっち向いたりこっち向いたり、一見バラバラと無作為に並んでるかのよう。
でもよーく見ると、4棟がそれぞれ程よい距離感を保っており、隙間がいい感じの遊歩道になっているんです。
photo by Hiroshi Tanigawa

photo by Hiroshi Tanigawa

手掛けたのはgimbal works(ジンバルワークス ※昨年法人化にともない社名を井村建築設計より変更)の建築家の井村正和さん。コンセプト設定、デザインすべてを担っています。そして、MOB TOWNミナミシモハラのオーナーさんでもあります。

そもそもどうして、この一角にこのような住宅を建てようと思ったのでしょうか?

井村さんによると「実はこの土地、もともと僕の実家があった場所なんです。僕は3人兄弟の末っ子なんですけど、兄弟の中で春日井市に残っているのは僕だけなんですよね。土地の管理のことを考えると近い方がいいということで、僕がこの土地を相続することになったんです。」

土地の相続……実は頭を悩ませている方、多いのではないでしょうか?

井村さんも例にもれず、相続した土地をどうするか悩んでいたそうです。土地というのは、きちんと管理しないと、あっという間に草がぼうぼうになってしまう厄介なもの。とはいえ近隣の方に迷惑はかけられないので、放っておくわけにもいきません。
草刈りは重労働ですし、土地をきれいに管理するのって本っ当に大変ですよね。
かといって、代々住んでいた土地を手ばなすのも申し訳がない…。

そこで、井村さんはこの土地を活かして何かできないか?と考え始めたそうです。
「もともと、個々が完全に独立した、交流の生まれにくい既存の住宅や街の在り方について疑問を持っていました。この土地にほどよい距離感のある住宅ができたら、それをきっかけに、もっとにぎやかな街が生まれるのでは…?」と。

建築士である井村さんだからこそできるコミュニティ型の賃貸住宅を、この地に建てることを決意しました。
内装はシンプルかつ、素材感を感じられる空間となっていました。photo by Hiroshi Tanigawa

内装はシンプルかつ、素材感を感じられる空間となっていました。photo by Hiroshi Tanigawa

「賃貸住宅のステレオタイプなイメージを払拭したい!」

賃貸住宅というと、転勤族の方が次の転勤までの間に暮らすための住まい、もしくは結婚してマイホームを手に入れるまでの一時的な住まい、などというどちらかというと仮暮らしというイメージが強いですよね。

実際に住宅市場にも、単身者向けやファミリー向けなどはあるものの、画一的なマンションばかりで、戸建て住宅の賃貸住宅はほとんど見つけることができません。
ようやく見つけても築年数の経過した古いタイプの戸建住宅ばかりで、選択肢はほとんどないという状況…。

「一人暮らしからスタートして、結婚して二人になり、子どもが生まれて、子どもが独立して…家族の人数や状況に合わせて、賃貸住宅を住み替えるのって実はとっても合理的で健全なことだと思うんです。」と井村さんは言っていました。

暮らす人が家に合わせるのではなく、暮らす人に家を合わせていけたら…。
もっと自由に暮らすことだってできるはず!

MOB TOWNが、新しい賃貸住宅での暮らしのパイオニアになり得るのかもしれません。

求められるのは “ほどほどの距離感”

MOBTOWNミナミシモハラは、敷地面積629.521平米。約190坪の敷地にゆったりと4棟が並んでいます。
井村さんは「ゆるやかなソフトシェアハウス」と表現しました。

「シェアハウス」というと、住人の方たちがまるで家族のように密な距離感で
暮らす印象があります。でも、プライバシーは確保したい、強制的ではないコミュニティが心地いい…と思ってる方もきっと多いはず。

そういったほどよい距離感を保って暮らしたい方にぴったりなのが、この「ゆるやかなソフトシェアハウス」です。

「4棟をランダムに配置している理由は、エントランスをずらすことによって、プライバシーが確保できるからです。また、共用部と専用部の境界線はわざと作らず曖昧にしています」(井村さん)

でもエントランスの前には背の低い壁があり、なんとなくこのあたりまで…というのが感覚的にわかり、安心感があります。“ほどよい距離感” への配慮がそこかしこに。
作り手である井村さんのやさしさ、きめ細やかな気配りが随所に感じられます。
photo by Hiroshi Tanigawa

photo by Hiroshi Tanigawa

MOBTOWNミナミシモハラの配棟図と間取り図

MOBTOWNミナミシモハラの配棟図と間取り図

建築士だからこその、きめ細やかなアイデアがいっぱい!

MOBTOWNミナミシモハラの住宅は4棟すべて耐震性、耐風性が高いツーバイフォー住宅。高気密、高断熱のため、どの季節も快適に過ごせそうです。

住宅のプランは1棟ごと微妙に違います。
例えば吹き抜けがあったり、リビングとダイニングが分かれていたり…。外観の色も、シルバー、アイボリー、ブラウン、ホワイトと同じ色のものはひとつもありません。どれも主張しすぎない、街に溶け込む優しい色合いです。どのおうちを選ぶかは、住む方の感性、暮らし方次第。

家の中も工夫がいっぱいです!
なんと、井村さんが建築士として今まで手掛けてきた注文住宅の中から、お客さまからのご要望が特に多かったものを惜しげもなく取り入れているんです。

キッチンのパントリーや、アクセントクロスの壁、吹き抜けに面したスタディーコーナーから、洗面所で汚れ物を洗えるSKシンク、タイヤ収納などの細かいところも盛りだくさん。限りなく注文住宅に近い賃貸住宅と言えるでしょう。
内装にはさらにきめ細やかな気配りが施されています。photo by Hiroshi Tanigawa

内装にはさらにきめ細やかな気配りが施されています。photo by Hiroshi Tanigawa

さらに、4棟どの住宅にも、どこかにDIY壁が設置してあります。

賃貸住宅だと壁に穴があけられないから、棚をつけたり絵を飾ったりすることを諦めた、という方結構多いと思うんです。でもこちらの壁なら穴を開けてもOK!ストレスなく、お好きなものを飾ることができます。
土間リビング、土間ダイニングのどちらかが1階に広がります。photo by Hiroshi Tanigawa

土間リビング、土間ダイニングのどちらかが1階に広がります。photo by Hiroshi Tanigawa

ひろびろとした土間の空間!

外との境界がなんとなくあいまいで、遊歩道がおうちの延長のよう。遊歩道にいすとテーブル置いてお茶をしても素敵です。
4棟それぞれに1.2mから1.8mほど軒があります。photo by Hiroshi Tanigawa

4棟それぞれに1.2mから1.8mほど軒があります。photo by Hiroshi Tanigawa

軒下には犬小屋を置いたり、いすとテーブルを置いてお茶を飲んだり、お好きなようにお使いいただけます。どうやって使おうか夢がひろがりますね♪

賃貸住宅ですが、わんちゃんを飼うこともできるそうです。(小型犬のみです)
photo by Hiroshi Tanigawa

photo by Hiroshi Tanigawa

そしてどの住宅も、壁のどこかに色のきれいなアクセントクロスを使っています。外観同様、ポイントになりつつ、すっと馴染む優しい色合いです。
洗面台の横にあるSKシンクでは、汚れ物を気にせず洗えます。

洗面台の横にあるSKシンクでは、汚れ物を気にせず洗えます。

洗面所には、通常のシンクのほか、スロップシンク(SK)も標準装備として4棟どの住宅にも設置されています。

SKではお子様のうわばきや布おむつなど、汚れのひどいものを洗っていただくことが可能です。賃貸住宅でSKがついているなんて、なかなかないのでは?
こういった気配りもきめ細かい!
大きなポストは使い勝手も◎

大きなポストは使い勝手も◎

こちらの大きなポストには、Amazonメール便の箱がすっぽり入ります。不在の時にはポストイン!配達員の方にも優しいポストです。
部屋の外には、鍵付きの収納庫も併設。

部屋の外には、鍵付きの収納庫も併設。

鍵付きのこちらの収納庫には、スタッドレスタイヤをオフシーズンに収納することができます!タイヤの保存場所って本当に困るんですよね。
こういったきめ細やかな心配りが嬉しいです。
photo by Hiroshi Tanigawa

photo by Hiroshi Tanigawa

遊歩道には、植栽スペースが何か所かあります。こちらには住民のみなさまのお好きなお花、植物を植えてくださいね。手入れも住民のみなさまに行っていただくそう。
愛着もひとしおですね♪
4棟の間は遊歩道になっています。MOB TOWNミナミシモハラに暮らす住人の方々だけじゃなく、ご近所のみなさまにも開かれたパブリックなスペースとして機能します。photo by Hiroshi Tanigawa

4棟の間は遊歩道になっています。MOB TOWNミナミシモハラに暮らす住人の方々だけじゃなく、ご近所のみなさまにも開かれたパブリックなスペースとして機能します。photo by Hiroshi Tanigawa

遊歩道の中心には、MOB TOWNミナミシモハラのシンボル的な存在の井戸があります。

「この井戸は、夏の時期の水遊びや緊急時、植木の水やりなど、飲料以外のさまざまな用途にお使いいただけます」(井村さん)

夏には日差しをよけるカラフルなタープを掛けることもできるので、お子様用のプールを置くことも♪ 
水はけのいい常滑産の透水性ブロックなので安心です。
photo by Hiroshi Tanigawa

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4棟どの住宅も、普通の賃貸住宅に比べて、窓を多めにとっているので、どこにいても光がよく入るんですよ。
遊歩道がよく見えるように、窓の位置にもこだわっています。外で遊ぶ子どもを窓から見ることもできるので安心です。

MOB TOWNを作った井村正和さんってどんな人?

こちらの住宅を手掛けたgimbal works代表の井村正和さんは、いったいどのような方なのでしょう?
gimbal works代表の井村正和さん。photo by Hiroshi Tanigawa

gimbal works代表の井村正和さん。photo by Hiroshi Tanigawa

井村さんは、生まれ故郷である春日井市を拠点に、注文住宅、リノベーション、店舗設計などを手掛ける一級建築士です。大学や専門学校の講師もされており、その活動は多岐にわたります。

井村さんご自身のご自宅「ケローナ通りの沿いの住宅」は、2、3階はプライベートスペース、1階はご自身のオフィスであるgimbal worksとカフェ「ごはんとおやつのnico」が並んでいます。1階が開かれているパブリックなスペースであることで、そこに街並みが生まれます。
「ケローナ通りの沿いの住宅」が、街づくりのはじめの一歩だとすれば、MOB TOWNミナミシモハラは、その発展形であり実験的なプロジェクトです。

「今回は、春日井市の住宅地という立地から、ファミリー向けのプラン、デザインにしましたが、場所が変わればニーズも変わります。例えば、お年寄りが多い立地には、終の棲家となるような『平屋のコミュニティ住宅』といったアイデアも持っています」(井村さん)

お年寄りのひとり暮らしは、ご本人も寂しいでしょうし、子どもとしても心配です。今後ますます少子高齢化が進むので、求める声も多そうです。実現したら本当に素敵ですね。

また、土地を相続したものの、その土地をどう活用したらいいか分からない…という方の相談も大歓迎だそうです。MOBTOWNミナミシモハラのようなコミュニティ住宅が街にたくさんでき、それが当たり前になったら、きっと楽しく暮らしやすい街になるんだろうなぁ、と想像するとなんだかワクワクしませんか?

「MOBTOWN ミナミシモハラ」に住みたい方は…

最後に、MOB TOWNに住みたい!というみなさまへ。
入居をご希望の方は、最初にオーナーの井村さんと面談をしていただきます。MOB TOWNのコンセプトに賛同していただいた方のみ、入居が可能です。面談…というとなんだかかしこまっている気がしてしまいますが、ここまで読んでいただいてワクワクした方なら、きっと大丈夫♪

住人の方とBBQをしたり、おしゃべりしたり…「ただ借りて住む」から「ちょっと楽しく住む」暮らしが待っています。オーナーの井村さんも住人の方との交流会などを今後企画していくようですよ!

~井村さんからメッセージ~
「どう住まうか?日々の生活の何に価値を置くのか?を改めて考えたとき、家族構成、趣味、資産に対する考えや生活の楽しみ方、人との付き合い方等々、それは建築家の私の想像を遥かに超えて多様化してきていると思います。
住まい方が新しい価値を作り楽しみが増していくような空間、またそれが過度に重荷やプレッシャーにならず、気軽にできる距離感を持った『賃貸』のメリットを感じていただければと思います。」

興味がある!話を聞いてみたい!という方は、ぜひ井村さんにお問い合わせください。
対応業務 注文住宅、リノベーション (戸建、マンション、部分)
所在地 愛知県春日井市
主な対応エリア 新潟県 / 富山県 / 石川県 / 福井県 / 山梨県 / 長野県 / 岐阜県 / 静岡県 / 愛知県
目安の金額

30坪 新築一戸建て1,950〜2,100万円

60平米 フルリノベ1,920〜2,100万円

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